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原爆を「絶対悪」にできない日本政府

 原爆投下から68年目になる広島での平和式典で、例年通りの式次第の中で、安倍・内閣総理大臣もあいさつを述べた。原爆の惨害を述べ、その中からの復興を讃え、被爆者への支援の拡大を述べて終った。それに先立つ松井・広島市長が、「平和宣言」で核兵器を「絶対悪」として断罪し、核廃絶の原動力となることを誓ったのとは対照的だった。

 日本政府の核兵器に対する態度は、「世界から核兵器をなくすのは結構なことだ」という総論賛成と、「いかなる場合にも使用禁止にするのは賛成できない」という各論反対で一貫している。今年の4月にも、NTP(核拡散防止条約)の会議で出された「核兵器の非人道性に鑑み、いかなる場合にも使用しない」とする共同声明に、日本は署名をしなかった。アメリカの核の傘に守られている安全保障体制と整合しないというのが理由だった。

 「唯一の核被爆国である……」という枕詞がつくと、日本は核兵器反対の総本家のように見えるだろうが、話はそれほど簡単ではないのだ。反核運動でも、「いかなる国の核実験にも反対……」をめぐって分裂した歴史がある。「核の抑止力」が平和に役立つと考えているかぎり、どうしても「良い核」と「悪い核」の分類が出来てしまい、それが立場によって逆転するから救いがなくなる。

 人類の未来のためには、核兵器を廃絶するのが安全への道になる。それには核の「絶対悪」性が世界の共通認識にならなければならない。せめて日本は国をあげて反核の先導者になってほしいのだが、今は自由にそれを主張できる立場ではないということだ。

 いま「『対米従属』という宿痾」(飛鳥新社)を読んでいるのだが、日本が国家として「核廃絶を叫ぶ自由」を手に入れるためには、まだまだ遠い道のりがある。原爆の日に、そういう現状を、しっかりと認識しておきたい。

(追記・明日は第一水曜日なので、正午から「国会議事堂一周ウォーク」に行きます。地下鉄丸の内線・国会議事堂前駅、改札出口からスタートします。)

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