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金子勇氏の死を悼む。

21世紀初頭に「Winny」開発者として一躍“時の人”となったプログラマー・金子勇氏が、急性心筋梗塞により42歳という短い生涯を終えた、ということが報じられている・・・。

自分が、金子氏のお名前を聞いて思い出すもの、と言えば、2004年5月に逮捕されて以降、被疑者・被告人として法廷で闘ってこられたお姿のみ。それも、あくまで報道や壇弁護士のブログ等を通じて、間接的に伝え聞いたものでしかない。

「47氏」として某巨大掲示板上で活躍されていた姿を、自分がリアルタイムで目撃することはなかったし、今まさにあちこちのサイトで称えられている金子氏のプログラマーとしての才能だとか、“天才”たるゆえん、といったことについては、筆者の浅学無知さゆえ、どれだけ説明されても、本当の意味で理解することはできないだろう、と思う。


ただ、一つだけ言えることは、金子氏が文字通り「当事者」となったあの著作権法違反幇助事件は、日本の刑事訴訟の歴史に刻まれるものである、ということ。

そして、一審の京都地裁で「罰金刑」のみ、という判断が下されてもなお、金子氏があくまで「無罪」を求めて戦われたことが、最終的には、ソフトウェア開発者にも一定程度配慮した、あの最高裁判決を導くことにつながった、ということ。

金子氏ご自身は、2004年から2011年まで、技術者として脂の乗り切った7年間という歳月の多くを、法廷での戦いに費やすことになり、無罪確定後も、それと同じ時間を新たな開発に捧げることができないまま、この世を去らなければならなくなってしまったわけで、これはある種の“悲劇”とすら言えるのかもしれない。

ただ、あの最高裁判決が、近い将来、世の中のコンテンツ流通の在り方を劇的に変えるようなソフトウェアや画期的なサービスが世に現れた時に、“坊主憎けりゃ袈裟まで・・・”的な風潮で、安易に開発者に刑事責任追及の矛先を向けるような事態に歯止めをかけるための一つの材料になりうるものであることは間違いないわけで、そういった観点からも、金子氏の技術開発の世界に向けられた功績は、長く語り続けられていくべきもの、だと思うのである。

<過去の主な関連エントリー>

□最高裁判決後 http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20111222/1324751384

□高裁判決 http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20091010/1255263662

□地裁判決前 http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20061013/1160675462


今は、心よりご冥福をお祈りしたい。

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