最近では、防衛省自衛隊も動画を使って広報する機会が増えてますが、全体的に見て、出来はイマイチのモノが多いように思います。しかし、その中でもコレはなかなか秀逸な出来です。
「統合運用における陸上自衛隊」
一部には?な内容や、駐屯地や部隊数、及び装備を維持するための組織防衛的は言及も見られますが、陸自の考える防衛が如何なるモノなのかを端的に示す内容になっています。10年前と比べると、陸自は大変革したと言える内容ですが、今後も大きく変わって行くでしょう。前回記事の陸自関係の内容を分かりやすく映像化した資料になっています。是非、ビデオを見て下さい。
以下では、簡単なビデオの紹介とコメントをします。
このビデオでは、我が国の防衛を、次の4項目に分けて説明しています。
①島嶼部に対する攻撃への対応
②弾道ミサイルへの対応
③ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応
④本格的な侵略自体への備え
①島嶼部に対する攻撃への対応
では、海空自が重要としつつ、陸上自衛隊の部隊として最初に登場するのは、なんと沿岸監視部隊です。そしてまた、初動を担任する部隊の編成を検討していると伝えており、噂される海兵隊化編成を仄めかす内容になってます。武装漁民が上陸してきた際にも、陸自で最初に対応するのは、陸海自と協同する地対艦ミサイルや対空ミサイル部隊で、その後、島嶼防衛を担任する部隊を機動させて敵部隊の上陸阻止、上陸されてしまった場合は奪還するとしています。また、周辺島嶼部からの住民避難を行なう事も述べられています。そして、海空自や米軍基地を警備することも役割であるとしています。これは、10年前では信じられなかった事です。
この島嶼部に対する攻撃への対応だけで、このビデオの1/3程の長さを占めていました。
それだけ、この分野が重視されている証拠でしょう。
②弾道ミサイルへの対応
では、PAC-3の展開を支援し、展開後はその警護を行なうことが述べられている他、自治体への情報提供や、ミサイル着弾の際の救護や除染を行なうとしています。
③ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応
では、高度に都市化・市街化が進んだ日本では、少数の敵による攻撃であっても、重大な脅威となると認めています。そして、全国の部隊から警戒監視のための部隊を派遣し、警察や自治体と協力して監視を行ない、原発などの重要施設の他、ここでも海空自基地の警備を行なうと述べています。ゲリラや特殊部隊によるNBC攻撃に対しては、探知・除染する他、潜入した部隊に対しては、各種火砲や普通科部隊戦車部隊が包囲撃滅するという構想が紹介されています。立て籠もりの際には、特殊作戦部隊により、救出もします。
④本格的な侵略自体への備え
では、「島国である我が国を占領しようとする場合、敵は海上・航空優勢を確保した後」着上陸や空挺降下が行なわれるとしています。攻撃が行なわれるまでに自治体と協力して国民の保護に努めます。海空自衛隊は、敵戦力を減殺するとしていますが……、海上・航空優勢を維持できなくなった状態で着上陸が行なわれるのですから、出来ることは限定的です。陸自は、戦略機動により作戦正面に部隊を集中し、戦車や特科を使用し、戦闘機による近接航空支援と協力して、努めて海岸地域において敵の侵攻を阻止するとしています。以前に北海道で考えられていたような遅滞戦闘を展開する内陸誘引は行なわないようです。なお、この本格侵攻対処は、ビデオの1/10程度に過ぎません。
この他、地震などの災害派遣や国際平和協力活動、能力構築支援、在外邦人輸送にも言及しています。
このビデオは、陸自の現在の状況認識と対策について、非常にコンパクトにまとまっていますから、是非見て頂いた方が良いかと思います。
記事
- 2013年08月04日 13:19
統合運用における陸上自衛隊
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