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- 2010年08月05日 11:02
「行旅死亡人」という名の日本人
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法律用語である「行旅死亡人」とは、普段あまり使わない言葉だが、もともとは行き倒れで亡くなった身元不明者のことだろう。
ところが、たとえ血がつながっていても、人と人との関係が希薄になりがちなこの時代、「行路」「旅路」に関係なく、どこの誰だかわからないご遺体が増えているようだ。
家の中で死んでいても、傍らに身分証明書があっても、本人確認をする手だてがなく、遺体の引き取り手もいなければ、「行旅死亡人」として扱われる。
「行旅死亡人」の遺体は地方自治体が火葬し遺骨を保存、官報に公告して引き取り手を待つことになるが、めったに待ち人が現れることはないようだ。
「行旅死亡人」が「身元不明者」という名に変わるのが、各都道府県警察の「身元不明相談リスト」である。
ためしに警視庁のホームページをのぞいてみよう。平成14年ごろから今年5月までの身元不明遺体の男女別リストが載っている。
発見された順に番号がつけられており、男女それぞれ670番台半ばまであることからみれば、この8年ばかりの間に警視庁管内だけで1200人以上の「行旅死亡人」が発見されたということになる。
ちなみに、警察庁が持っている身元不明死者の資料は1万7000人分くらいあるといわれている。
警視庁のリストのうち、直近の男性674番に関するデータはこうだ。
「平成22年5月14日ころ東京都北区浮間で発見。50〜60歳。身長155〜165cm 中肉、白髪、手術痕(下腹部)。 赤色チェック柄シャツ、ベージュ色ベスト、灰色ズボン、白色運動靴(25.5cm)。 所持品は煙草(パーラメントワン100S)、眼鏡 」
着衣と所持品の写真が掲載されている。
直近の女性675番については下記のような内容だ。
「平成22年5月18日ころ、東京都江戸川区上篠崎にて。 50〜60歳 。身長150〜155cm、中肉、白髪混じり、傷痕(下腹部)。花柄長袖シャツ、紺色Gパン、白色運動靴(25.5cm)。 血液型 B型」
ざっと、その他のリストをチェックしてみると、やはり中高年が圧倒的に多く、70歳〜80歳とみられる方も、かなりいる。
こうした人が身元の判明しないまま、あと数十年すれば、100歳以上の所在不明のお年寄りの中に入ってくると思うと、暗澹たる気持ちになる。
孤独に最期を迎え、死亡届を出す人もないまま、長寿のお祝いの対象者の中に入ることになるのだろう。
その光と影のコントラストがあまりに強すぎるゆえ、「都会の砂漠」という使い古された言葉が、激しいリアリティを帯びて、よみがえる。
行方が分からない100歳以上のお年寄りの数が、降ってわいたように毎日増え続けてゆく。
「父は家を出て行ったきり会っていない」「消息は分からないが母は弟のところにいるはずだ」
親への言葉とは思えない薄情さには驚かされるが、家庭や親子関係の事情は他人のわれわれには分かるすべもなく、常識という不確かなモノサシで茶飲み話として推し測るしかない。
ところが、たとえ血がつながっていても、人と人との関係が希薄になりがちなこの時代、「行路」「旅路」に関係なく、どこの誰だかわからないご遺体が増えているようだ。
家の中で死んでいても、傍らに身分証明書があっても、本人確認をする手だてがなく、遺体の引き取り手もいなければ、「行旅死亡人」として扱われる。
「行旅死亡人」の遺体は地方自治体が火葬し遺骨を保存、官報に公告して引き取り手を待つことになるが、めったに待ち人が現れることはないようだ。
「行旅死亡人」が「身元不明者」という名に変わるのが、各都道府県警察の「身元不明相談リスト」である。
ためしに警視庁のホームページをのぞいてみよう。平成14年ごろから今年5月までの身元不明遺体の男女別リストが載っている。
発見された順に番号がつけられており、男女それぞれ670番台半ばまであることからみれば、この8年ばかりの間に警視庁管内だけで1200人以上の「行旅死亡人」が発見されたということになる。
ちなみに、警察庁が持っている身元不明死者の資料は1万7000人分くらいあるといわれている。
警視庁のリストのうち、直近の男性674番に関するデータはこうだ。
「平成22年5月14日ころ東京都北区浮間で発見。50〜60歳。身長155〜165cm 中肉、白髪、手術痕(下腹部)。 赤色チェック柄シャツ、ベージュ色ベスト、灰色ズボン、白色運動靴(25.5cm)。 所持品は煙草(パーラメントワン100S)、眼鏡 」
着衣と所持品の写真が掲載されている。
直近の女性675番については下記のような内容だ。
「平成22年5月18日ころ、東京都江戸川区上篠崎にて。 50〜60歳 。身長150〜155cm、中肉、白髪混じり、傷痕(下腹部)。花柄長袖シャツ、紺色Gパン、白色運動靴(25.5cm)。 血液型 B型」
ざっと、その他のリストをチェックしてみると、やはり中高年が圧倒的に多く、70歳〜80歳とみられる方も、かなりいる。
こうした人が身元の判明しないまま、あと数十年すれば、100歳以上の所在不明のお年寄りの中に入ってくると思うと、暗澹たる気持ちになる。
孤独に最期を迎え、死亡届を出す人もないまま、長寿のお祝いの対象者の中に入ることになるのだろう。
その光と影のコントラストがあまりに強すぎるゆえ、「都会の砂漠」という使い古された言葉が、激しいリアリティを帯びて、よみがえる。
行方が分からない100歳以上のお年寄りの数が、降ってわいたように毎日増え続けてゆく。
「父は家を出て行ったきり会っていない」「消息は分からないが母は弟のところにいるはずだ」
親への言葉とは思えない薄情さには驚かされるが、家庭や親子関係の事情は他人のわれわれには分かるすべもなく、常識という不確かなモノサシで茶飲み話として推し測るしかない。



