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  • 2013年06月16日 21:15

国連でいきなり上田大使が"Shut up!"とキレてしまった訳

 今日のテーマは国連の拷問禁止委員会における対日審査のなかで、出席した上田秀明人権人道担当大使が「Shut up」と発言したことについてです。

 本来もう少し早く書こうと思っていたのですが、中国でどういう形で報道されるか興味があったので、それを待っていたら遅くなってしまいました。紹介するのは、『中国網』が掲載していた「日本大使联合国会议上大声呵斥“闭嘴” 惹争议」という記事になります。

1 記事の紹介

 最初にいつものとおり、記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 中国網6月15日配信、NHKのサイトが6月14日に伝えたところによると、先月、スイスのジュネーブで開催された国連の会議で、日本の人権人道大使は会場から聞こえた笑い声に対して大声で「黙れ」としかりつけたが、この全過程が動画サイトで伝えられ、論争を呼んでいる。

 事件は5月22日開催の国連拷問禁止委員会で発生し、当時出席していた日本の大使、上田秀明が閉会の言葉を述べた。

 会議では日本の刑事・司法制度について審査を行っていたが、その内1名の委員が「逮捕された大部分の者が有罪となる。このような日本の刑事・司法制度は中世の産物の様だ。」と述べた。

 これに対し、上田は「日本は人権の分野で最も発達している国家の中の一つだ。」と反論を行った。この発言が会場の笑い声を引き起こしたので、上田大使は怒り、「黙れ、何を笑っている!」と述べた。

 この間の対話は動画サイトに掲載され、世論の大きな関心を呼んだ。委員会に参加した関係者は、「このような場面で、大使クラスの口から『黙れ』といった言葉がでるのは、滅多になく、だから驚いている」と語った。

 一方、ある人は、「会議の中の笑い声は、わきで聞いていた非政府組織の関連職員が起こしたもので、大使の発言は彼らに対するものだ」と指摘している。


2 中国の反応

 「Shut up」という言葉の意味については、日本語の「黙れ」に相当するものではない等の意見もありますが、中国語では、「闭嘴」(口を閉じろ)と訳されており、文字通り「黙れ」の意味で訳されております。

 「闭嘴」は、中国語でもかなり強い命令口調で、間違っても立場が上の方に使える言葉ではないので、ニュアンスとしては、最も適した言葉かと思います。

 正直もう少し面白い反応があるかと思ったのすが、基本的に事実の報道だけで、あまり面白くありません。中国政府も直接自国と関係がないので、どう報道するか見解を示していない結果かと思います(ベトナムの海洋法成立に対する中国のプロパガンダの失敗)。

3 外交の意義

 私は「外交」とは、自国に有利になるのように交渉事等を行うことと考えており(中国の日本に対する感情と外国排斥運動2)、当然その中には日本国のイメージ向上なども含まれます。

 今回は、「中世」と言われたことに対して、「人権分野で最も進んでいる」と全く回答にならない回答をしている上に、「Shut up」などという国際会議で通常、聞いたこともないような言葉を使ってしまったわけで、これが外交官のすることかというのが正直な感想です。

 理論や例を挙げてきちんと説明すべきところ、いきなりどなりつけて相手を黙らすということ自体が、「前近代的」で、これでは自分が自ら「中世的」ということを「証明」しているのではないかと言われても反論できないと考えます。

4 怒る日本人

 日本人は「わからない」とアメリカ人等から言われることがあります。というのは、負担はニコニコと何を言われても笑っているのに、いきなり怒りだすからで、何がきっかけで怒り出すかわからず、いきなり極端から極端に行くためと聞いたことがあります。

 本来なら議論をして、自分の我慢できる許容範囲などを相手に示しておけば、相手はそれ以上のことをしようとはしませんが、日本(人)はそうしたことを提示せず、如何にも何をしても良い様な感じを与えてしまいがちです。

 ところが、当然そんなことはあろうはずもなく、日本(人)にしてみれば、いつか相手は自分の気持ちがわかってくれるだろうと我慢しているだけの話です。

 ところが、他国では日本の「常識」が通じるはずもなく、日本であれば、「相手に推測してくれ」、「自分の気持ちを分からない相手が悪い」等と言えますが、国際社会ではその様な「気配り」を相手に要求する方がまちがっています。

 そのため、いつか分かってくれるだろうと最初は我慢してニコニコしているわけですが、ある限界点を突破するといきなりキレてしまうわけで、確かにさっきまで笑っていたのに、いきなり怒り出す日本人を見て奇異に感じる外国の方も多いと思います。

5 最後に

 ある意味中国との歴史認識についての議論も同じで、これまでこの話題がでると日本(政府)は基本的に一方的に謝罪をするだけだったのですが、ここのところの対応を見ていると、どうもキレた状態に達しているのではないかと思っております(日本を批判しすぎた結果、中国の日本批判の効果が限られてきたか)。

 思うに、上田大使も本人の限界点を超してしまい、いきなり「きれて」しまったのでしょう。当然こうした行為は外交官としては「失格」もので、彼の弁解をするつもりは毛頭ありません。

 しかし正直、私自身、恥ずかしい話ですが、中国留学中に同室のドイツ人に「きれて」同じ様なことをしてしまいびっくりされたことがあります。

 国際社会で必要なのは、相手に「ミステリアス」だとか「何をするかわからない」と思わせることではなく、日本(自国)に対しての許容範囲をきちんと明示することで、これをしたら、日本は反撃にでるということを相手に示しておくことが肝要かと考えます。

 そういう意味で、私は「友好」を重視して言いたいことを言わないのではなく、相手を理解するため、相手に自分を理解させるため、言いたいこと(自分の考えや感情)はきちんと相手に伝え、言葉で日本人とはこういうことを考えているということをわかってもらうように努力することが必要なのではないかと考えています(靖国参拝で中国が韓国と日本を批判、その他の国は2)。

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