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  • 新恭
  • 2010年06月27日 08:51

「壊し屋小沢」を期待する無責任ジャーナリズム

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新聞記者は無意識のうちに、そのときの「相場観」に逆らわないように記事を書いている。

「相場観」とは、世間一般に広がっていて、誰もがうなずく物の見方、評価、考え方だ。これに従うほうが第一、頭をつかわずにすむ。本社デスクのチェックも通りやすい。

今で言うと、たとえば、菅首相は「脱小沢」を進め、小沢氏やその周辺はそれに反発し選挙後の巻き返しをねらっている、という見方。それが通り相場だろう。

民主党の分裂、弱体化を画策する連中には好都合の空気である。

現実に民主党支持層にも、この相場観の影響で「反菅感情」が生まれ、ネット上などで議論が対立している。

こうした状況にほくそ笑んでいるのは「反小沢感情」を抱く政治プロの群れである。

後藤謙次氏などはその代表格といえる。かつて竹下登氏を囲んで、小沢の悪口を肴に酒を酌み交わしたジャーナリストらのグループ「三宝会」のメンバーだ。

共同通信出身で、TBS「NEWS23」のキャスターをつとめたあと、政治コラムニストという肩書きになった。

週刊朝日7月2日号に「小沢一郎の謎」と題する記事がある。後藤氏の話をもとに記者が構成した文章は、それこそ「謎」の小沢観が満載である。

後藤氏にとって終生忘れられない光景があるという。

26年前、田中派担当だったころのことだ。小沢氏の事務所で他社の記者らと話をしていたとき、小沢氏が部屋の奥の金庫からカネを取り出して出かけた。

金庫のダイヤルを自分で回していた姿を思い出すと、土地取引などすべて「秘書に任せていた」と言う現在の小沢氏との、落差を感じるのだとか。

どうやら、カネには人一倍執着している小沢氏が秘書に任せっぱなしにしているはずはないという、後藤氏の思い込みを伝えたいようだ。

26年前の、しかも単に金庫を開けている光景が、昨年来、検察の捜査を受けた案件と結びつく大ジャンプには、小沢氏も苦笑するしかないだろう。

不動産へのこだわりについてもユニークな見解だ。父、小沢佐重喜氏が湯島界隈に土地をたくさん持っていて、選挙のたびに切り売りしていたから、その「血」じゃないかという他人の見立てを紹介している。

湯島界隈といえば、湯島の自宅を売った代金を3億4000万円の土地購入代金の一部にあてたという小沢氏の説明が思い出される。しかし、ただそれだけのことである。

土地執着の「血」の物語のあとに、後藤氏はこう続ける。

「師である田中角栄氏は蓄財のにおいは薄かった」。小沢氏はそれにくらべて蓄財に躍起になっているとでも言いたいのであろう。

たしかに、角栄氏はカネを溜め込まず、ばらまいた。記者たちにも高級時計などをプレゼントした。いわゆる「人たらし」だった。

陽性の角栄にくらべ、小沢はネクラで、記者を選んだ。信頼できる記者としか胸襟を開いて話さない。だからマスコミ人には総じて嫌われてきた。

産経新聞の宮本雅史氏が著書「歪んだ正義」のなかで、佐川急便の創業者、佐川清氏へのインタビューの内容を記している。田中角栄への闇献金の凄まじさには驚くばかりだ。

「現金はダンボールに入れて目白の自宅に届けた。そのうち・・・額も10億円単位にした。10億円以上というのは六、七回はあるかな。・・・金はもちろん(政治資金収支報告書には)届けていませんよ」

小沢にはこんな芸当はできない。幸い、田中角栄や、金丸信という反面教師がいたからだ。

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