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小説という疑似体験〜「セカ就! 世界で就職するという選択肢 」を読んでみて

 これまでに本を2冊出版してみて感じたこと、それは「臨場感」を伝える難しさです。

 「アップルみたいな多国籍企業では、インド人や中国人やイラン人が上司や同僚や部下になり、職場では色々な訛りの英語が飛び交っている」などという文章を読んでも、日本以外で働いたことがない人が、それをイメージするのは多分とっても難しいでしょう。

 先の大戦時の空襲の恐怖。あるいは明治維新の頃の躍動感。そういったものも、歴史の教科書で事実を知り、図鑑で当時の街並や人々の服装を知っても、なかなかイメージが構築できないものです。海外の職場の様子も同じようなものでしょう。

 でもそういう「空気感」を伝える優れた方法に「小説を書く」という方法があります。優れた小説は、その世界をビビッドにイメージさせてくれ、その世界へと自分を引きずり込んでくれるものです。

 以前ご一緒に講演させて頂いた森山たつをさんの「セカ就! 世界で就職するという選択肢 」という本を読んでみて、今まで森山さんの本を読んでもなかなかイメージが湧かなかった部分が、ぐっと鮮明になってきました。バンコクやフィリピンの様子なども、風景描写や登場人物の心理描写で鮮明に立上がり、物語の中へと上手に引き込んでくれました。特に心理描写って侮れないな……としみじみ考えさせられました。

 国は違えど、私自身のの海外転職経験とオーバーラップするところがあったり、また始めて海外に出て行く不安感などなど、色々なことを鮮明に思い出させてくれました。読者を引きずり込むのに書かせないもの、それは共感を呼ぶ心理描写かもしれません。

 海外転職を何度も考えてみたけれども、どうしても踏み切れない、イメージが掴めないといった方にはおすすめです。字も大きくて読みやすいのに、どうしてなかなか侮れない一冊でした。

 そうそう、自分の次の本を書く時には小説というスタイルをとってみようかな?と背中を押されるような一冊でした。面白い本、ありがとうございました。

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