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  • Willy
  • 2013年07月31日 06:00

日本人を米国一流大学院に大量に送り込む方法

近年、日本は国を挙げて「グローバル人材の育成!」なんてかっこいい事を言っているけど、要は「日本国内は空洞化してもうそんなに雇用を確保できないんだよね」ということだろう。

大学についても国や地方の財政悪化と少子化が相まって、20世紀末までの規模の研究者を国内で維持することは不可能だ。国としては「日本の大学の国際競争力を強化する」という方針を立てないと国策として話が閉じないのは分かるのだけど、現実問題として日本人研究者を質・量ともに維持していくためには、海外の大学に籍をおく研究者を増やすしかない。それに、そうやって海外に広がったネットワークが、日本のためにならないとは思えない。

しかし日本人に限らず、例えば、米国の大学に就職する研究者の大半は、米国の大学院を修了しているという現実がある。つまり、日本人を海外の大学でどんどん活躍させるためには、海外の大学院、特に一流大の大学院にどれだけ人を送り出すかが肝心になってくる。

30年前であれば、中国、インド、韓国など他のアジア諸国から留学する学生も少なかったので、日本人が一流大学院に留学するというハードルは、情報が不足しているという点を除けば、今よりも低かったと思う。しかし世界中から優秀層が殺到するようになった現在では、日本人が英語圏の一流大学院から入学許可をもらうこと自体が非常に難しくなっている。

日本の政府や一流大学は、この状況を打開するために、もう少し頭をひねるべきではないだろうか。

一流大学院に留学するにあたって、日本人に欠けているのは英語力とコネだ。政府は、日本人の子供の英語力を底上げすることは真剣に考えだしたが、コネの方については全く手つかずの状態と言っていい。

私は、統計学科の博士課程に進んだが、米国の統計学科には元々日本人が非常に少ないため、日本人の志願者がいても、大学側がそのレベルを判断できずに落とされる、ということが結構あるようなのだ。日本人が持っているコネと言えば、日本の大学にいるごく少数の著名な研究者からの紹介状くらいで非常に細いものになってしまっている。

それでは、どうやってコネを作っていけば良いだろうか。

まず理解しなければならないのは、米国でキャリアに関するコネとは、有力政治家の息子であるとか、学長の娘であるとかいった類のものではなく、相手にどれだけ自分の事を知ってもらっているか、という非常に日常的なものであるということである。

例えば米国大学院の修士課程に1年間在籍した韓国人の学生Aが、同じ学科の博士課程に出願したとしよう。その学生の修士時代の成績は4点満点で3.7点。悪くないが特別優秀でもない。出願者は全部で4人で、他の3人B,C,Dは他大学からの志願者だ。Bは中国からの志願者で成績は4.0点、Cはインドからの志願者で3.8点、Dは米国の他大学からの志願者で成績は3.5点。大学側は誰を合格させるだろうか。

もし大学が、Aには博士課程の学生の平均以上のポテンシャルがある、と思ったならばAを合格させるだろう。もしかしたらBが一番優秀かも知れないが、Bの出た中国の大学の成績は当てにならないかも知れないし、TOEFLのスコアが高かったとしても、実際にどのくらい英語ができるのかは分からない。場合によっては、CやDが合格する可能性もある。Cと同じ大学の卒業生が博士課程に在籍していて、特別優秀だったらどうだろう。同じくらい優秀であることを期待して、Cを採用するかも知れない。

いずれにせよ、米国では先に内部に入り込んでしまった者が圧倒的に有利なのだ。実際に、アジア諸国の富裕層はそうやって時間をかけながら、したたかに良いポジションを獲得していく。

そういった状況を考慮して、例えば、日本政府や一流大学は、大学3年の9月、あるいは1月から半年〜1年間、米国等の一流大学の学部に短期留学させる制度を作ってみてはどうだろうか。学位を得るための正規の学生ではないから入学試験も回避できるケースが多いし、費用的にも、半年なら学費と生活費合わせて1人3万ドルくらいで送り出せるだろう。国が年間千人の枠を作っても、3000万ドル(約30億円)で済む。安くはないかも知れないが、年間30億円でどのくらい道路が作れるかと比べれば十分に効果の高い人材投資だろう。しかも90年代にやった大学院重点化とは違って、後処理が必要ない。

日本の一流大で2年半みっちり勉強した学生ならいきなり専門科目を履修できるだろうから、米国の学部3年生と比べれば、ほぼ確実に抜きん出た専門能力を見せつけることができるだろう。そこで教授とコネを作っておけば、その大学の大学院に入るにも、他の大学の大学院に入るにも有利になる。運良く、博士課程の入学許可が下りれば、多額の財政援助が付いてくる。たった半年の期間と3万ドルでそれだけの効果が得られれば、費用対効果は抜群である。むしろ個人で金を払って行っても良いくらいだろう。日本人の米国博士号取得者は年間500人くらいだったと思うが、こうした「作戦」がうまく行けば倍増も夢ではない。

中国人やインド人が米国の大学を席巻しているが、大半の学生は、コネも金もなく、ビザの取得も難しい中で、自分の能力だけを頼りに大学院の入学選考で勝負しているのが現状だ。そうした方法がうまくいくのは、教育レベルが高く経済的に貧しい大勢の国民が豊かさを求めて激しい競争を繰り広げる場合に限られるように思う。

中国やインドの10分の1の人口しかいない上に語学の上でもハンディを抱える日本人は、潤沢な資産やビザの取得が容易であるというメリットを最大限に利用して、彼らが羨むような全く別の方法で、コネを構築して戦うべきではないだろうか。

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