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ヘイトスピーチを許容している国がTPPを語れるのか?


「ヘイトスピーチ」なるものが、コリアンタウンで知られる東京・新大久保などで繰り返されているという。ヘイトスピーチというのは「憎悪発言」のことで、在日韓国・朝鮮人らを標的にして、「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も殺せ!」「東京湾に沈めろ!」などという罵詈雑言を掲げながらデモを繰り出しているという。

「2ちゃんねる」などのネットコミュニケーションが普及してから、好き勝手に罵詈雑言を吐くことが「言論の自由」であると勘違いする人々が増えてきている。今回は、ネットの裏でコソコソするのではなく、白昼堂々主張を展開しているのだから、「まだマシ」という見方もできるのかもしれないが、これが「言論の自由」の象徴だというのであれば、「暴力の自由」も認めたほうがフェアということになるのかもしれない。

「在日特権を許さない市民の会」という方々は、「ネット右翼」と呼ばれているようだが、「レイシスト(人種差別主義者)」と呼ぶ方がふさわしい。ドイツ、フランス、イタリア、米国などでは、こうした差別的な発言自体を「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」と定義して規制している。ユダヤ人虐殺の過去があるドイツは特に厳しく、公的な場所でナチスを礼賛する言動をしただけでも、処罰の対象になるという。

日本は1995年に人種差別撤廃条約に加入したが、条約内容を徹底させる国内法は未整備のままだ。とはいえ、「法律を作ればよい」という表層的な問題ではないような気がする。少なからぬ日本人は、心の奥底で、アジアの人びとに対する「上から目線や蔑視の心を潜めているのではないか。そういうことを無意識に感じているから、こういう人種差別者たちも、「この程度だったら許されるはず」と思い込んで、どんどんエスカレートしていく。

日本はオープンだ」とか「グローバルだ」と言っている国が、実態として、人種差別のヘイトスピーチを許容してしまっている。実際、雇用市場では、まだまだ外国人を排除したままだ。労働人口における外国人比率は、未だに1%前後に過ぎない。これは、他の先進国と比較すれば、極めて低い水準である。TPPを本気で推進するつもりがあるのなら、日本国内における人種差別問題に対してもっと真剣に向き合ったほうが良い。

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