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株価よりも先に落ちていた国内自動車販売台数

株価よりも先に落ちていた国内自動車販売台数

産業やビジネスが成長するかどうかを決めるのは複雑な要因がからんでいます。円安になったから競争力が増して輸出が増えるというような単純な世界ではありません。円安は企業を取り巻く環境の変化のひとつに過ぎません。

日本を代表する自動車産業の大御所ともいえるスズキのスズキ社長が急激な円安への懸念と、「我々はインドやタイ、インドネシアに設備投資しているから、にわかに円安になったからと言って(突然日本に)戻ることはできない」とアベノミクスに冷水を浴びせるような発言をされていたことは真実を示しているように感じます。グローバル企業は、為替の短期的な変動リスクを回避する体制やしくみをすでに持っているということです。つまり少々円高への揺れ戻しがあっても、にわかに自動車産業の競争力が低下するというものでもありません。
アベノミクスの円安に踊らない大企業 :

韓国でトヨタが円安を背景に価格攻勢をかけ、シェアを伸ばしてきていると、韓国のメディアで、円安への警戒感とともに、円安による韓国経済への打撃を訴える論調が目立っていましたが、韓国でトヨタの快進撃が始まったのは、米韓FTAが始まり、トヨタの米国工場から韓国への輸出体制を整えてからでした。つまり韓国でのトヨタの競争力が増したのはかならずしも円安効果とはいえません。それよりは韓国の自動車産業のデザイン模倣体質への批判、さらに北米で発覚した燃費水増し問題が韓国国内へも影響し、韓国車人気に陰りがでててきたことも影響したのではないでしょうか。
米韓FTAで日本がもうかる? 韓国で米国産日本車の販売台数が増加(韓フルタイム) - 海外 - livedoor ニュース : 

さて自動車は、電機業界と並ぶ日本の主要産業です。自動車関連の就業者は、545万人(平成21年経済センサス)で、全就業人口の8.7%を占めています。部品も含めると40兆円を超える規模です。

自動車産業、とくに国内での乗用車の販売状況が気になります。そこで新車の登録台数のデータを見てみました。もちろん、自動車の国内市場規模は、人口の推移や、所得の変化、また所有するからシェアするといった消費の質の変化など、じわじわと効いてくる要因の影響も大きいでしょうが短期的には景気による影響も受けるはずです。

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グラフは登録台数の対前年比の推移を見たものですが、昨年の12月から見ると、好調なのは輸入車と軽自動車だということがひと目でわかります。しかも4月には輸入車が対前年比でなんと33.9%増となり、対前年割れが続いていた国内メーカーの普通車と小型車も前年をわずかですが超えています。ピンクで話題を呼んだクラウンも新製品効果もあって前年同月の4.25倍を売っています。4月は、日経平均が12,000円から14,000円へと高騰し、世の中に高揚感が広がっていた時期です。

おそらく株価上昇による影響が大きかったのでしょう。しかし、その好調は維持できたでしょうか。5月には輸入車の伸び率も下がり、また国産車は軽自動車を含めた対前年割れ状態となってしまいます。5月下旬にはいってからの株価下落よりも先に自動車販売台数は落ちていたことになります。

つまり株価上昇が消費に影響したのはほんの束の間でしかなかったということです。

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しかも、対前年比で見るだけでなく、新車の登録台数そのもので見ると、3月をピークに下降傾向にあり、自動車業界も国内に関しては決して売上が伸びたとはいえません。

それよりは、自動車に関しては「消費のダウンサイジング」ともいえる傾向が見られます。軽自動車が比較的好調なのは、もちろん軽自動車の性能アップや高級化が後押ししているのでしょうが、燃費がいいことと税金が安いことです。5月の新車登録台数のベストファイブは、1位プリウス、2位ムーブ(軽)、3位N BOX(軽)、4位アクア、5位ミラ(軽)です。アクアはおそらく部分改良もあって供給側の問題で販売台数が落ちているのでしょうがいずれも好調です。輸入車やクラウンなどが売れたとしても消費のメインストリームはやはり省燃費とか、税金の安さなどの維持費の安さです。マツダがSUVのCX5が好調ですが、やはり省燃費です。所得が伸びていないなかでは、いくら円安になろうが、株価があがろうが、消費のダウンサイジングは当然起こってくることです。そしてそれをうまくとらえた企業が伸びてくるのです。

プチバブルの効果も小さく、期間もあまりにも短かったと感じます。やはり、金融政策とかの空中戦ではなく、成長性が高く、収益性の高い新しい分野にみんながチャレンジしていくことでしか、経済の活力は生まれてこないことを物語っているのではないでしょうか。神は現場の、しかも細部に宿っているのですから。

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