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原子力ムラの御用メディア・日経を読めば読むほど、原発は必要ない

以下は、高市早苗の進退問題をめぐる本日(6月20日)日経朝刊の記事。

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 自民党の高市早苗政調会長は19日、東京電力福島第1原発事故で死亡者が出ていないとして再稼働の必要性を主張した自身の発言について「撤回し、おわび申し上げる」と謝罪した。野党の辞任要求は「進退は安倍晋三首相に任せる」とした。党本部で記者団に語った。
 訪欧中の首相は菅義偉官房長官と電話で協議し「今後発言に注意し、そういう中で政調会長の職務はこれからもしっかりと務めてほしい」と続投を指示した。菅長官が記者会見で明らかにした。
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上記の記事のように、高市発言については「原発事故による死者が出ていない」という発言がクローズアップされているが、私は昨日のエントリーでも書いたように「原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働している間はコストが比較的安い。」という部分がもう一つのポイントだと私は思う。
しかし、日経はこの廃炉コスト(放射性廃棄物の最終処分も含む)については、極力触れないようにしている。

同じく日経朝刊(総合2)の『原発、来夏に複数稼働 規制委が新基準  「第1号」伊方・川内が有力 電力、申請急ぐ 」』のリードは以下のとおり。

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 原子力規制委員会が19日に原子力発電所の安全を保つための新しい規制基準を決めた。電力各社は施行日の7月8日に向けてどの原発の再稼働を申請するか検討を急ぐ。第1号の再稼働が固まるのは最短で年末年始とみられ、電力需要が膨れる来夏には複数の原発が稼働しそうだ。電力供給の不安が薄れる半面、安全対策の強化はコスト増を通じて新たな値上げ要因を生む。
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「来夏の電力供給の不安が薄れる」というが、今夏を何の問題もなく乗り切れば、来夏も問題ない。なにしろ昨夏も問題なかったのだから。
そして、この記事、「安全対策強化がコスト増要因」とは書いているが、高市早苗が言うところの「廃炉にかかる莫大な金」については、やはり言及していない。

ちなみにこの記事によれば、再稼働の「第1号の有力候補は四国電力伊方原発3号機(愛媛県)と、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に絞られてきた。活断層の疑いがなく、高台にあり津波の恐れも小さい。地元の理解も進む。」のだという。
伊方原発の目の前に中央構造線ががあることは、知られた事実である。もちろん、原子力ムラから見れば、それは活断層ではないのかもしれないが、少なくともそういう議論が一方にあることは事実で、ジャーナリズムならばそれを読者に知らせなければならないが、もちろん御用メディアはそのようなことはしないのである。

またこの記事によれば、再稼働の「隠れた焦点は東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)」だそうだ。その理由は、「社内には「申請第1陣に入れなければ中堅・若手の離職が加速する」と悲観論が渦巻く。」からだという。

原子力発電の基本は「止める、冷やす、閉じ込める」だといわれる。ところが、福島第一原発事故後も東京電力は、汚染水を漏洩させている(しかも最終的には閉じ込めるどころか、海に垂れ流そうとしている)。
つまり基本の「き」もできていないわけだが、そういう会社が原発を再稼働させたい理由はこのままでは「中堅・若手の離職が加速する」からだというのでは、話にならない。
この記事の締めくくりは、

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 大手電力9社と日本原子力発電の10社の安全対策費は判明分だけで約1兆3300億円に上る。規制委が基準骨子案を公表した1月末の約8700億円から1.5倍に膨らんだ。対策にかかる投資の増大分は原則として電気料金に上乗せされる。「さらに対策費が膨らむ可能性もある」と関電幹部は認める。
 一方で原発の選別も進みそうだ。法律で運転は原則40年間に制限された。古い原発は安全対策に巨額の投資をしても稼働期間が短く、投資を回収できない。九州電の瓜生道明社長は運転30年超の玄海1、2号機について「追加された規制への対策コストも踏まえて再稼働を検討する」と語る。新増設が当面見込めない各社は廃炉にも踏み込みにくい弱みを抱える。
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そもそも原発というのは、他の発電方法よりコストが安いというのが最大のウリだったはずだ。ところが安全対策をすると、どんどんコストが上がっていき、それは電気料金に上乗せするという。
だったらこんなものはやめりゃあいいのに、それをやめないのは、ようするに原発を動かさないと経営が行き詰まるということに尽きる。

同じく日経朝刊(総合2)の以下の記事は、上記の記事に関連する編集委員(久保田啓介)の署名記事だ。タイトルは『「安全文化」培う出発点』。以下はその一部。

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 原子力規制委員会が原発の新規制基準を決めたことで、福島第1原発事故を教訓とした安全対策の器ができた。田中俊一委員長が指摘するように、今後重要なのは「そこに魂を入れる」ことだ。電力会社と規制委の双方が、安全を最優先に考える「安全文化」を培う出発点にすべきだ。
 新基準はこれまで電力会社任せだった重大事故対策のほか、テロや飛行機の衝突なども想定。考えられる対策はひととおり盛ったといえる。
 規制委は電力会社の申請を綿密、迅速に審査し、直下に活断層があると断定されれば、廃炉にするなど原発の選別は避けられない。一方、原発の長期停止による経済への悪影響を考えれば、安全性を確認できた原発は早く再稼働させるべきだ。
(以下略)
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サラッと書いているが、「原発の長期停止による経済への悪影響」とは何なんのか? コスト面では安全対策を積み増せば電力料金はどんどん高くなる。では電力供給はどうかといえば、これは大飯原発が再稼働した時と同様、再稼働した原発の発電量分だけ、他の発電所を止めるのである。

もちろん、火力発電所を動かせば燃料費は上がるだろう。しかし、原発以外の発電方法の場合、老朽化した発電所を解体するにしても、その際のコストは原発の廃炉コストとはまったくもって比較にならないほど小さい。
また、廃棄物を万年単位で保管する必要もないし、そもそもその廃棄物の保管所を探して建設するなどという必要もない。

原子力規制委員会は原発の新規制基準で『「大量の放射性物質を放出する重大事故が起きるのは、1基あたり100万年に1回以下にする」との安全目標を定めた。』(日経)という。
が、実際には原発が稼働してわずか数十年で、すでに「100万年に1回以下に」しなければならない重大事故が起きたのである(しかも3機同時に)。そして、今の世代が全員死んだ後も、その処理に後世の人びとは苦しむことになる。
原発は現状でも十分過ぎるほど行き詰まっているのに、さらに行き詰まる方向へ持っていってどうするのか?
「重大事故は100万年に1回以下」などという、そもそも荒唐無稽な想定をしなければならない発電方法に、いったい何の意味があるのか?
原子力ムラの御用をつとめる日経の記事を読んでも、さっぱりわからない。いや、読めば読むほど、「やっぱりやめた方がいいだろ」という結論しか出ないのである。

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