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「100年に一度」の後始末 ~FRBは新たな方策か~ - 長谷川公敏

「100年に一度」と言われるような経済・金融の大きなショックが発生した場合、経済や金融活動の担い手である民間部門は、膨大なリスク(負債・損失)を抱え身動きが取れなくなるため、政府部門が民間部門のリスクを一旦肩代わりせざるを得ない。ただこのリスクは、最終的には再び民間部門に返すことになる。

政府部門から民間部門へのリスクの返し方には、「増税」や政府の負債が実質的に軽くなる「インフレ」などがあり、1929年の大恐慌では戦後の大インフレにより政府部門の負債が清算された。今回のリーマンショックでも、戦後ほどの大インフレは論外だが、やや高めのインフレにより、時間をかけて政府部門の負債を清算すると考えられている。

ただ、増税はもとより、経済実勢を上回るインフレも国民の痛みを伴うものであり、できれば回避したいものだ。

■米国のこれまでの経緯


リーマンショック後、大恐慌の時や1990年代以降の日本のようなデフレになることを恐れ、FRBは直ちに超金融緩和政策を実施し、米政府は金融機関への公的資本注入や大規模な景気対策も実施した。

その後、米経済はデフレを免れ回復基調にあるもののインフレの兆候は全く見られず、このままでは政府部門の負債を清算するのは難しいのではないかと思われる状況になっている。


■新たな清算方法か


政府部門の負債の清算方法には「増税」や「インフレ」のほかに「第三の道」があるのかもしれない。FRBと米政府は、「超金融緩和→ドル安&資産価格上昇→景気回復→税収増」による政府部門の負債の清算を目論んでいるのではないか。

デフレに陥っていなければ、FRBが実施している未曾有の超金融緩和策は高インフレに繋がる可能性が高い。だが、FRBは通常は利息が付かない当座預金に高めの利息を付け、供給した資金をFRB内にとどめて資金が市中に溢れないようにすることで、極めて低い水準に市場金利を保ちながら、高インフレを防いでいるのではないか。

これは、超金融緩和によるドル安&資産価格上昇で、増税や高インフレを伴わずに政府負債の軽減を図るという、国民に痛みを感じさせない金融政策だと思われる。

ただ、この政策を成功させるためには、ドルが「過度に安い」と思われるような水準に保たれ、株価などの資産価格が「バブルではないか」と思われるような水準まで上がる必要がある。そして、そのためにバーナンキFRB議長は「当座預金への付利」を継続し、「株価バブル」を否定し続けなければならないだろう。蛇足だが、新生日本銀行もこの方策を熟知しているようだ。



--- 長谷川公敏((株)第一生命経済研究所 代表取締役社長)

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