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日銀の政策委員の物価観

 7月10日と11日に開かれた日銀の金融政策決定会合議事要旨が公表された。今回はこのなかで物価面に関する政策委員の発言について見てみたい。

 「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もとではゼロ%となっており、先行きはプラスに転じていくとの見方で一致した。」

 7月11日時点ではまだ6月の全国消費者物価指数の発表はされていないが、7月26日に発表された6月全国消費者物価指数(除く生鮮食品)は、前年同月比0.4%の上昇となった。前年比プラスは2012年4月以来1年2か月ぶりとなる。消費者物価指数は、ある程度予測が可能であり、6月の数字がプラスに転じるであろうことは、かなり前から予想されており、市場でもコンセンサスとなっていた。

 「ある委員は、流通の各段階で値上げの動きが徐々に増えてきていると指摘した。」

 6月のコアCPIを品目別でみると、電気代の上昇やガソリンの値上がりなどが、指数全体の押し上げに寄与していた。8月12日に発表した企業物価指数では前年同月比2.2%の上昇となっていたが、これもガソリン価格の上昇の影響が大きかったものの、円安の影響から食品などへの価格転嫁の動きも出てきており、消費者物価指数にも影響が出てくる可能性はある。

 「別の一人の委員は、外食産業の一部で高価格商品を投入する動きもみられるなど、企業の価格設定行動に変化の兆しが窺われるとの見方を示した。」

 これがマクドナルドの1000円バーガーのことを示しているのかはわからないが、マクドナルドの決算等からはあまり売り上げには寄与していなかった。この発言がマクドナルドを意識したものあったとすれば、話題性に飛びついてしまった発言のようにも思われる。

 「この間、複数の委員は、消費者物価の前年比プラス幅は、夏頃までは前年のエネルギー価格下落の反動などから拡大するが、その後、拡大が一服する可能性があるとの認識を示した。」

 この見方は白川総裁時代からあったものであり、6月のコアCPIのプラス回復についても、異次元緩和以前からの想定の範囲内にあったものである。異次元緩和が効いて急にプラスに浮上したものではない。そして拡大一服も想定されていた。ただし、もしもここからさらに1.0%近辺に向けた上昇が始まるとなれば想定外となる。

 「このうちの一人の委員は、世界的なディスインフレ傾向の中で、わが国の物価が、わが国独自の要因でプラス幅を拡大していくか引き続き注視していると述べた。」

 なかなか思い切った発言のようにも思われる。欧米での物価が上昇しづらいディスインフレ傾向のなかで、日本独自の要因、つまりは4月の異次元緩和により本当に物価上昇に寄与するのかと疑問を投げかけた格好である。リフレ派と呼ばれる人達を除けば、これが本音ではなかろうか。

 「予想物価上昇率について、委員は、マーケットの指標などで上昇が一服しているものもあるが、6月短観の販売価格判断をはじめ企業や家計、エコノミストに対する調査なども踏まえると、全体としては上昇を示唆しているとの認識を共有した。」

 マーケットの指標はさておき、インフレ期待が果たしてどこまで広まっているのか。個人ベースでの調査などはさておき、2%の物価上昇を意識している企業やエコノミストが果たしてどの程度存在しているのか。異次元緩和で唯一の期待のあった円安についてもブレーキが掛かっている状況下、期待という不安定なものを計測することは難しい。

 「一人の委員は、消費税率引き上げの蓋然性に対する認識の影響を識別することは引き続き難しいとの見方を示した。」

 当然ながら消費増税により消費者物価指数は上昇する(ただしその影響は1年間)。このため消費増税を念頭に置けば、当然ながら企業やエコノミストもその分の物価上昇は意識せざるを得ない。異次元緩和による物価上昇にはこの消費増税の影響を取り除く必要がある。

 「別のある委員は、「生活意識に関するアンケート調査」では、1年後の物価が「上がる」との回答が約8割まで増加していると指摘した。」

 6月調査の「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年後の物価に対する見方(消費税率引上げの影響を除くベース)について、かなり上がるが17.3%(3月は10.4%)、少し上がるが62.9%(3月は63.8%)となっている。1年後の物価が上がるとの認識を確かに80.2%いる。しかし、この個人のアンケート調査が、どの程度適切に予想物価上昇率を捉えているかは甚だ疑問ではある。もちろんひとつの参考データであることは間違いないが。

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