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  • 新恭
  • 2010年09月22日 11:01

朝日のスクープに乗った検察の組織防衛

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2004年8月に知的障害のある男性を栃木県警が誤認逮捕した事件で、自らの調査報道にもとづいてスクープ記事を書いた記者がいた。下野新聞の板橋洋佳という。

昨日、朝日新聞の一面、社会面に書き分けられた検察不祥事のスクープ記事に、同姓同名の記者の署名があった。

筆者は下野新聞に電話をし、板橋記者がすでに退職していることを確認した。

地方紙や、大手紙の支局勤務をしている優秀な記者を朝日や読売などが即戦力として引き抜くことは、しばしばある。板橋記者は朝日に移ったのだろう。

昨日のスクープ記事は、「関係者」ではなく、「朝日新聞の取材でわかった」と書いている。

無罪が確定し、復職する厚労省元局長、村木厚子さんの事件に関して、元部下の上村勉被告宅から押収したフロッピーデスクのデータを、検察側が、その見立てに合うよう改ざんしたというニュースだ。

板橋記者らは大手情報セキュリティー会社に依頼して、上村被告に返却されたFDを解析してもらったところ、書き換えの事実が分かったという。

板橋氏はかつて「捜査員にべったり張り付いて得る情報ではなく、権力と対峙して報道していくことに書きがいを感じる」と語っており、彼らしさが発揮された記事といえる。

これまで検察のお先棒を担いでばかりいた朝日として、少しばかり汚名返上といきたいところだろう。

しかし、筆者の腑に落ちないのは、この記事が出るやいなや、朝日と示し合わせたかのように、最高検が、しらばっくれた大芝居を打ってきたことだ。

大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦を、記事が出たその日のうちに逮捕し、最高検が直接、捜査に乗り出して、検証チームも発足させることを早くも発表している。この素早さ、セレモニーのような賑々しさはいったい何なのだろう。

本来、村木冤罪事件の総責任は最高検が負うべきである。その立場にある者が、その指揮監督のもとで手柄を立てようとした検事を、いっせいに袋叩きにし、一人悪者に仕立て上げようとしているように見える。

第三者機関に捜査を委ね、最高検の責任も含めて、国民の判断を仰ぐべきではないのか。

前田検事が私用のパソコンでFDの改ざんをしたという、朝日のスクープは、村木冤罪事件の全責任を前田検事になすりつけ、組織そのものは正常だったと宣伝したい検察に利用されつつあるのではないか。

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