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  • 新恭
  • 2010年11月11日 10:24

菅首相自縄自縛のTPP

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首相いわく「平成の開国」だそうである。TPPは黒船だという。

米、豪、チリ、マレーシアなど太平洋を取りまく9カ国が参加し、貿易、投資、人の移動などで、例外なき自由化を進めようと交渉するTPP。経済界は大歓迎、農業団体は大反対で、俄然かまびすしくなってきた。

それにしても菅首相、言うことやることがちぐはぐである。

TPPで国を開くというのなら、菅首相はなぜ元自民党農水族の鹿野道彦を農相にし、政調会を復活させて、高いコメ関税撤廃に反対する農水族を党内にはびこらせる道を選んだのだろうか。

反対勢力をあらかじめ内部に養いながら、いまになって声高にTPPの必要性を唱えるのでは、コトはうまく運びそうにない。

案の定、農業団体や党内のコメ議員が反対のノロシを上げ、9日の閣議決定は「TPPは情報収集を進めながら対応し、関係国との協議を開始」と、曖昧な表現にとどまった。

当然、横浜APECの首脳会議で議長をつとめる菅首相がTPP参加を高らかに宣言という、政権浮揚シナリオははかなく消え、決断はまたしても先送りにされた。

TPPは、民主党本来の政策である日米FTAと実質的に同じものだといえる。現在参加を表明している9カ国と日本を合わせた10カ国のGDPのうち、90%以上を日米で占めているからだ。

参加国間で、すべての商品の関税を10年以内、または即時に撤廃するというというのがTPPの原則であり、対欧米のFTAで韓国に先行され、苦戦を強いられている日本の産業界としては、その締結によって失地回復をはかりたいところだろう。

問題は、海外からの輸入米への高い関税に依存して価格を維持してきたコメ農家への影響だ。

民主党は、米国とのFTA締結で農産物が値下がりする場合への対策として、「戸別所得補償制度」を看板政策として掲げてきた。

「値下がりメリットを受ける消費者が税負担して農家の所得減少分をカバーする」というのがその発想で、EUなどでも似たような制度が導入されている。

米国とFTAを締結し、そのかわり、自民党政権時代に農業土木や農協にばらまかれていた税金を戸別所得補償制度にまわして農家を保護するというこの政策に、最もこだわっていたのは小沢一郎だった。

ところが、その政策を修正した人物がいた。菅直人である。

昨年8月の衆院選を前に、民主党マニフェストを「米国とFTAの交渉を“締結”」から「米国とFTAの交渉を“促進”」に変更したのである。

農業関係者からの反発に配慮した修正だが、原理原則を重んじる小沢はこれに激怒したと伝えられている。

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