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憲法改正のポイントは96条ではなく、その先

TPPと選挙にかかわるネタに触れたので、参院選もあるので選挙争点ネタをひとつ。

憲法改正


自民党が憲法96条改正をぶち上げて争点の一つになっています。
憲法96条は憲法改正の手続きであり、自民党の改正案は「現在は国会両院の2/3以上の賛成で改正発議というのを1/2に緩和する」というものです。

しかし、これは本題ではありません。
自民党の憲法改正の目的が憲法を変えやすくするなんてものに終わるわけもありません。
自民党が考えているのは、96条にとどまらず憲法を大きく変えようというものです。そのためにも両院2/3の賛成が無いと発議できないというハードルを下げたいというのが96条改正の狙いです。

自民党の憲法改正案については以下の自民党のサイトに掲載されています。
「憲法改正草案」を発表

ここでは多くの変更が記載されています。インターネットで調べれば変更点の解説をしているサイトもありますので、参考にしてみてください。


以下は私が主に気になっている点です。

●国民の国旗・国歌尊重義務

第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。

卒業式等での君が代斉唱騒動などもありますが、国旗及び国歌への尊重を国民に義務付ける条文が新設されます。

●憲法第九条から戦力及び交戦権放棄を削除し、自衛権発動を認める条文を追加

九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
現在の第九条第2項は「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」でしたが、これが削除され、上のように置き換えられます。

●第九条に国防軍の記述追記

第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

●「公共の福祉」の削除、「公益及び公の秩序に反してはならない」責務の追加

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない
従来の第十二条は「国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふでしたが、公共の福祉という言葉が削除され、公益及び公の秩序に反してはならないとされた。


●公の秩序の下位としての基本的人権が明言された

十三条 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない
第十三条は上記のようになります。公益及び公の秩序に反しない場合に限っては尊重されるということなので、公の秩序維持のためには基本的人権は尊重されないということが明確にされました。

●表現の自由に、公益及び公の秩序を害す目的は認められない条件が新設

2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
表現の自由には上記のような内容が追加されました。

●国民への説明の義務の新設


第二十一条の二 国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。
上記のように、国政行為について国が国民に説明する責務を新設しました。


●家族による相互扶助の義務化

第二十四条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

この条文が新設され、家族という集団が強化されます。家族の相互扶助が義務化されるので、仲が悪いから扶助しないというのは憲法違反になりそうです。

●政党の活動保護及び発展が明記

六十四条の二 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない
上記のように政党活動を保護し、政党を発展させていくことが明記されます。

●国民へ憲法尊重義務が課せられる

百二条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。

従来は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」のように憲法順守は国家(に属する側)へ定義されていましたが、国民にもその義務が課されるようです。従来は「憲法は国家権力縛る法である」という解釈もあったので、これは大転換です。

第96条の憲法改正手続きばかりが注目を浴びていますが、自民党の改憲案は多岐に渡るので、賛否は兎も角このあたりはしっかりと考えて欲しいです、

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