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国際通貨基金 (IMF) の「世界経済見通し改訂」World Economic Outlook Update はアベノミクスをどう見ているか?

昨日、国際通貨基金 (IMF) から「世界経済見通し改訂」 World Economic Outlook Update が公表されています。ヘッドラインとなる成長率見通しは、2013-14年ともやや下方修正されましたが、世界経済は2013年3.1%、2014年+3.75%と順調な成長軌道にあると見込まれています。副題は Growing Pains となっています。まず、やや長くなりますが、リポートから冒頭のサマリーを引用すると以下の通りです。

Growing Pains
Global growth is projected to remain subdued at slightly above 3 percent in 2013, the same as in 2012. This is less than forecast in the April 2013 World Economic Outlook (WEO), driven to a large extent by appreciably weaker domestic demand and slower growth in several key emerging market economies, as well as by a more protracted recession in the euro area. Downside risks to global growth prospects still dominate: while old risks remain, new risks have emerged, including the possibility of a longer growth slowdown in emerging market economies, especially given risks of lower potential growth, slowing credit, and possibly tighter financial conditions if the anticipated unwinding of monetary policy stimulus in the United States leads to sustained capital flow reversals. Stronger global growth will require additional policy action. Specifically, major advanced economies should maintain a supportive macroeconomic policy mix, combined with credible plans for reaching medium-term debt sustainability and reforms to restore balance sheets and credit channels. Many emerging market and developing economies face a trade-off between macroeconomic policies to support weak activity and those to contain capital outflows. Macroprudential and structural reforms can help make this trade-off less stark.

続いて、IMF のサイトから総括的な成長率見通しのグラフを引用すると以下の通りです。なお、これだけではやや情報量が不足だと思いますので、下の画像をクリックすると別タブでリポート p2. Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを取り出した pdf ファイルが開くように設定されています。

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世界経済の成長率見通しが下方修正された要因は3点上げられており、第1に、中国をはじめとする新興国経済の伸び悩み、第2に、ユーロ圏諸国の景気後退の深刻化、第3に、米国の財政引締めによる下押し圧力、となっています。逆に、日本の消費と純輸出にけん引された力強い成長は押上げ要因とされています。そして、世界経済の見通しにおいては、依然として、新旧の下振れリスクが支配的 "Downside risks, old and new, still dominate the outlook" と警戒感を示しています。

日本に焦点を絞ると、2013年の日本の成長率見込みが上方改訂された要因は、最近のマインドと民需に対する緩和政策 "recent accommodative policies on confidence and private demand" が上げられています。要するにアベノミクスの効果なんだろうと受け止めています。また、2014年の成長率見通しを引き下げた点については、世界環境の悪化 "weaker global environment" を反映したものであるとしています。明示されていませんが、2014年4月からの消費税率の引上げも考慮されているんではないかと、私は勝手に想像しています。なお、いくつかの報道の中で、ちょっとびっくりしたんですが、「『アベノミクスが新たなリスク』 IMFが初めて指摘」との朝日新聞の記事を見かけました。記事によれば、ブランシャール調査局長が会見で発言したとありますが、少なくとも、リポートには、こういった分析もしくは表現は見かけませんでした。

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国内経済指標に目を転じると、本日、内閣府から6月の消費者態度指数が公表されています。上のグラフの通りです。季節調整済みの系列で見て、前月差▲1.4ポイント低下し44.3となりました。4つのコンポーネント、すなわち、雇用環境・耐久消費財の買い時判断・暮らし向き・収入の増え方のすべてが低下し、特に、雇用環境の低下幅が大きくなっています。ただし、統計作成官庁の内閣府では、「悪化が小幅で、指数は依然高水準にある」ことなどから、基調判断を「消費者マインドは、改善している」で据え置いています。景気ウォッチャーを取り上げた月曜日のエントリーでも書きましたが、5月下旬からの金融市場の混乱や長期金利の上昇がマインドに何らかの影響を及ぼしていることは確かなんだろうと受け止めています。

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最後に、日銀から6月の企業物価指数 (CGPI) が発表されています。上のグラフの通りです。前年同月比上昇率で見て、国内物価も4月以降3か月連続でプラスにを記録し、6月からは最終財もプラスに転じています。値上がりが大きいのは「電力・都市ガス・水道」で+9.4%上昇しており、円高修正に伴う燃料など輸入価格の上昇も相まって、物価がプラスとなっているんであって、必ずしもアベノミクスの第1の矢の金融政策によるものとは限りませんが、世間一般ではそう見えるかもしれません。

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