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日米資源同盟で中国と対峙せよ〔1〕―櫻井よしこ(ジャーナリスト)×山田吉彦(東海大学教授)

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新潟市の土地が買い占められている!


山田:いま、私がとくに不安を感じるのは日本海のことです。というのも、日本海における北朝鮮の200カイリ内の漁業を、中国船がほとんど牛耳っている。中国は北朝鮮の漁業をお金で買っているという状態です。日本海北部でイカを乱獲していて、南下してくるイカが少なくなっている。それどころか最近は、中国漁船が日本海の真ん中である大和堆まで入っています。水産庁もこの件について目をつぶっていますが、中国漁船の出没情報はたくさん寄せられています。

もう1つ心配なのは、北朝鮮の清津港のカウンターパートとして利用できる新潟東港です。中国は万景峰号のつくった闇社会を含めて、新潟に拠点をつくろうとしています。中国政府の新しい日本海の戦略上、北朝鮮の役割が浮上しています。いずれ、中国の漁船が北朝鮮の海域で獲ったカニは、境港などに運ばれることになるでしょう。

櫻井:たとえば、日本海にある佐渡島も中国の拠点になりつつあると聞いています。それから、新潟市もいまや土地の買い占めが入り、中国の拠点になっているという。すると、北朝鮮の港である清津や羅津から船が出航した場合、目の前には佐渡が、さらに行くと新潟がある。そこから航路を東にとると津軽海峡、北にとるとオホーツクからすぐ北極航路に抜けることができます。これは、日本海が中国の内海になることを意味します。新潟県や市はそのことに気付かず、中国に土地を売ってしまっているのです。

山田:中国は都合のよい航路を勝手につくろうとしているわけです。このような状況では、津軽海峡が危険だと思います。津軽海峡は、領海を3カイリとして真ん中を公海として開けています。政府の見解は、国際航路だから開けたという。しかし、マラッカ海峡でもそんなことはしていません。じつは、核搭載船や潜水艦が通行しても問題とならないように、津軽海峡の真ん中を公海にしたといわれています。日本の領海であると、潜水艦は浮上して国旗を掲揚して通過しなければいけない。しかし、当時の日本はアメリカやソ連に対して、それを要求できなかった。だから、この件について目をつぶるために、宗谷海峡、津軽海峡、大隅海峡、対馬海峡の東水道、西水道については、領海を3カイリまでとしてしまったようです。これらすべての領海を本来の12カイリとすべきです。そうすれば日本海に入る船は、日本がすべて管理することも可能になります。

中国は、日本海側の都市や離島の疲弊を知っていて、佐渡にも五島にも壱岐にも土地を買って着々と拠点をつくっている。韓国が対馬に入っていくのと、まったく同じ動きです。二束三文の土地を日本人ならば誰も買ってくれないのに、興味のある人が出てくると、地主は裏事情なども調べないで売ってしまう。

櫻井: 普通の状況下であれば、日本人が中国人に土地を簡単に売るとは思えません。しかし、日本政府が地域活性化策を十分に行なってこなかったばかりに、地方の人が土地を売らざるをえない状況になってしまったことは、官民ともに大いに反省しなければならない点です。安全保障の面で重要な土地は国有地にするのが当然の政策です。

山田: 中国には海島保護法という法律があります。沿岸部の開発は地方単位でやることになっているのですが、人民解放軍との調整がすべて必要だというルールになっている。ということは、軍がすべての沿岸を管理するのです。中国で勝手な開発はいっさいできません。日本も沿岸開発について安全保障上重要な場所については、地方行政あるいは国との調整が必要であるという規制を設けるべきです。開発にあたっては、土地を買っても使用に制限を加えるべきです。そうすれば、外国企業に水源地を買われても取水制限はあとからできる。国土の最終的な管理者は国家なのですから、その役割を果たさなければなりません。

[2]に続く

プロフィール

櫻井よしこ(さくらい・よしこ)ジャーナリスト/国家基本問題研究所理事長
ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙東京支局員、アジア新聞財団『DEPTH NEWS』記者、同東京支局長、日本テレビ・キャスターを経て、現在、フリー・ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長。 著書に『日本よ、「歴史力」を磨け』(文春文庫、編著)など多数がある。

山田 吉彦(やまだ・よしひこ) 東海大学教授
1962年千葉県生まれ。学習院大学経済学部卒業後、金融機関を経て日本財団(日本船舶振興会)に勤務、海洋グループ長などを歴任。埼玉大学大学院経済科学研究科博士課程修了、博士(経済学)。2009年より東海大学海洋学部教授。石垣市海洋基本計画策定委員会会長。近著に『尖閣 一触即発』(実業之日本社、共著)がある。

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■『Voice』2013年6月号
[総力特集]お金の流れがまた変わる 新興国に流れていたお金が、先進国に向かいはじめた。しかし、その先はどうなるのか。総力特集では「お金の流れがまた変わる」と題した。大前研一氏は「世界のマネーは米国をめざす」と読む。日本もこのまま無策だと、世界のお金がすぐに逃げてしまうとも。一方、武者陵司氏は「日経平均3万円、4万円も夢ではない」と大胆予想。信じるか、信じないかは読者次第。第二特集では日高義樹氏が、オバマ政権の北朝鮮への弱腰姿勢が日本の安全保障を脅かすと警鐘を鳴らす。また、「エネルギー日露同盟」の必要性を説くのは藤和彦氏。日露首脳会談の背景もよくわかる。今月号で一押しなのが伊集院静氏へのインタビュー。松井秀喜氏への想いを語るとともに、プロの仕事とは何かを教えてくれる。若い人たちにぜひ読んでいただきたい。

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