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“入る不安”より“出る不安”の「再犯社会」 -“社会的排除”防ぐ社会保障を! - 土堤内 昭雄

今年3月末、旧ライブドアの元社長、“ホリエモン”こと、堀江貴文さんが収監先の長野刑務所から仮釈放された。昨年、その獄中生活を描いた「刑務所なう。」(文藝春秋、2012年)が出版されて大きな話題となったこともあり、刑務所内部の様子が急速に一般社会に知られるようになった。

これまで刑務所は、1908(明治41)年に施行された「監獄法」により、罪を犯した人に罰を与える懲罰施設として運営されてきた。しかし、2005年に「受刑者処遇法」が成立し、刑務所は受刑者を社会復帰させる矯正施設としての機能が強化された。受刑者には罪種別更生プログラムの受講が義務付けられ、社会に出てからの就業のための職業訓練も行われている。

しかし、近年の犯罪動向をみると、繰り返し罪を犯す再犯者が増加し、約3割の再犯者が約6割の事件を起こしているという。その結果、刑務所を出所後に再び入所する再入所率も高まり、わが国は『再犯社会』に変貌しつつある。これを受け政府は2012年7月、「世界一安全な国、日本」の復活を目指して、「再犯防止に向けた総合対策」を策定・発表した。

このような再犯増加の背景には、出所者の自立の難しさに加えわが国の急速な高齢化の進展がある。刑務所入所者の再入率は高齢者では約7割にも上り、その理由として、高齢出所者にとって住居や就労の確保など社会復帰のハードルが高いことがある。また、一人暮らしの増加により高齢者の社会的孤立が深まり、高齢出所者には身元引受人がいないなど仮釈放や出所後の支援も難しくなっている。

刑務所出所者の多くは、“入る不安”より“出る不安”をより強く感じると訴える。刑務所にいれば少なくとも3度の食事と睡眠は保証されるが、一旦出所すると、最低限の生存条件を満たすことすら覚束なくなるからだ。社会復帰ができない高齢出所者が、再び罪を犯して刑務所に戻らざるを得ないとすれば、それは刑務所内の問題のみならず、受け入れる一般社会の側の問題でもあるのではないか。一部の再犯者には、日本社会の高齢福祉制度からこぼれ落ちた被害者という側面も窺える。

今後ますます高齢化が進展し、高齢受刑者が増加し、その人たちが出所後の社会の居場所を見つけられなければ、刑務所は社会復帰のための矯正施設というより高齢者の「老人ホーム」の色彩を帯びてくる。『再犯社会』の現状には、出所者かつ高齢者という弱者に対する“社会的排除”が、ことさら凝縮されているように見える。今後の“社会的排除”を防ぐ社会保障の姿の検討を急がねばならない。意に反して罪人として生きることは、何よりも人間の尊厳を蹂躙することに他ならないからである。

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