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あたご事件が隊員の統率に与えた悪影響

あたご衝突事故の刑事裁判は、業務上過失致死罪などに問われた2人の自衛官の無罪が確定しました。
あたご事故:高検、上告断念へ 期限で自衛官の無罪確定」(毎日新聞13年6月25日)

この事故ですが、海難審判で責任があたご側にあるとされながら、刑事裁判の第1審では、責任は漁船側にあったとされています。
審判及び裁判の経緯、結果については、こちらのブログが詳しいので、こちらをご覧下さい。
イージス艦衝突事故判決下る やはりそれは無謀だったのでは」(ぐり研ブログ11年5月13日)

私が注目したいのは、この事故に対する(事故当時の)政府、防衛省(内局)および海自の姿勢です。

前掲ブログ記事にもありますが、事故直後、マスコミは自衛隊バッシング一色でした。

その結果、当時の石破防衛大臣は、事故直後に航海長を防衛省に呼び出して聴取(事実関係を確認)しながら、艦長を解任するなど、事実に基づき隊員を守ること無く、関係者の切り捨てを決定したようです。

この決定に対して、海自内にどの程度抵抗があったのかは分かりません。(内局が隊員を守ろうとしたとは思えない)
防衛大臣が切り捨ての判断をしている状況で、抵抗したところで抵抗しきれるものでは無かったでしょうが、少なくとも地裁判決後に後潟3等海佐が「省の混乱を見ていて、命を預け得る組織なのか、今も疑問が残る」と発言したように、隊員を庇わず、トカゲの尻尾切りをしようとしたことは、後潟3等海佐だけではなく、多くの隊員に、組織への不信感を抱かせるものだったのではないかと思われます。

これは憶測に過ぎませんが、艦長室のドアに斧が打ち込まれるなど、海自内にあると噂される統率上の問題に対して、この事件における防衛省・海幕の対応(だけではないでしょう)が悪影響を与えたのではないかと勘繰りが出来てしまいます。

今回無罪が確定した2名は、起訴から1審判決がでるまで2年以上に渡って休職させられました。
その間の生活費は、恐らく隊員がカンパするなどして支援したと思いますが、それだけでは不十分でしょうし、カンパさせられた隊員にも不満が発生したのではないかと懸念します。

防衛省は、無罪が確定したことを受け、処分した38名の処分を見直すようですが、一度発生した不信を回復することは容易ではないでしょう。

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