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共産党という立派な「受け皿」があったじゃないか

都議選の結果について報じた昨日の『朝日新聞』の論評を読んで、大きな違和感を感じました。共産党が政権批判の「受け皿」となって野党第1党に躍進したことを全く評価していないように受け取られたからです。
 どうして、共産党が政権批判の受け皿ではいけないのでしょうか。都議選では共産党という立派な『受け皿』があったではありませんか。それは参院選での政権批判の「受け皿」にもなるはずではありませんか。

 たとえば、1面に掲載された峰久和哲編集委員の「政権批判票、共産へ」という論評は、「批判票を取り込んだのは共産党で、長らく『反自民』の受け皿だった民主党はすっかり影が薄くなっていた」と書いています。しかし、民主党の影がすっかり薄くなっていたのはその通りですが、「長らく『反自民』の受け皿だった民主党」などという評価は間違っています。これまでも民主党は「半自民」であり、政権批判の票をかすめ取るために「反自民」の看板を利用したにすぎませんでした。
 また、「政権批判票を投じたい人にとって、選択肢を見つけるのが難しい様子が見て取れる」というのは、ことさら共産党の存在を無視しているように読めます。もし、「選択肢を見つけるのが難し」かったのであれば、どうして「政権批判票、共産へ」というような状況が生まれたのでしょうか。
 「政権批判票を投じたい人にとって」有効な「選択肢」として認知されたからこそ、共産党議席の倍増という結果が生じたのではありませんか。まず、この事実を直視するべきでしょう。

 これに続けて、「維新とみんなの選挙協力が実現していれば、単純計算で民主や共産をはるかに上回る得票率が見込まれた選挙区が数多い。反自民票の行方が全く違う方向になっていた可能性もあった」と書くにいたっては、呆れてしまいます。維新とみんなが選挙協力をしていれば、民主党はさらに議席を減らし、共産党はこれほど増えなかっただろうというわけです。
 さも、そうならなかったのが残念だったかのような書きぶりです。「反自民票の行方が全く違う方向になってい」て、共産党がこんなに増えない方が良かったと言いたいのでしょうか。
 「維新とみんなの選挙協力が実現」しなかったのは、維新の橋下代表の慰安婦発言が都民の大きな批判を受けたからです。このような政党とみんなの党が選挙協力したからといって、それが「反自民票」の「受け皿」になり得たでしょうか。せいぜい「非自民票」の吹きだまりになっただけでしょう。

 2面でも、前田直人編集委員が「『受け皿』作り 全力で競え」という表題の下、「今回の選挙選でも野党は充分な受け皿を用意しきれなかった」と書いています。ここでも、「受け皿」としての共産党の存在は無視されています。
 そして、「参院選の審判まであと1カ月。各党は失望の連鎖を止め、論戦を通じて選挙公約を築き上げるべきだ。多様なニーズをくみ取る『受け皿』づくりを、全力で競い合って欲しい」と続けています。与党の過半数獲得を阻止して独走を阻みむために野党はもっとガンバレと言いたい気持ちは分かります。私もそう言いたい。
 しかし、その「受け皿」としての共産党の存在をことさら無視するような書き方には違和感があります。「反自民」ということであれば、その最強の「受け皿」こそ、共産党だからです。

 そもそも、民主党が消費税増税の3党合意やTPPへの参加、脱原発路線の曖昧化や原発再稼働などの方針に転じ、もはや「反自民」ではなくなったから「裏切り者」として有権者から断罪されたのではありませんか。この民主党に、消費税増税の3党合意を焚きつけたのは一体誰だったのでしょうか。
 『朝日新聞』などのマスメディアではありませんか。「決められる政治」を掲げて自民党や公明党との妥協を迫った過去を忘れてしまったのでしょうか。
 自らが働きかけて公約違反に引きずり込み、「反自民」の看板に泥を塗らせておいて、今になってから「論戦を通じて選挙公約を築き上げるべきだ。多様なニーズをくみ取る『受け皿』づくりを、全力で競い合って欲しい」と注文するとは。民主党にしても「何を今さら」、「やってられないよ」という気持ちでしょう。

 民主党には、自民党に擦り寄ったこの間の政策転換の誤りを正すこと、明確に「反自民」の立場に立った政権批判を展開することを求めるべきでしょう。同時に、『朝日新聞』も、民主党の変質を促進するうえでメディアが果たした役割を反省し、自らの報道姿勢を正すべきではないでしょうか。
 「反自民」の強力な「受け皿」として存在感を増している共産党を無視することも改めるべきです。そんなことを続けていれば、今度は『朝日新聞』の方が購読者にそっぽを向かれ、無視されることになるでしょうから。

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