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私が考える「愛国」とは

明治天皇は近隣諸国への友好の精神を歌で遺されました。「四方の海 みなはらからと思う世に など波風の立ち騒ぐらむ」(四方の海にある国々は皆兄弟姉妹と思う世に どうして波風が騒ぎ立つことなどあるだろうか)――実は昭和天皇も太平洋戦争直前の御前会議でこの歌をお詠みになられました。

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開戦前の緊張状態にあって敢えてこの歌を持ち出されたご心中が察せられます。翻って現代を観るに、憎悪に満ちた表現で他国の人々を貶めたりする発想は、明治天皇の大御心とは真逆に映ります。

「愛国」とは、自国の文化伝統を誇りに思い、世界中から信頼され尊敬される国造りに全力を尽くすことだと思います。信頼や尊敬は、力で強要できるものではありません。教養に裏付けられ、思慮分別に溢れた、気高く真摯な言動の積み重ねによって、自ずと醸成されていくものです。まさに、日本国憲法前文でいう「名誉ある地位」にあたります。

日本スポーツの父であり、講道館柔道の始祖であられる嘉納治五郎先生は、日本で初めて、中国からの本格的留学生受け入れを始められました。実は、あの文豪・魯迅も、そこから生まれました。こうした先生だからこそ、アジア初の国際オリンピック委員会委員にも選ばれ、幻の1940年東京オリンピック招致にも成功されたのです。

最近、日本の為政者の一部に、偏狭なナショナリズムを煽る感情的な物言いが目立ち、それに呼応するネット言論の暴走が目立ってはいますが、理性をもって冷静に隣国と対話しようと思っている日本人がほとんどであることも海外の方には知っていただきたいものです。

5月7日の参院予算委員会で、私が安倍総理に対し、「ヘイトスピーチを自粛するよう総理から促してください」とお願いし、総理からも満額の回答をいただきました。多くの方から格調高いかみ合ったやり取りだったと高い評価をいただきました。が、一方でネット上では、「日本のための政治をしろ」「売国奴」等々、それはもう非難轟々の嵐でした。実は、いまだに「愛国心が無い」といった抗議を受けることがあります。

今回、文頭から、明治天皇の和歌をご紹介したのは、私の抱く日本を愛する気持ちを表すためです。また、ヘイトスピーチの排除=愛国心がない、という短絡思考への反証です。

私が国会質問に取り上げたヘイトスピーチの横行も、維新の会が現行憲法を「日本を孤立と軽蔑の対象におとしめた」と位置付けた党綱領にも根底に流れる風潮があります。景気の低迷、社会の閉塞感を、自虐史観や諸外国との関係にその原因を短絡的に求める。これまでの国際関係を打ち壊すような刺激的な言動が受け入れられる。過激な右翼的言動をする「ネトウヨ」はその象徴です。経済では国際競争と国際協調が繰り返される、その反動としてナショナリズムが勃興するのは、日本や東アジアに限った話ではありません。

加速する「右傾化」を追い風に、自民党はすでに改憲草案で国防軍創設、表現の自由の制限を堂々と打ち出しています。

自民党案では国民が国家を制約するのが憲法であるという立憲主義に否定的な考えが随所ににじみ出ています。維新の憲法観も同様に思えます。

徴兵制につながる国防軍の創設に反対であるとの意見を述べると、「国防軍や徴兵制がなくて、どうやって国を守るのか?」などの罵声を浴びせられました。

確かに、尖閣諸島も、朝鮮半島も、非常に緊張感が高まっているのは事実です。だからこそ、専守防衛の自衛隊の体制を十分に整備し、教育や医療で国際貢献することで諸外国との相互信頼を深め、五輪をホストし、世界中に友好国を作っていく事などが最大の安全保障だと、主張したいと思います。

(2013年6月5日ハフィントンポストにて初稿掲載、写真は明治神宮=Wikipediaより転載=)

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