カジノなんていう言い方がされていますが、要は賭博です。賭博とかギャンブルというと問題とされるのは必至なので、言葉を置き換えているだけです。
賭博行為を解禁しようなどという動きが本格化しています。由々しき事態といえます。その先頭に立っているのが安倍総理です。
「安倍首相主導でカジノ解禁が加速! 天下り、暴力団、赤字など問題を乗り越えられるか?」(Business Journal 6月9日、山脇康嗣弁護士)
上記記事は、賭博解禁を絶賛するものです。
しかし、元々、賭博は刑法で禁止されていますが、当たり前のことです。
このような賭博行為が解禁されれば、国民の勤労意欲を失わせるのは必至です。
上記記事は、勤労の維持というのであれば、競馬などが公営であることと矛盾するではないかという意見ですが、むしろ競馬のような公営ギャンブル(賭博)こそ、縮小廃止されるべきもので、本末転倒です。
「外れ馬券が経費か 公認ギャンブルは縮小こそ必要」
こう言ったらなんですが、生活保護受給者へのバッシングの中の1つに、生活保護者が働きもせずパチンコ店に並んでいる姿は何事かなどというものがありますが、本来、勤労とは全く相容れないのがギャンブルの本質です。
ましてや言うに事欠いて「人がどのようにして財産を獲得すべきか、また獲得した財産を何にどのように使うべきかについては、基本的には、個人の判断に委ねられるべきことであり、国家が刑罰権をもって労働についての道徳や倫理を強制するのは望ましくない。」とは一体、どのような価値観なのでしょうか。
このような発想を押しし勧めていけば公営売春も何故、禁止するんだということと同じです。
誰がどのような形でカネを稼ごうと自由なのであれば、女性が自分の身体を売って何が悪いんだということに反論できますか。
性の尊厳みたいな抽象的なことは言わないでくださいね。その個人がいらないと言っているんだから。
このような問題は、性もギャンブルも個人の問題に矮小化してはいけないのです。
憲法には、このように規定されています。
第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
勤労の理念の強制することはできないとしても(憲法19条)、ギャンブルの解禁は、何故、その理念自体を国家自ら否定するようなことをするのかという説明にはなりません。
これを具体化するというのであれば、ギャンブルによって無一文になった人に対して生活保護を受給させるのは背理ということになります。ギャンブルが自己責任であるならば、最後まで自己責任を貫かないと一貫しないからです。
憲法25条生存権だって、憲法27条勤労の権利と義務と対になるものですから、一方を否定しておいて、一方は認めるというのであれば矛盾と言わざるを得ません。
それこそギャンブルで無一文になった人(年金がない!、仕事もない!)にまで生活保護を受給させていては、誰も納得しないでしょう。
そのような社会を想定しているはずもなく、誰もが勤労によって社会を支え、しかし、勤労ができず自ら収入が得られない人に対しては社会全体がその人を支える、このような社会こそ憲法が想定していた社会であり、私たちが目指すべき社会です。
ギャンブルには経済効果なるものの言い方をされることがあります。大型公共事業なども同じです。
「都市の国際競争力を高めて国内外のヒト・モノ・カネを呼び込み、経済再生の起爆剤として、アベノミクスの第三の矢である成長戦略の柱に据えるという。その国家戦略特区において、カジノの解禁も検討されることとなっている。カジノ解禁には、観光産業振興、地域活性化、雇用創出、税収増といった大きな効果があるとされる。」
冗談ではありません。ギャンブルは、お金が右に行ったり、左に行ったりとカネが動くだけで何の生産性もありませんし、ギャンブル全体が「浪費」なのですから、経済全体からみれば全くもってマイナスの存在でしかありません。ギャンブルが栄えて生活にプラスになりますか。
それが国際競争力ですか。くだらないとしか言いようがありません。
大型公共事業でもそうですが、カネが動くことをもって「経済効果」などと表現するのはやめてもらいたいものです。
アベノミクスとかいってお札ばかりを乱発するような経済政策の延長がギャンブル解禁では経済の崩壊に拍車を掛けるだけです。
ちなみに、競馬がダメだというのであれば、FXや投資だってどうなんだという意見が決まって聞こえてきます。
答えは簡単、同じようにダメに決まっているでしょう。
ゼロサムゲームと言われるように何ら生産性のない投機行為が生み出すものはなにもなく、単なる一握りの勝者と残りすべての敗者を生み出すだけの構造。
汗水垂らして働いてもどうにも報われず、方や巨万の富を得る? こんな滅茶苦茶がまかり通って良いはずがありません。
「生活保護と不正受給」
「財界の描く理想って一体… 構造改革路線に未来はない」
こんなギャンブル資本主義に未来があるはずもなく、今回の賭博解禁だって、発想は全く同じ。どちらも規制されて然るべきものなのです。
大王製紙の創業者の息子が米国の賭博で100億円もすったそうですが、100億も無駄に海外に流出したこと自体、論外ですが、賭博推進者は、その逆を妄想しているのでしょう。
それで世界中でカネをせしめたり取られたり? しかし、こんなのが本当に健全なのか、常識があればわかりそうなものです。
ギャンブル(賭博)解禁には断固として反対しましょう!
記事
- 2013年06月10日 11:02
カジノ解禁だ? 日本をさらにダメにする気か
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