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海外勢の保有比率 ~1面トップで報じられる株式と、一切報じられない日本国債

「おおむね海外投資家を示す『外国法人等』の保有比率(金額ベース)は前年度比1.7ポイント増の28.0%と、06年度の27.8%を上回り過去最高になった。投資部門別売買動向では年度を通じて5兆2843億円の買い越しになるなど、金融緩和や景気回復への期待感から海外投資家による資金流入が統計上に表れた」

21日付日本経済新聞(14版)は、「日本株、海外勢の保有比率が最高の28% 12年度」という見出しで、海外投資家の日本株保有比率が過去最高になったことを、1面で、米国の金融緩和縮小を受けた市場の混乱のすぐ横で報じている。こうした紙面構成は、海外勢の日本株保有比率が過去最大になったことを報じることで、日本の株式市場の魅力は不変であるという印象を与えようとしているかのようであった。

日本株の海外勢の保有比率が過去最高になった事実は1面トップで報じられたが、19日に日銀から発表された「資金循環勘定」で明らかになった、日本国債の「海外による保有」については何も報じられていない。半年ほど前、2012年9月末時点で国債の「海外による保有」が過去最高の9.1%に達したことが報じられた際には多くのメディアが「国内消化が難しくなって来た」「短期売買をする海外投資家の影響を受ける」と騒ぎ立てたが、その熱はどこに消えてしまったのだろうか。

日本国債の「海外による保有」比率は、2013年3月末時点で8.4%と、2012年9月末比で0.7%の低下、金額にして約4.6兆円の減少となった。そして、この減少した約4.6兆円は、殆ど全て「短期(国債)」の減少分である。2011年度以降、長期債の「海外による保有」は、概ね30兆円前半での変動になっているが、短期債は35兆円弱から50兆円超へ、そして今回46兆円強へと大きく変動している。

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統計からも明らかなように、2008年のリーマンショックを境に、海外勢が保有している日本国債は「短期国債」が半分以上を占めるようになって来ている。こうしたことから言えることは、ここ数年日本国債の「海外による保有」が増加して来たのは、日本国債に投資する投資家よりも、円高にベットする海外投資家が増えて来たことを反映したものだったということである。

円高にベットするために日本の短期国債を保有する海外投資家が、日本の財政破綻を材料に日本国債を売り仕掛ける可能性はどの位あるのだろうか。日本経済新聞が日本国債の「海外による保有」比率について一切報じないのは、財政破綻論者の根拠が怪しくなって来たことの証明かもしれない。

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