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  • 新恭
  • 2010年07月18日 17:46

小沢一郎の長き沈黙

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事業をやっていて、いちばん気をつけなければならないのは、勃興して勢いのある時だ。

色んな人が金目当てにさまざまな儲け話を持ち込んできて関心を引こうとする。うっかり耳当たりのいい話に乗ったりすると、意外な大怪我をしかねない。

政治も似たようなもので、にわかに政権の座について、総理とか、大臣とか呼ばれて、周りの官僚らにかしずかれ、野党時代には味わったことのない待遇を受けると、ついつい、官僚たちの渋面より笑顔が見たくなるだろう。

縁のなかった経済界の大物が表敬訪問にやってきて、おべんちゃらの一つでも言われたら、その期待に応えたくもなるだろう。

官僚たちは大臣を言葉巧みに手なずけて、出身省庁、所属省庁の利益につなげることが、組織内で「できる奴」と評価される近道と心得ている。

そんなハラのうちを読んだうえ、篭絡されたフリをして、手練手管を逆手にとって官僚を操るほどの、達者な政治家など、そうそういるものではない。

むしろ、これまでのところ、脱官僚を掲げた民主党政権を、官僚組織が「自家薬籠中のもの」とすることに成功しているように見える。

霞が関の力を弱めるために陳情を一元化した「小沢幹事長室」が消滅したことも、官僚の勢いを強めている。

さてその、「かくも長き不在」を続ける小沢一郎は、いま何を思っているのか。菅首相が「会ってお詫びしたい」と呼びかけても、沈黙したまま、動く気配はない。良くも悪くも小沢らしい。

参院で与党が過半数割れして法案を通すことが難しくなり、政治のメインステージは国会に移った。つまり、党が政策実現のカギを握ることになったのである。菅首相が小沢氏の力を借りたいと思っていることは明々白々だ。

枝野幹事長体制では誰が考えても心もとないだろう。乱世の国会運営はきれいごとではすまない。党内をまとめながら連立の組み換えや野党との部分連合など、政策実行体制を再構築するのも容易なことではない。

こういうときにいちばん頼りになる小沢一郎は、見事というほかない雲隠れを決め込んでいる。

検察審査会のこともあるだろう、「しばらく静かにしてもらったほうがいい」と言われたことへのこだわりもあるだろう。

しかし、何より小沢は、自分の価値を最大限に高めるタイミングを待っているに違いない。

党内の小沢に批判的な勢力でさえ、やはり小沢でなければという気運が生まれてくる瞬間に、花道をさっそうと舞台に向かって歩き出す。

そうなる時期が来るとすれば、執行部が国会運営で立ち往生し、どうにもならない状況に陥ったときだろう。そしてそれは、容易に想像できるシーンである。

だからこそ、にわかに不安をつのらせはじめた菅首相は、傀儡といわれるのは覚悟のうえで、内心、小沢頼みに傾斜しつつあるのではないか。むろん9月の代表選も頭にあるだろう。

そこで、小沢の心を動かすために菅氏に必要となるのは7月12日に当ブログで書いた「器量と胆力」である。「人徳と肝っ玉」と言い換えてもいい。そんなもの菅さんに求めても、一滴も出てこないと言われれば、身も蓋もない。

しかし、いくらなんでも、自民党政権のように首相をボロ雑巾のように代える愚をまたぞろ繰り返すわけにもいくまいし、ここは菅・小沢体制を構築して乗り切るほかはないと見る。

余談だが、渡邉恒雄が「渡邉恒雄回顧録」のインタビューで、面白い話をしている。

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