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他人事ではないカネボウ化粧品の自主回収事件-二次不祥事のおそろしさ

すでに大きく報じられているとおり、花王の子会社であるカネボウ化粧品は、製品の自主回収を決めたそうです。同社と子会社が製造販売する美白化粧品54商品について、肌がまだらに白くなる被害情報が39件確認された、とのこと。

薬事法の認可を得て製造販売している商品に、このような被害症例が発生したということですから、ブランドイメージを毀損するものとして、カネボウ化粧品には相当厳しい事件です。もちろん原因が特定されてませんので、これをカネボウ化粧品の不祥事だと断定できるものではありません。また厚労省からは重篤な被害が出たとまでは言えないことから「回収命令」の対象とはされてなかったため、自主回収を決めたようです。しかしマスコミはカネボウ化粧品の「まだら美白」製品を世に出したこと以上に、その後の対応という、いわゆる「二次不祥事」に注目しています。これがカネボウにとっては厳しいところではないでしょうか。

これまで確認されている被害例は39件だそうですが、すでに2011年ころから発症事例がお客様窓口に報告されていたとのこと。この消費者窓口に寄せられていた報告について、社長は「病気(持病)であるという(窓口担当者の)思い込みが問題の認識を遅らせた」と悔やんでおられるそうです(時事通信ニュースはこちら)。

しかし、毎度申し上げていることですが、こういった苦情対応において、窓口担当者が「たいしたことではない」と思い込むのは通常の感覚であって、会社にとってマイナスの報告を窓口担当者が行うことを期待するほうがかなり無理があります。思い込みがまずかった、というのは後出しジャンケンの言訳であり、会社の構造的な欠陥を窓口担当者のミスにすり替えることになります。これでは再発を防止できるわけがありません。

NHKニュースが報じるところによると、これまでも窓口担当者は発症を報告していた人たちに対して皮膚科での診察を勧めていたそうで、会社側から医院を紹介していた、とのこと。「会社側は病院を紹介しましたが、病院側からは、利用者が持っている肌の病気と報告される場合が多かったことから、化粧品が原因とは認識せず、発覚が遅れた」と報じています。つまり、会社から紹介を受けた(会社と関係性のある?)医院の医師も、やはり会社側に対して「これはたいへんなことだ」と診断結果を報告することはかなりむずかしかったのではないかと推察されます(そもそも薬事法上の承認を得ている医薬部外品の化粧品の成分に問題あり、と断定する方向の意見は、通常の医師であっても困難ではないでしょうか)。

現に、カネボウ化粧品が今回自主回収を発表するに至ったのは、会社とは全く関係のない皮膚科医師より被害状況に関する報告がなされたことが原因です。会社とは何ら利害関係のない第三者の立場にある医師からの報告だからこそ、会社側は「これはまずい」ということになったものと思われます。

もし、最初に被害症例が報告されていた2011年ころから真摯に対応され、「被害のおそれがある」という段階で自主回収に出ていれば、多大な回収費用を必要とすることにはなりますが、一番大切なブランドイメージの毀損は防ぐことができたのではないでしょうか。リコール問題はメーカーにとって厳しい判断を迫られる場面ですが、社会的信用を守ることが大切な時代、そのあたりの経営判断について、どこの企業でも他人事では済まされない教訓を示している事例だと思われます。リスク判断を真剣に検討しれいれば、会社が本質的にもっている構造的欠陥、たとえば窓口担当者のバイアス問題や委託先医師の意見が会社寄りになってしまうリスクにも思いが至るかもしれません。今後の続報について注目しておきたいところです。

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