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第268号(2013年7月9日)

いよいよ参議院選挙がスタート致しました。いわゆる「決められない政治」の構造的原因になっている衆参のねじれを解消する最大のチャンスがやって来ました。国の関わる政策はその為の法律を作らずとも出来るものはありますが、予算を伴う新規の政策は往々にして法律の策定や改正が必要となります。

ご承知の通り、法律は衆議院と参議院で可決して初めて成立を致します。衆議院で3分の2を超える議席を与党が持とうとも、参議院で過半数を持っていなければ政府主導で法律を成立させることは出来ません。参議院で否決され、あるいは、参議院に送られた後、60日間結論が出ないものについては、衆議院で3分の2以上の票数で再可決された場合のみ成立を致します。

しかしこの手法は万たび使えるものではありません。現に先の通常国会でもこの手法を使えたのは緊急性を要した一案件のみでした。最高裁で憲法違反判決の出た一票の格差を是正するための緊急避難措置として、(0増5減)区割り法案で一度使っただけです。ついでに言えば、この区割り法案とは昨年民主党・野田政権が解散をする際、一票の格差の憲法違反状態を脱するために緊急成立させた0増5減法案を実行する為であり、第三者機関である区割り確定委員会が区割り変更を行なったものです。民主党は解散をするための前提として、自身が成立させた0増5減法案を実施する為の区割り法案に反対するという支離滅裂な行動を取ったわけです。

さて話をねじれ国会に戻しますが、衆参ねじれであったためにいくつもの重要法案が未成立、ないし廃案になってしまいました。

例えばソマリア沖から石油や天然ガスを運んでくるタンカーが海賊に襲われます。これを外国船並みに軽武装した外国警備会社に警備を依頼する法案は廃案となりました。電力システム改革を進めていく電気事業法改正法案も廃案です。加えて山中教授のiPS細胞を実用化していくための法案も未成立となりました。革新的医薬品や医療機器を迅速に認可をしていくための薬事法改正案も未成立です。

衆議院でどんなに多数を持っていようと、参議院で過半数を持てない限り、野党がヘソを曲げれば審議は進みません。民主党政権下では常に党内がまとまらず、いつまで経っても結論が出ないという自身の問題が、「決められない政治」の最大要因でしたが、安倍政権下では政府与党が一丸となり決断するスピードは異次元の早さになりましたが、唯一の課題はそれを実施するための法律案が“ねじれ”でスムーズに成立をしないということです。

先の衆議院選挙では自民党が議席を取り過ぎたので、参議院では調整しようなどと真顔で言われる方がいますが、政治の決断スピードが日本再生の生命線になります。日本に残されている時間は長くはありません。衆参ねじれの解消が日本と日本国民にとって死活問題だということはおわかりいただけると思います。

先般、乱高下を演じた株価や為替の動向を見て、アベノミクスの息切れを指摘する一部マスコミや野党の声がありましたが、株価に一喜一憂するのではなく、実体経済の変化に注目をしていただきたいと思います。前政権下での第2四半期、第3四半期マイナス0.6%、マイナス3.6%と奈落の底に向かった日本経済は政権交代するやいなや、第1四半期プラス4.1%、第2四半期プラス3.数%の急回復をしています。

景気動向指数も6ヵ月間連続の上昇を示しました。今後は閣議決定したプランの実行を担保することです。秋の臨時国会は成長戦略実施国会になります。経済指標のうち唯一反転攻勢にまで達していない設備投資を一気呵成に推進していく国会にしなければなりません。

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