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アベノミクスと呼ばれるリフレ政策の危険性

 7月4日に参院選が公示された。昨年12月の衆院選の勢いに乗って、参院でも自民・公明両党が、参議院でも過半数を獲得し、国会のねじれを解消するのかが最大の注目点となる。そもそもこの国会のねじれを生じさせたのが、2007年7月に実施された参院選において自民党が歴史的大敗を喫したことによるものであり、その時の首相が現在の安倍晋三であり、安倍首相はその雪辱を果たそうとしている。  

 今回の参院選の争点のひとつがアベノミクスへの評価となる。昨年11月の衆院解散後、リフレ的な発言を行ったことから、海外投資家による円売り・日本株買いを呼び込み、日経平均は昨年11月の8000円台から、今年5月には16000円近くまで上昇し、ドル円も80円割れから一時103円まで円安が進んだ。この急激な円安・株高の進行により、日本経済の回復への期待も強まり、安倍政権の経済政策はアベノミクスと呼ばれた。

 そのアベノミクスは三本の矢から形成されるとしたが、二本目の矢は昨年度の補正と今年度の予算編成における財政政策となった。しかし、金額はそれなりに使ったものの、その効果は目に見えるものではなかった。見方によれば借金だけさらに膨らませた格好とも言える。

 三本目の矢の成長戦略に期待が集まったが、出てきたものは寄せ集めに過ぎず、柱となるような大胆に政策は打ち出されなかった。市場で期待はずれと取られたことで、政府は設備投資減税について言及するといった慌て振りをみせていた。これについては既得権者との対立を回避するため、参院選を終えるまでは大胆な改革は打ち出せないとの見方があるが、自民党の政権基盤がそもそも既得権者が多いとなれば、選挙後も大胆な規制改革が打ち出されることは考えづらい。

 世界的なリスク後退の動きのなかでの、リフレ的な発言と実際の黒田日銀による異次元緩和と呼ばれる国債大量買入により、円安・株高の流れは維持された。5月にそれぞれ大きな調整が入ったが、これも大きな要因は世界的なリスク後退によるFRBの出口政策によるものであり、世界経済そのものの回復期待もあり、日経平均株価は底堅い動きを示している。

 つまり今回のアベノミクスと呼ばれる経済政策は、円安・株高を引き寄せて、それにより元々回復基調にあった経済を活性化させ、元々物価も上昇する方向に向いたいたところ、円安でその動きをやや早めたような動きであった。つまり、結果からみれば、うまくアベノミクスは、世界的なリスク後退の流れに乗っていただけと言える。

 円安・株高が継続する限り、日銀の異次元緩和の経路に間違いかあって長期金利が上昇しようが、非難が出るようなことはないのかもしれない。円安で多少物価が上がろうが、それはデフレからの脱却を意味すると捉えれば、むしろ良い兆候となるのかもしれない。しかし、アベノミクスと呼ばれるリフレ政策については、途中で修正しない限り、のちのち副作用が生じる懸念がある。

 それはすでに国債市場の流動性の低下といったかたちで現れている。セカンダリー市場が機能停止まではいかないにしろ、財務省が国債を発行して、それを入札した業者は一部を投資家に販売し、残りは日銀の買入に充てるような格好となり、日々流通するべき玉がカレント含めて日銀に吸い上げられた分、流動性が失われた格好になっている。

 いったん中央銀行による国債消化の依存度が高まると、市場の形態もそれにシフトするようなるのは当然であり、少なくとも国債消化については異次元緩和が継続する限りは問題はなくなる。これは国債管理政策にも影響を及ぼすことも考えられ、国債の需給面での緊張が緩和され、それは国債依存度を高める政府にも影響を及ぼす。財政規律の姿勢だけを見せて、内情は国債への依存度を高め、成長を促すことよりも政権維持が重視されるようになると、財政規律が緩む懸念がある。たとえ景気が多少回復し、物価が上昇しようとも、2%という物価目標は現在の日本経済を取り巻く環境下、かなり無理をしなければ達成は不可能。日銀が国債を大量に購入すれば、物価が上がるとの考え方には波及経路が存在していない。それでも達成するために、日銀が国債やリスク商品をさらに買い込むことになれば、昭和初期の高橋財政後の日銀以上に中銀への依存度が極端に高まり、何かしらのきっかけで日銀への信用、それはつまり円や国債の信用低下を引き起こす可能性が強まる。

 国債市場の日銀依存度の上昇は、市場機能の低下とともにボラティリティをさらに高めることが予想され、特に金利上昇のスピードを加速させる懸念がある。日銀への信認低下、政府の財政規律の緩みが意識されると、長期金利の2%以上という巨額債務を抱えた状態での未体験ゾーンに突入する懸念がある。そのときに、何が生じるかは予想が難しいが、信認低下による国債金利の上昇は、ギリシャやポルトガル、スペイン、イタリアでの事例も存在する。いったん長期金利の上昇が引き起こされると、その原因が日銀と政府にある限り、止められる存在がいなくなる。

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