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たとえ、もったいなくみえても。

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リンク先を見るインフル薬1800万人分処分へ 300億円分期限切れ (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュースリンク先を見る


新型インフルエンザに備え、国と都道府県が備蓄している抗インフルエンザ薬のうち、約1800万人分が今夏以降、廃棄を迫られる。使用期限の7年を迎えるため。300億円超分に相当し「もったいない」との声が出ている。国はより効率的な備蓄方法を検討する方針だが、妙案は見つかっていない。

ここでいう「備蓄している抗インフルエンザ薬」というのは、いつ起るかわからない大流行に備えての「保険」のような意味合いを持つ薬です。だから、使わずに使用期限が来たとしても、いわば「掛け捨ての保険を使わずに済んだ」ということで、それはそれで必要な経費なのだと思います。「もったいない」という見方があるとすれば、それはちょっと違うかな、とおもいます。

薬の成分は、温度や湿気、光によって、分解したり変化を受けたりします。このようにして出来た物質については、効果や安全性は保証出来ません。そのため、長期に渡る安定性試験を行い、どの程度の期間で薬の成分が変化するかを調べます。具体的には、3年とか4年の期間、薬を一定の環境に保管して、保存期間後に薬の成分を分析し、どの程度の分解物ができているかを確認します。

抗インフルエンザ薬(タミフル)の場合、安定性試験は5年間行われました。そのデータを統計解析した結果、設定された有効期間が7年間です(有効期限が7年に設定された事自体が、備蓄薬の廃棄問題を想定してのものだったようです)。これ以上長い期間の安定性試験の結果を得ることは、現在、試験が継続されていない限り難しいでしょう(今から、7年以上の安定性試験をやる意味はないでしょうし)。また、もったいないから、といって、廃棄処分となる錠剤から主成分である化合物を分離抽出し、新しい錠剤を作り直す、というのも、コストや安全性を考えると、あまり賢い考え方とはいえません。

あれこれ考える以前に、「どうしても必要なものは、たとえもったいなくみえても準備する」という姿勢は持っててもらいたいと思います。もちろん、「本当に必要なものなのか、について、常に吟味する」ということとセットで。

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