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猪瀬知事「標準時を2時間早める」。ロシア人、ウイグル人の気持ちがわかるかも

 

今日はヒマねたで。  猪瀬東京都知事が、日本の標準時を2時間早めることを提案したというニュース がありました。

 これ自体は、実現可能性ゼロのどうでもいいニュースです。  金融市場だけのために日本人全員の生活に大きな影響を与える標準時の変更など、理解が得られるわけがありません

 ただ、私は中学生の頃から地図帳は標準時のページを最初に読むという標準時マニアなので、ちょっと食いついてみたくなりました。

 標準時の図を熟読していると、いろいろ疑問がわいてきて興味が尽きません。  今回は、私が標準時について長年疑問に思っていた小ネタを吐きだしてみます。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/ad/Standard_time_zones_of_the_world.png リンク先を見る

1.ロシアはなぜか2時間早い  ウラジオストクは、日本の広島あたりの経度なのですが、日本より2時間早い時間(グリニッジ標準時+11時間)を使っている。  それだけじゃなくてロシア全土が、経度から普通に計算される時間より、だいたい2時間早い時間を使っている。何でだろう。

 サンクトペテルブルク 東経30度(+2.0時間)   +4時間
 モスクワ         東経38度(+2.5時間)   +4時間
 エカテリンブルク    東経61度(+4.0時間)   +6時間
 ノボシビルスク     東経83度(+5.5時間)   +7時間
 クラスノヤルスク    東経93度(+6.2時間)   +8時間
 イルクーツク      東経104度(+7.0時間)  +9時間
 ウラジオストク     東経132度(+8.8時間) +11時間

(※)「東経〇度」の後ろの括弧内の「+〇時間」は、経度を15で割ってグリニッジ標準時より〇時間分早い場所にあるという数字。実際の標準時との差を見てください。

 つまり、猪瀬知事の提案は、ロシアと同じことをするということですね。

 ちなみに、私がいま持っている5年前の地図帳では、ロシアが早いのは1時間。これは昔からそうで、長年の疑問でした。  さらにその差を2時間にしたのは、2011年から。「冬の朝がつらい」「欧州サッカーの試合が深夜になる」など、不満続出 のようです。

2.中国には標準時は1つしかない。しかも北京時間  中国って、経度的には標準時を3つに分けるのが普通なのに、1つしかない。  しかも、真ん中の四川省あたりの時間に合わせりゃいいのに、よりによっていちばん東の北京の時間に合わせてる。ウイグルの人がかわいそうだよね。

 猪瀬知事の提案を実行すると、ウイグル人の気持ちが味わえるのですね。

 北京     東経116度(+7.8時間) +8時間
 ウルムチ  東経88度(+5.9時間)  +8時間

(なお、シルクロード好きの私の友人によれば、ウイグルでは北京より2時間遅れのウイグル時間を使う風習もあるらしい。へぇー)

3.ヨーロッパ大陸は基本的に同じ時間。ポルトガルだけ仲間外れ  東はスウェーデン、ポーランド、旧ユーゴスラビア、西はフランス、スペインまで、同じ時間(グリニッジ+1時間)を使っている。

 フランスやスペインは、経度的にはイギリスと同じ時間にする方が自然なのに、大陸は同じ時間の方が便利なのでしょうか。  ポルトガルだけがぽつんとイギリスと同じ時間なのが、何か寂しいです。

 パリ     東経2度(+0.1時間)  +1時間
 マドリード  西経4度(-0.3時間)  +1時間
 リスボン   西経9度(-0.6時間)  ±0時間

 つまり、フランスやスペインでも、ロシアと同じように標準時を1時間早めたのと同じことが起きているのですね。  なお、夏はサマータイムのため、そこからさらに1時間早めることに。

4.アルゼンチンもなぜか1時間早い  ブエノスアイレス  西経58度(-3.9時間) -3時間

 ブエノスアイレスはアルゼンチンの東端で、国土のほとんどは西経60度より西。  それなのに、なぜか全土で-3時間を採用しています。何でだろう。

5.全体的に早めの時間にしている場所が多い  標準時の地図全体を俯瞰的に眺めると、経度から普通に計算される時間よりやや早め(東)の時間にしている場所が多い気がします。

 上に貼り付けた地図で西から順に見ていくと、

 アラスカは経度的にはほとんどが-10時間のエリア内なのに、-9時間。 州都のジュノーが-9時間のエリアにあるためでしょうか。

 アメリカのテキサス州、カナダのサスカチュワン州、メキシコシティは経度的には-7時間のエリアなのに、-6時間。  同様に-5時間の標準時も、経度的な西端となるはずの西経82.5度より西側でもだいぶ使われている(五大湖のあたり)。
リンク先を見る ←「五大湖」のイメージ画像

 アフリカでも、±0時間を使っているセネガルやモーリタニア、+1時間を使っているアルジェリアやナイジェリア、+3時間を使っているスーダンやタンザニアは、経度的にはもう1時間後ろの方が自然。

 こういう丸々1時間ずれている国・地域だけでなく、どちらを使ってもよさそうな微妙な地域でも、軒並み早い(東)方の標準時を使っている印象。

 逆に、遅め(西)の時間を使っている地域は皆無。

 日本は+9時間ですが、東経135度が通る兵庫県明石市は、日本の中心よりやや西。国の中心より西寄りの時間を使っている珍しい国という印象です。

 そういう意味では、猪瀬知事の提案も、必ずしも的外れではないのかもしれませんね。(2時間はさすがにないだろうと思うが、1時間なら)

 ということで、標準時マニアが猪瀬知事に釣られてみました。

 皆さんもぜひ、地図帳の標準時のページを熟読してみてください。いろいろ発見があって、興味が尽きないと思います。

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