- 2013年07月12日 09:14
バーナンキ議長の言いたいこと…QEから時間軸政策へ
米国株や為替の動きを見ていますと、QEの縮小はともかく、利上げ時期についても、マーケットは、思惑が外れたと見るべきかもしれません。
QEの縮小と終了の先に、利上げがあるのですが、この両者は、同一線上にあるのですが、似て非なるものと考えておいた方がいいと思います。
よく言われることですが、2年物の金利差が短期的な為替の決定要因の一つなのですが、米国が利上げをすれば、日米金利差が拡大し、さらなるドル高の可能性があります。
バーナンキ発言以前は、2015年末のFFレートは1%以上になるであろうとマーケットは読んでいたのですが(これがドル高の主原因のはず)、発言以降は、トーンダウンしてしまいました。
つまり、利上げの時期は後退するであろうということで、「まだまだ、利上げは先だ!」ということで、日米の金利差もそれほど差がつかないだろうということです。
であれば…思惑は外れた分、ドルは売られるということです。
一方で、QEの縮小や終了については、直接的に金利に働きかけませんので、QE縮小=金利上昇とはなりません。
特に、2年債のような短いところは、なかなか、簡単には上がらないと思います。
過去、QE1、QE2の終了後は、長期金利が低下したという事実はありますが、これは2つの理由があると思います。
1、 QE政策を止めたので、景気へのサポートがなくなり、成長率が減速するであろうということで、長期債が買われた
2、よって、どうせ、そのうち、金融緩和(QE政策など)を再開するであろうとマーケットが読んでいた
だいたいそんなところではないでしょうか。
しかし、今回は、QE終了の延長線上の利上げの議論になっていますので、QEがなくても、経済は、(緩やかかもしれませんが)巡航速度で、成長できるだろうと思っているわけです。
過去のQE1、QE2の終了時とは、明らかに異なるでしょう。
加えて、長期で大規模なQEの副作用も言われています。
簡単に言えば、QEは、出来るだけ、早めに終わりたい、でも、利上げとなると話は別だよ…ってことではないでしょうか。
マーケットに対して、2年前後の時間を上げるから、利上げの「備え」をしておくようにと言っているような気がします。
ただ、「備え」ができるまで、十分な時間を与えますよ…ってことでしょう。
うむ~、まさに、資産買入れ(量的緩和)からフォワードガイダンスへの転換な気がします。
これは、今後の欧米の金融政策の中心になるようなそんな気がします。
QE政策のメリットは、長期金利を低下させることでしたが、長期金利が低下した後は、ただ、中銀のBSが膨らみ、様々なマイナス要因(副作用)もあるということが認識されてきたのだと思います。
日本について言えば、くどいですが、IMFの見通しでは、米国よりも、日本の方が13年の成長率が高いのです。
主要国で一番成長率が高いという見通しなのです。
やはり、今までのように、円安になるかと言えば、そんな簡単なものではないように思いますね。
株式市場のコールオプションのボラティリティが低下してきているのも、つながっているような気がします。
株は上がるとしても、緩やかなになるのではないかということを示唆していそうです。
(これって、金融相場が終わり業績相場になるということかな)