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松阪競輪の委員会審査

松阪競輪を“事実上の民営化”(山中光茂市長)することによる存続、再生の方向に、議会の大勢は動いた。
わたしも属する、松阪市議会文教経済委員会は、本会議からの付託を受け、17日に開かれた委員会で反対1(海住恒幸)を除く委員(6人)全員が、市長提案の再生策へ賛成に回った。
議会としての意思決定は、今任期の議会最終日の21日の本会議で決まる。
議会は、昨年11月と12月28日の2回、市長提案を一蹴してきたが、3月の平成25年度当初予算審議で民間事業者の公開プレゼンテーションを開催するための経費を盛り込んだ市長提案には賛成多数で可決しており、承認する流れが出来上がったようだ。

今回は、当初予算で承認したプレゼンに応募し、6月1日に実施したプレゼンに1社のみ参加した日本写真判定会社の提案を受け、同社に包括委託するための経費として競輪事業特別会計に2億6200万円を計上したほか、当初予算では上げていなかった25年度下半期の競輪開催経費を加えた。このことで、25年度の競輪事業特別会計は、25年度当初が19億3700万円だったのに対し、今回の補正で79億5700万円を追加し、計98億9500万円とするものだ。

予算計上の流れが複雑になったが、今回と、これまでの市長提案の違いはこうだ。

平成24年11月の予算案は、平成25年度〜27年度の3か年にわたって、民間委託のため、一般会計からの債務負担行為として上限2億1000万円の予算確保を約束することを前提とした議案だった。
これでは、本来、一般会計(自治体)の財政健全化に寄与することを目的に運営されるべき競輪事業特別会計が、一般会計からの支援を受けるという逆援助となることから、議会は反対。債務負担の部分を削除する修正案を可決した。
仕事納めの12月28日に開催した臨時議会では、債務負担行為の提案はなく、再生案のためのプレゼン開催費を設定するための補正予算を盛ろすとするものだったが、これも否決した。

こうした経過はったが、その後、競輪事業に伴う赤字は、委託を受ける民間事業者がすべて引き受け、収益が上がった場合は市と折半するという提案が日本写真判定会社から持ち上がったことで流れは変わった。

6月1日午後、市役所5階会議室で公開で開催されたプレゼンに唯一参加した日本写真判定の社長で弁護士でもある渡辺俊太郎氏は、「なぜ赤字補てんをしてまで受託を希望するのか」という理由まで踏み込んだプレゼンを行った。
同社は、「競輪が無くなれば存続できない会社=競輪と運命共同体」であるとして、松阪競輪の再生にかけることに社の存続をかけるとした。

この業界に入ってまだ6年であるという渡辺氏であるが、「競輪というコンテンツ」の魅力が無くなったわけではなく、「近い将来、競輪は、野球、サッカーと並ぶメジャースポーツになる」と語った。

こうした提案に、審査会は「魅力ある提案」と受け止めたと同様、議会も、一般会計からの繰入はまったく無いという予算の方向に、反対理由は無くなっていった。

わたしは、渡辺社長の提案に魅力は感じるとしつつも、次のような反対を述べた。

日本写真判定の提案には心動かされるものがあるが、唯一、わたしと異なるのは、競輪を「魅力あるコンテンツ」と受け止めるかどうかの違いだ。

松阪競輪の自己資金は3000万円(競輪事業の財政調整基金と呼ばれる貯金)しかなく、これで年間98億円の事業を実施する。
祈念競輪と呼ばれる大きなレース開催に要する経費も、金融機関から60億、70億円を一時借り入れを行い、返しては借りるという自転車操業である。
記念レースの売上げで返済を見込むものであるが、それを繰り返すわけで、競輪は自治体が開設する事業として適切でないと考える。
昨年秋のように売上げが想定以上に落ち込んだ場合、たちまち、資金が不足するようになる。
まさにバクチである。

愛知県の一宮競輪は、廃止の方向を決めた。一宮競輪は、存廃を決める検討委員会で、市税を投入する事態となれば撤退する方向性を決め、2013年の収支を判断材料とするとしてたが、市は早々と撤退の方向を打ち出した。

松阪市の検討委員会も、平成22年度に、一宮と同様の趣旨の方向性を出している。

競輪は、松阪に限らず全国で客離れが進んでいる。特に、松阪のように近隣に大きな人口のない地方競輪の赤字が目立つ。
そんな中、同社が再生に取り組んだ事例として紹介されている富山競輪は、松阪競輪と四日市競輪を合わせた入場者のある競輪場であることから想起されるように、三重県内では松阪と四日市を合わせて一つとするくらいが適切でないのかと考える。

現時点ならば、累積した赤字はなく、撤退する時期はいまであると考える。

松阪市は、一般会計からの赤字補てんはしない。
予算として計上されている包括業務委託事業経費の約2億6200万円は、日本写真判定社に委托するための経費ではあるが、この内訳は日本写真判定が、競輪事業を運営ていくために各種業者や従事者に支払うためのもので、同社の取り分は含まれていない。契約のあり方として正常ではないと考える。
(もちろん、写真判定業務は、日本写真判定が実施するであろうが、24年度で5800万円の委託費にすぎない)

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