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「世界中に売れているこの名前を外交に生かしていきたい」―参院選当選のアントニオ猪木氏が会見

8月5日、日本外国特派員協会にて先の参議院選挙に日本維新の会から出馬し、当選を果たしたアントニオ猪木氏が会見を行った。猪木氏はおなじみの登場曲にあわせて入場し、記者たちに「元気ですかー!」と呼びかけてから、スピーチを開始。この会見の模様を全文書き起こしでお送りする。【BLOGOS編集部】

私は暴言は吐くけど、失言はしない


元気があれば、何でもできる。
元気があれば、幸せも送れるということで、この選挙で全国を回って皆さんに幸せを送ることをうったえてまいりました。

話のはじめにお断りをしておきたいと思います。暴言と失言。私は暴言は吐くけど、失言はしない。 よく「猪木さんの職業は?」と聞かれることがありますが、、、、そういうときは「バカヤロー」といいます。そういうと「ビンタをしてください」と言われるので人をたたきます。もし職業だとしたら、世界にただひとつしかない職業です。もう何十年にもなりますが、「闘魂注入」ということで、皆さんに闘魂を注入すると元気になってしまう、あるいは受験生が大学に合格してしまうという不思議なことが起きております。

お手元に資料が配布されていると思いますが、私が14歳のときに家族とともにブラジルに移民をしました。 そのときに、私を最もかわいがってくれたおじいさんを船の上で亡くしました。成人してから感じたことですが、これはおじいさんが“男の生き様”というものを背中で見せてくれたんだと思います。77歳という年齢でブラジルに渡る。何かに挑戦するという生き方を背中で見せてくれたんだと思います。

その当時は14歳で体が大きかったので相撲部屋からもスカウトが来ておりました。しかし、ちょうど日本にテレビが入ってきて、後に私の師匠になります力道山が大変な人気を博しておりました。私もブラウン管を通じて、いつかプロレスラーになりたいという夢を抱くようになりました。日本の反対側に移民ということで、いったんその夢は遠くに離れてしまったはずなのですが、逆に私がブラジルで砲丸と円盤投げで優勝したというのが新聞記事になりまして、ブラジルに遠征に来ていた力道山が、その記事を見て、私をスカウトしてくれました。

もうひとつ、私の人生を変えたのは、世紀の対戦と言われましたモハメド・アリと対決したことだと思います。そのおかげで私の名前が世界中に知れ渡りました。そして、政治家になっていろんな国に行きました。単なる議員の資格では、各国の大統領にお会いするのは難しいのですが、いろんな国の大統領にお会いする機会をいただきました。

特に1989年に参議院議員になった折には、湾岸危機が起きました。日本人だけではなく、様々な人が人質になりました。 私が議員になって最初に訪問した国がキューバでした。そのときにカストロ議長と長い時間会談しました。この問題についても語ったのですが、議長が「これは平和的解決ですね」ということを言ったのが非常に私の心の中に残っております。その後、単身でイラクに乗り込んで「スポーツ外交」ということで大変心を開いた話ができて、結果的にすべての人質が解放にいたりました。「政治家となって、その役割を果たせた」と非常に強くそう感じた出来事でした。

そのときの政府のコメントが、「あれは猪木個人がやったことで、私どもは関係ありません」ということでした。 これはネットか何かで調べてもらえばわかるのですが、これだけ大変な事件だったにもかかわらず、こういうコメントでしたから怒りを 感じました。評価をしてくださいということではなくて、こういう無責任なコメントなわけです。こないだ初めてネットで調べて知りました。

もうひとつ先ほど申し上げたとおり、師匠の力道山。私も彼の出生については知らなかったのですが、政治の世界に出て、彼の生まれが北朝鮮だということを知りました。戦後最大のヒーローになった彼の望郷の念。彼は自分が出世した姿を自分の親兄弟、親類に見せたかったと思います。 不慮の事故というか1963年に、力道山はこの世を去りましたが、私が政治の場に出たときに、師匠の思いを北朝鮮に届けようと思い、94年7月7日に北朝鮮を訪問しようとしました。しかし、北京から入国しようというときに、金日成主席の逝去というニュースが流れ、そのときはキャンセルになりました。

そして、その9月に招待が来まして。儒教の国として「師匠の思いをよく届けてくれた」と現地の人たちが感動してくれました。「生のプロレスを見せましょう」ということでその翌年にモハメド・アリをゲストとして大イベントを開催いたしました。2日間で38万人という大観衆の前で、北朝鮮の人たちが初めて見るプロレスに大熱狂してくれた。そして、私の名前が一夜にして北朝鮮中に知れ渡りました。先日、26回目の訪問をいたしまして、とにかくスポーツ交流を通じて世界平和の実現ということが私のテーマでございまして、これからも同じ姿勢でがんばっていきたいと思っております。

大変時間が短いと聞いておりますので私の話はこの辺りにしたいと思います。

外交チャンネルを私以上に持っている政治家はひとりもいない


―プロレスの世界におけるチャレンジと政治の世界のチャレンジ。似てる点と異なる点は何でしょうか?

お互いが真剣勝負をした後に生まれる友情。これは外交にもつながります。やはり、お互いが腹を割って真剣勝負で、その結果として本音がでる。私の場合は、当時「スポーツと政治は関係ない」という人がいましたが、私はスポーツ精神に基づいて行動しています。

―先日、訪朝された際、参院選4日後に訪朝しています。つまり、選挙前から訪朝が予定されていたのでしょうか?また、外交でどのよう なことができるとお考えですか?

だいぶ前から招待をいただいておりました。今回、選挙に出るつもりがなかったのですが、土壇場できまったので。つまり、行きは私人 で帰りは公人になったということです。

2点目については、「人ができない、やらないこと」をやろうと。おそらく国の常識などいろんなことがあると思います。私も結構国からも嫌がらせを受けたことがあります。例えば、北朝鮮に行くと税関でカバンの底まで嫌みったらしく開けられます。幸いにして何もないわけですが。そういう中でも戦っていける、腹をくくった政治をしようと思っています。

今の話は私事で恐縮ですが、いつも弱い立場の人が泣かなければならない。世の中全体に理不尽なことがたくさんありますので、それを表に出て訴える。それを誇りに思ってがんばります。

―現在の日本で重要なのは大使館の情報収集能力を高めることではないかと思います。野党では難しいかもしれませんが、大使館の能力 を高める取り組みについては、どのようにお考えでしょうか?

選挙戦でも外交優先でということを言ってきました。おそらく外交チャンネルを私以上に持っている政治家はひとりもいないと思います。みんな外務省を通じてやっている。かつて1989年ですかね、ロシアに行って現地の選手をプロに転向させてしまう。当時、大使館が私に対して理解できなかった部分があるわけです。私がさまざまな要人とあって、タッグを組んで非常にいい感じの外交ができていたと思います。単独ではなくて、ある意味私のキャラクターを理解してもらうということです。

今回、維新の会の議員の方々が驚いていたように、街頭に出て「元気ですかー!」叫び、ビンタをして当選していく。そんな人は他にいないわけです。そういう意味で、私自身のキャラクターをよくわかっていますし、売名とかではなく、世界中に売れているこの名前を外交に生かしていきたい。

例えば、9月にアマゾンの森林を保護しようというジャングルファイトという取り組みがあったりですとか、去年の11月、タリバンの巣窟と言われるパキスタンのペシャワールで興行を行いました。興行の前後は一切テロ行為が起きなかったということで、ワシントンポストでも大きく扱ってくれました。ですから参議院のあり方というのを含めて、参議院だからできるということをやって行きたいと思います。

―日本のスポーツ界における、暴力団との関係について聞かせてほしい。

かつて、戦後はありました。しかし、ある時期から厳しくなって。。。幸いにして、私はそちらの関係、ジャイアント馬場さんというのがライバルにいまして、その関係はジャイアント馬場さんについていましたから私の方にはなかったんですね。私が始めた興行は、そういう関係とはつながりなくやってまいりました。

もうひとつ、青少年の夢を扱うという観点からも、そういう世界とつながりがあってはならないというのが私の考え方です。とはいえ、人間関係ですから、ファンの方の中にそういう業界の人もいるかもしれません。そういうのを一つ一つスキャンダルにされては困りますが、基本的にはそういう考えです。

北朝鮮とトップ会談ができる環境づくりを


―猪木先生には、拉致問題の解決を期待したいと思っているのですが、これについての決意をお伺いしたいと思います。

私は今まで拉致問題にはあまり関わらないようにしてきました。何故なら、友好関係が崩れてしまう懸念があるからです。ただ、このように公人として期待が寄せられる中にあっては、本当の話を伝えていかないといけない。

この拉致問題においては、テレビが毎日のように流していたので、日本の人たちが、結果的に洗脳されたという言い方に語弊はあるかもしれませんが、そのぐらいに拉致・拉致・拉致…という。。。よく私は講演でも話すのですが、「では、拉致問題が解決したらわれわれは幸せになりますかね?」と。そうすると、皆さんが「え?」という顔をする。今まで凝り固まっていた考え方が、視点をちょっと変えることによって、もっと知恵が出てきて解決をどうしましょう?となる。

もうひとつ、一番の問題は日本の拉致名簿の中にある、何百人かわかりません、数字がどんどん変わっていった中で、日本の中で死んでいる人もいる。そういうような拉致名簿を提出して解決しようとしても、これは向こう側からしたときには「そんないい加減なこといってくるなよ」となってしまう。さらに、これは二国間の問題ですから世界に向けて訴えるような話ではない。であれば、チャンネルをしっかりつくって、一対一で話をするような環境をつくればいい。その環境づくりを今までやってきて、いつでもお迎えするという話にはなっております。

ただし、これからの政権がどういう判断をするのか。今まで2回、制裁をかけました。そして3回目の制裁をかけようとしたときに、「この制裁をかけても意味がないからやめよう」となったのが今までの流れです。今後、どういうことを安倍政権がやるのか?先日、飯島さん(内閣官房参与)が訪朝されたときは、いい話ができたと聞いています。そこで話された内容を私は知っていますが、ここで皆さんにお話しすることはできません。そういう中で、一日でも早くトップ会談ができる環境づくりを私は一生懸命やらせてもらいます。

そして、私がイラクの人質の件に携わったときは、元気な奥さん方がいて、「みんなで行きましょー、自分の大事な旦那を開放しましょう!」といってチャーター便を用意して飛んだのですが、もし拉致の関係者で自分の目で確かめたいというような話があるのであれば、その道筋はつける自信があります。

「外交に勝利なし」という言葉があります。相手も国民がいる。これは北朝鮮に限ったことでもありません。日本の国民もいます。ですから、どこかで落としどころを見つけなければならない。片方だけが勝って、片方が負けても、商売と同じように不平不満が残る。これは私の考える外交の基本です。

―あなたは日系ブラジル人でありながら北朝鮮問題にコミットしている。その立場として日本の人種差別や外から見た日本のイメージについて聞かせてほしい

国際化ということが叫ばれ、非常に長い時間がたっています。現在、アメリカに留学する若者が少なくなってしまったなどと聞いております。もっともっと私が移民をしたように、海外に目を向けなければいけない。現状は内型になってしまっています。いろんな外国の方と触れることで人間的にもいろいろ成長していくわけですから、外国人も受け入れるけど、もっと若い人たちが表にでていく。今回の選挙戦においても、若い人たちに「70過ぎた親父ががんばってんだから、お前らもがんばれー」といったら横から「私は100歳だけどがんばってるぞー」といってくた人がいました。(笑)

あと一つ、答えそびれたのですが、差別、在日の問題について。私も戦中、戦後の世代ですから同級生が差別されたりということはありました。その差別は現在は表面化していないが、今でもあります。差別というのは、どこの国にもおそらくあると思いますが、今日本が率先して「差別をなくしていこう」と。戦後と今では変わったと思いますが、いまだにそうした差別はあると思います。私もアゴが長いというだけでいまだに差別されています(笑)

―イスラム教徒であるという報道されているのですが、本当でしょうか。本当であればきっかけを教えてください。

1990年、湾岸戦争の折にカルバナというモスクで、儀式が用意されていました。生贄の羊が2頭いました。これは国王並みの儀式と聞いております。そこでお参りをして、儀式が終わって「イスラム名は何にしますか」と聞かれました。さすがに「モハメド・アリ」というのは非常に人気のある名前だそうです。そこでいろんな名前がでまして、「モハメド・フセイン」というのが悲劇のヒーローとして人気があるということで、「じゃあ、それで」ということで、それ以来「モハメド・フセイン」という名前がついております。

ただし、イスラムの方にこないだ申し上げたとおり、まだまだイスラム教になりきっていません。時々、酒をたしなむし、まだ奥さんが4人いたりもしません(笑)。

―最後に、猪木氏は会見の司会を務めた外国人記者を相手に、闘魂注入ビンタを披露して会見を締めくくった。

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