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想田監督の映画「選挙(1)」を見る

先日の「憲法崖っぷち!6・15作戦会議」にも出席した想田和弘監督の「選挙」を見てきました(渋谷イメージフォーラム・7月5日まで)。翌日から公開される「選挙2」に先行してのリバイバル上映です。海外で受賞して話題になった作品ですが、まだ見ていませんでした。

 ズブの素人が自民党の公認候補になり、2007年の参議院選挙、川崎市長選挙、宮前区選出市会議員補欠選挙のトリプル選挙に立候補し、僅差で市議に当選するまでを追ったドキュメンタリーです。主人公の山内和彦氏は、想田氏の友人だったので、格好の「観察映画」の対象になりました。

 この映画には、ナレーションも音楽もありません、事情説明の字幕さえもなく、ただ主人公と周辺の風景を追って行きます。英語字幕だけはついていて、それが会話の声が不明瞭な場面では理解の助けになるという不思議な経験をしました。

 地縁さえもない候補者ですから、自民党公認の下に純粋培養されるようなものです。ベテランの先輩議員や参謀たちに囲まれて、演説の言葉はもとより、おじきの仕方、握手の仕方など、当選に必要なあらゆる芸を仕込まれて行くことになります。本人には政治家に転身するについて何がしかの目的があった筈ですが、しだいに当選至上主義の「自民党集票マシーン」の歯車として、自発的に回転して行くようになるのです。

 あらゆるツテを頼って、幼稚園の運動会でも老人福祉の集まりでも町内の祭りで神輿かつぎでも、人の集まる所ならどこへでも顔を出して笑顔と握手を繰り返します。駅前では通勤者に頭を下げ、町内では人の姿を見かけたら駆け寄って握手をするのが、「選挙運動」というものの、ほとんどすべての具体的な内容なのでした。国政選挙が始れば、小泉純一郎首相など大物政治家に相乗りしての宣伝も行われます。裏方では、ダイレクトメールの山や、電話作戦が同時進行しています。

 それらの総合効果として候補者は当選します。しかしこれが本当の「政治活動」なのだろうかという疑問は、候補者の表情や、夫婦の会話で暗示されていました。同じ候補者が、自民党を離れ、無所属で戦った「選挙2」ではどうなるのか、次作品もぜひ見たいと思いました。

 いろいろな見方のできる映画でしょうが、総理大臣から地方議員に至るまで、ガッチリ固まっている自民党型「集票マシーン」のすごさのわかる映画です。しかし一方では、こうした選挙手法の問題点というか、むしろ弱点をも露呈しているように私には思えました。利権と情実でしか選挙の票は集められないのでしょうか。選挙民とは、常にその程度のレベルの存在なのでしょうか。

 想田監督は「選挙2を見てから投票して下さい」と言っていました。どんな映画が出来ているのか、「東日本大震災の惨状を見て、作らなければならないと思った」という監督の言葉が気になっています。

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