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日本の右翼はどこへ行ったのか

 安倍自民党が参院選に勝利し、公明党との連立ながら自民党としては2007年以来となる衆参両院での過半数支配を回復した。文字通り、自民党のカムバックだ。内外の論調としては安倍政権の経済政策「アベノミクス」が信任されたとの受け止め方が大勢を占める一方で、今後の日本の右傾化を警戒する向きも多い。現政権の政策に反対する人たちを「左翼」と呼び、憲法改正を叫んで憚らない安倍首相自身の相次ぐ国家主義的言動もさることながら、安倍政権を支持する層の中に強い右翼的な傾向が見られるからだ。

 しかし、ゲストで右翼団体「一水会」顧問の鈴木邦男氏は安倍氏を支持する団体の中でも、反韓デモを繰り返すなどの行動が目に付く在特会(在日特権を許さない市民の会)などの団体は右翼ではないと一蹴する。「右翼は排外主義は取らない。かつて日本の右翼が孫文を支援したことからもそれは明らかだ」「日本人だろうが、外国人だろうが、義のために行動するのが右翼だ」と鈴木氏は言う。

 そもそも日本は本当に右傾化しているのだろうか。確かに今の日本は経済格差が広がり、若者の多くが雇用不安を抱える中で、現状への不満が鬱積している。更に、社会保障制度のゆがみや財政赤字問題など将来に向けた展望もなかなか開けない状態にあるのは確かだ。こうした不満のはけ口が弱者に向けられ、排外主義への共感に結びついている。真の意味での右翼が活動を活発化させているわけではない、と鈴木氏は言う。

 しかし、現状に不満を持つ人がソーシャルメディアなどを使って感情に訴えるような情報を発信すると、多くの賛同者が集まる。投稿した本人もまるで自分の主張が信認を得たかのような錯覚に陥り、更に投稿をエスカレートさせる。このような負の連鎖がネット上で拡大し、あたかも日本全体で右翼運動が活発化しているかのようなのような誤解を生んでいると、鈴木氏は指摘する。

 右翼とは何か。保守思想とは。鈴木氏は「右翼は喜怒哀楽の感情を超えて義のために行動する」と言うが、その右翼はどこに行ったのか。右翼思想や保守思想、愛国や憂国の理念とはどのようなものなのか。長年にわたり日本の右翼運動を率いてきたゲストの鈴木邦男氏とともに、哲学者の萱野稔人、社会学者の宮台真司が議論した。(本日の司会は出張中の神保哲生に代わり萱野稔人が担当します。)

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