今朝、IMF関連のブログを書きましたが、IMFのブランシャール調査局長は、日本の2013年の成長率の見通しを上方修正したことについて、アベノミクスを評価するのは、時期尚早だと言ってはいました。
が、一方で、信頼感が高まっているとも言っています。
ただ、確かな財政再建策や構造改革が速やかに実行されなければ、日本の債務への懸念が高まり、国債の利回りの上昇などをもたらしかねないと言っています。
簡単に言えば、「アベノミクスは、リスクがありますよ」ということのようです。
アベノミクスは「3本の矢」からできているのですが、1本目の矢が金融緩和で2年で2%のインフレ率達成、2本目は財政出動、そして、3本目が成長戦略でした。
1本目は、2年2%はなかなか難しくなっているようですが、確かに、金融緩和による資産上昇効果はありました。
ただ、金融緩和の規模が、市場規模に対して大きなものですから、市場の流動性を減少させるという副作用も見られます。
2本目については、昨年度の補正と今年度の本予算で財政出動を行ったわけですが、いったいどんな効果があったのか?
たぶん、借金だけ増えるだけで、経済への効果は限定的であった…従来の自民党政治の延長だったのかと思います。
3本目の矢は、成長戦略でしたが、細かい点ではなるほどというものがあるかもしれませんが、正直、これといった大胆な改革はないと思います。
もしかすると、参院選後に、大胆な改革を出してくるかもしれませんが、既得権との戦いになりますので、既得権の塊の自民党に期待してもという気はしますね。
私は、もともとアベノミクスに批判的ですので、ブランシャール調査局長の意見には、賛成なのです。
2本目の矢と3本目の矢は、ほとんど折れてしまったわけですが、問題は1本目の矢だと思うのです。
今のところ、副作用といっても、それほど大きくはないのです。
国債の流動性が減少して、金利がやや上がったくらいです。
問題は、2年で2%という難しいとわかっていることを、無理やり力ずくでやろうとすれば、さらなる金融緩和を実施する可能性があります。
もしくは、インフレ率が2%になるまで、延々と資産を買い続けるということにもなりかねません…
そうなると、ますます、バブル発生の可能性が高くなり、また、バブルの大きさも大きくなって、破裂後のことを考えますと、恐ろしくなってきます。
要は国債金利の上昇が起こり、大問題を引き起こす可能性が高くなるということです。
欧州は、量的緩和ではなく、フォワードガイダンスを採用し、超低金利政策の効果を持続させようとしています。
米国もQE政策を縮小し、その結果としては、フォワードガイダンスを意識した金融政策となります。
そんな中、日銀だけが、2年2%と念仏のように唱えて、柔軟性のない政策を取っているのですね。
きっと、ブランシャールさんは、このようなことを言いたかったのではないのかと思うのでした。