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悩ましいアメリカ金融の量的緩和の行方

6月にバーナンキFRB議長は今秋以降の金融の量的緩和の出口戦略について一定の明言をしました。市場はそれを受け、早ければ9月にもその準備に取り掛かるだろうとシートベルトをしっかり締めたのですが、今週のFOMCの会議のトーンからは9月の可能性がやや薄れた感じでした。

そして水曜日のアメリカ第2四半期のGDPは予想の1.0%を大きく上回る1.7%で着地。特に個人消費が1.2%、個人国内投資が1.34%伸びたことが大きく貢献しました。ところが同時に発表された第1四半期の修正GDPは1.8%のプラスが1.1%プラスへと大幅下方修正されています。これほど大きな修正となると1.8%とは何だったのだろうと疑いたくなりますが、結局GDPは第1、第2四半期で相殺された形になりました。

今週の最後の注目は金曜日の7月の雇用統計でしたがこれは事前の18万5000人増の期待に対して16万2000人増とネガティブインパクト。ところが失業率は7.4%と0.2%ベーシス下がったことで2008年12月以来の低い失業率となりました。

つまりこの三つのイベントそれぞれに前向きと後ろ向きの要素が含まれてしまい、結局どこに向かうのか、はっきりしない状況となったのです。金曜日のアメリカの株式市場を見てもダウ平均は70ドル以上も下げて始まったもののこれを書いている場引け30分前でプラスサイドに転じています。

日経電子版には雇用統計が発表された直後に「米雇用統計、週明け日本市場への影響 プロの見方」と記事がアップされたのですが私はこれは日経が速報性をあせりすぎていると思います。コメンテーターが市場の流れを十分消化する前に発言していますので日経としてのクオリティを若干遺棄するような気がします。つまり、アメリカの経済の行方とはそれぐらい読みにくい状況にあるということかと思います。

元を正せばリーマン・ショック後、かつてない強力な金融緩和という武器で経済危機を乗り越えてきましたが、欧州、日本、新興国共に金融緩和に歩調を合わせる中、出口に一番近いアメリカが一歩退くことによる果てしない影響はまだ、十分に検証されていない気がします。

ゴールドマンサックスが新興国経済のブームの終焉を意味するレポートを少し前に出したことが話題になりました。では次の勝者は誰か、といえば、個人的にはどうもアメリカと日本など先進国になる可能性が高いと思うのですが、そうなった場合、アメリカ金融当局は他国の反感を買うこともありえるわけで政治的に相当うまく乗り切らないと軋轢を生むことになりそうな気がします。

ところで失業率の低下ですが、低賃金で甘んじる移民層の職は増えているもののいわゆるマネージメントクラスの職は相変わらず増えず、というレポートもあります。たぶんですが、工場労働者などに低賃金のオファーを受けてもらうことで人件費削減を図る企業の動きということかと思います。カナダでは外国人労働者へのビザの発給を一段階厳しくすることでいち早く対応しています。つまり、いびつな雇用情勢ということでしょうか?そういう点からは失業率の数字の見方も留意する必要がありそうです。

結論的には9月の金融の量的緩和からの緩やかな脱出は若干遠のいた、と見ています。8月にはFOMCはなく、夏休みで特殊要因も多い中、9月のアメリカ金融政策の次の一手に注目が集まってくることかと思います。個人的にはアメリカ経済は一進一退を続けながらも着実に回復の道を歩むだろうという見方に変わりはありません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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