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「夢」のために借りた奨学金と滞納が増加している「現実」

 

たまたまNHK教育の「ハートネットTV」の「奨学金が返せない」という番組を見ていろいろ思うところがあったので、これについて少し。


1 番組の紹介

 これは「シリーズ 貧困拡大社会」の一番組となっており、NHK教育の番組紹介には以下の様に紹介されております。

 卒業後、奨学金の返済が出来ずに苦労している方の人数は過去最高の33万人。

 金額は、多い人だと1000万円を超えると言います。将来の夢のために借りたはずなのに、返済で生活苦に陥るという人が増えています。

 こうした状況を受けて、番組の趣旨として以下のように述べております。

 日々頑張って学び、働いてきたはずだったのに・・・。

 その思いを聞くと、全身に悔しさがこみあげてきます。奨学金のあり方だけではなく、教育の仕組みそのものの形が問われていると私は感じました。

 ハートネットTVでは改めて、この問題とどう向き合えば良いのかをみなさんと一緒に考えたいと思います。


2 自己責任

 たまたま途中から見たので、もしかすると誤解があるかもしれませんが、全般的に奨学金制度に対して批判的な内容で、延滞利率が高いことや取り立ての厳しさなどが批判の対象となっておりました。

 最初に私の基本的な考えを述べておくと、私は他人の人生にどうこう口出しをしようとは思っておりません。自分の人生は自分で当時選べる選択肢の中から選ぶもので、その結果に対する責任は原則自分で負うだけと考えております。

 そういう意味で、奨学金も本来自分で借りるという選択をして借りたものならば、自分で返すのが原則だというのが、私のスタート地点です。


3 「夢」を追うこと

 番組の例では、法科大学院を目指して、学部と大学院で会わせて1000万もの奨学金を借りた方の例が紹介されておりました。弁護士になるという「夢」を持っていても、現在の制度では、金のある人しかなれないのはないかということを述べられておられました。

 言いたいことはわかりますし、確かに現状が必ずしも良いとは思いません。ただ、私が番組のスタンスとして引っかかったのが、「夢」のために頑張っているのは素晴らしく、それを手助けしないのはおかしいという考え方です。

 確かに「夢」は大事ですし、大切なものかと思いますが、私は「現実」の方がより大事だと思っていますし、「夢」を実現するためにはどうしたら良いかを考えようとしない人や、現実から逃避するために夢に逃げている人もいるのではないかと思っています(「夢」を持ち続けることと、諦めること)。

 以前、中国紙に中国人の海外留学は大学受験という厳しい現実からの逃避ではないかという記事が掲載されたことがあります(海外留学と「逃避」)。実際、国内の大学に合格しなかったが故に、海外留学を目指す人がいることも事実です。


4 高学歴者の「現実」

 また、私自身大学に人より長くいたので、いろいろな人を見てきました。むろん素晴らしい人が多いのですが、中には性格的に破綻しており、とても社会に出て行けそうにないが故に大学に残っているとしか思えない人もおりましたし、悲しいかなどう見ても才能が無いとしか言い様のない方もおられました。

 人生は博打の要素がないわけではなく、良いと思ってした選択が裏目にでることもあれば、社会情勢が急激に変化するなど、本人の責任とは言い難い事態もあります。

 例えば、以前書いたような博士課程修了者の増加や(大学院卒の現実周知)、弁護士の急激な増加とそれに伴う就職難などは、本人の責任と言うのはかなりつらいものがあります。

 しかし、社会に出れば、こうした情勢の変化は至るところにあり、そのために潰れた会社も数限りがないのが現実です。つまり私がいいたいことは、1000万の借金をして「夢」を追うのも結構だが、「夢」と「1000万」という現実が見合っているか考えることが必要かということです。

 皆が皆「夢」を実現できる能力を持っているわけではなく、中には高望みしているとしか言い様のない方もいるのが現実です(別に番組で紹介された方はそうだと言っているわけではありません)。


5 最後に

 そして、人が置かれている状況は保有財産、才能など皆人それぞれなので、才能が無い者が無い才能を嘆いてもどうしようもないわけですが、金がないということを何か特別の様に考えるのもどうかと思っております。

 そうした金がないという「現実」や自分の才能も踏まえて、大学を出ても奨学金を返す当てがないのなら、大学進学を諦めるのもやむなしと思います。それがどうしても嫌なら、奨学金という寺銭を借りて博打を打つのも1つの方法ですが、はずれたからと言って恨みをいうのもどうかと思っております。

 それ以外にも働きながら学費を稼いで大学に行くという方法もあるわけで、何かをしたいと思ったら、自分で情報を集め、本気で方法を考えるのが義務であり、それをしないで騙された、知らなかったと後で泣き言を言うのも如何なものかと考えています。

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