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第266号(2013年6月10日)

アベノミクスの肝になる成長戦略が今週の閣議決定になります。

かねて総理からサミット出発前までにまとめてほしいという要請を頂いておりました。成長戦略は、都合250項目からなる壮大なプランです。わずか五か月間でまとめたスピード感とエネルギーは過去に例がないものです。総理が成長戦略の第三弾の骨子を発表した日に株価が大幅に下げを記録したことをもって、「成長戦略の市場からの評価」という報道がある一方、第一弾、第二弾よりはるかに内容があるにも関わらず株価が下がったのは、「短期資金が売り時を探していた」との報道も目につきました。

成長戦略は、市場の気を引くために行うのではなく、実体経済を引き上げるために行うのです。「株価は後からついてくる」という自信を持たなければなりません。

ただ、一連の報道で気になることは、「アベノミクスは大胆な規制緩和には踏み込めなかった。

その象徴が、

①薬のインターネット販売の例外品目と、

②混合診療や

③農地への株式会社参入の踏み込み不足だ。」

という誤った報道です。

誤ったというより、コメンテーター自身の勉強不足です。おそらく、彼らは100ページにも及ぶ成長戦略と50ページに及ぶその工程表に目も通していないと思います。

①の市販薬のインターネットへの全面解禁は、実施をする決断をいたしました。薬局においてもインターネットにおいても、薬を販売するのは薬剤師です。購入手段が対面か、ネットかの相違です。先の最高裁判決では、ネット販売を禁止する規定が違法なものとして無効という判決が出たわけです。これを受け、ネット販売の全面解禁という決断をいたしましたが、ただし、医者の処方薬(シートや袋入りなどで医者の指示により渡されるもの)から薬局にならぶ市販薬(ビンや箱などに入って売られているもの)に移ったばかりの21品目と劇薬指定の4品目の計25品目は、取り扱いを誤ると事故になりかねないので、その取扱いを薬学や医学の専門家に検討してもらう、という発表をしたわけです。劇薬まで安全への対処をしなくていい、とでもコメンテーターは言うのでしょうか。

②の混合診療は、保険対象となっていない新たな治療を併用した場合、保険診療の分まで全て自己負担となってしまう不合理の解消です。新たな治療といえども、安全が確認されてない治療を提供するのは避けなければなりません。そこで、癌の未承認薬のような先進医療は速やかに安全を確認し、併用できるようにスピードを上げることが肝要です。安全審査の外部機関委託も含めて圧倒的なスピードで安全確認済み先進医療を増やす措置「先進医療ハイウェイ構想」を決定いたしました。

更に③の農地への株式会社参入ですが、今回従来の組織を抜本改組し、各都道府県に農地中間管理機構、いわゆる、農地バンクを整備いたします。全国の農地の一割弱、滋賀県の面積に匹敵する耕作放棄地が存在します。それを借り集め、集約化し、整備したものを専業農家や農業法人、そして、株式会社に貸し出します。  

企業にアンケート調査をしますと、売買よりもリースの方が使い勝手がいいとの回答です。この政策を進めた結果、やはり所有をさせてくれ、という要望が強ければ更なる検討をしていきます。ことほどさように、ワイドショーの指摘は不正確なものです。

安倍成長戦略の従来との違いは、各政策ごとに戦略目標を掲げ、達成するための指標を設け、達成するための手段を細かく設定して毎年毎年達成度を検証し、達成が遅れるようならその原因を探り、政策追加をしていく、つまり「達成するまでやる。」というものです。アベノミクスに不可能はありません。ただ一つ、出来ないことは法律を作っても参議院が過半数を持てない為にそれが迅速に成立をしないという点です。アベノミクスのリスクは唯一ねじれ国会だということです。

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