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NPB規格変更問題からみる「不確実性」とはいえない企業不祥事

もはや出遅れ感のある話題ですが、NPBの統一球規格変更問題について一言だけ触れておきたいと思います。NPBが選手や球団、そしてファンの方々に事前公表せずに規格を変更したことについて、今後第三者委員会による調査が行われるとのことですが、今回のことについて、コミッショナーは「不祥事とは思わない」というご主張を繰り返して発言されています。

しかし今回の一連の件は、オリンパス事件や大王製紙事件の際に(当ブログにて)申し上げたことと全く同じであり、組織にとっては「不祥事」に該当するものです。たしかに選手らに無断で規格を変更した、ということの問題だけに絞れば「組織としての隠ぺい」と言えるかどうかの解釈問題なので、コミッショナーの立場からは事実がはっきりしないのであれば不祥事ではないとの言葉が出てくるかもしれません(もちろんコミッショナーが真実を語っている、ということが前提ですが)。しかし、そもそも統一球の規格変更という、まさに重要な事項がトップに報告されず、また重要な意思決定に関与もしていない、ということ自体が組織の不祥事です。ダルビッシュ投手が、今回の件を知り、ブログにて「トップの人がそんなことを知らないってことのほうが問題ではないの?」と発言されていましたが、まさにその感覚のとおりです。

オリンパス社の損失飛ばし・飛ばし解消スキームの実行自体も不祥事ですが、第三者委員会報告書でも大きく取り上げられたとおり、そのような不正を知っていながら放置していた組織、疑惑があるにもかかわらず調査を回避していた組織、不正が発覚しかけたときにばれないように工作する組織といった「個人の責任を追及できないけれども不正を容認する組織としての行動」こそ最大の企業不祥事であり、これこそ被害者の損失を拡大した要因だと思います。外部から組織としての不祥事を追及されることをおそれて、もっともらしい理由を作って個人の責任に仕立て上げ、社内処分をもって(社会からの)責任追及を回避する事例も最近はよく見かけるところです。コンプライアンスが単なる「法令遵守」と訳されるのではなく、まさに企業の社会的評価として組織に向けられる時代だからこそ、組織としての行動が企業不祥事として捉えられるべきだと考えます。

オリンパス事件を経験して、不正リスクには二つの側面があることを知りました。ひとつは言葉どおり不確実性に関するリスクです。損失飛ばしという不正が行われることは、企業にとって「不確実」な事件です。だからこそ、社長は「起きるかどうかわからないけど、起こらないような対策を立てよう」と考えます。そしてもうひとつは複雑性のリスクです。起きることは確実(すでに起きているかもしれない)で対処を要するが、どう対処したらよいかわからない、という問題です。不正を許容してしまう企業風土というのは、まさにこの複雑性リスクです。社長さんがこの風土にどのように対処するかは、担当部署に任せることはできず、まさに経営マターの問題です。

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