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自民党・治安・テロ対策調査会提言全文(その1)

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 今朝、自民党・治安・テロ対策調査会提言「世界一の安全を取り戻すために ~ 緊急に取り組むべき3つの課題」が治安・テロ対策調査会で了承されました。
 今日中に、政調審議会、総務会を経て、政府に申し入れが行われる予定です。

 今回の提言は、林幹雄調査会長のもと事務局長の葉梨康弘衆院議員が中心に取りまとめたものです。
 以下、全文を2回に分けて掲載します。

序 はじめに~本提言の位置づけ

〈経緯〉

 「良好な治安」の存在は、社会の健全な発展のために欠かすことのできない重要なインフラである。
 この治安水準の重要な指標である刑法犯認知件数は、平成8年から14年まで、戦後最悪を更新し続け、平成14年には285万件を突破するに至った。

 このためわが党は、政務調査会に設置された治安対策特別委員会において必要な検討を行い、平成15年7月に「治安強化に関する緊急提言」、平成16年6月に「治安強化のための7つの宣言」、平成20年4月に「地域の絆を再生し、世界一安全な国へ~世界一安全な国をつくる8つの宣言」を、それぞれ発表し、治安対策に真摯に取り組んできた。

 政府においても、責任与党であるわが党の提言を受け、平成15年12月に「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」、平成20年12月には「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」という、それぞれ計画期間を5カ年とする行動計画を策定し、わが党との連携の下、治安対策が推進されてきた。

 この結果、平成15年から20年までの5カ年の計画期間で、刑法犯認知件数が約280万件から180万件と大幅に減少し、さらに、平成20年以降の計画期間においても、刑法犯認知件数が毎年約10万件の減少をみるなど、刑法犯認知件数自体は、統計的には安定的に推移するに至っている。

 これは、わが党の誇るべき成果ということができる。
 しかしながら、その後の民主党政権においては、与党が主導する治安強化のための議論は、ほとんど行われてこなかった。
 そして、例えば平成24年7月に公表された内閣府の「治安に関する特別世論調査」によれば、「最近の治安は悪くなった」と感じる国民が8割以上に上るなど、なお国民の不安感が払拭されているとは言い難い現状にある。

 いうまでもなく、国民が安全で安心して生活できる「良好な治安」を実現することは、政治に課せられた最も大きな使命の一つである。

 加えて、政権与党が、世界一の安全を実現する強い姿勢をアピールすることは、政治への信頼の回復に大きな力となるのは勿論のこと、2020年オリンピック・パラリンピックの東京への招致活動を援護することとなることも期待されよう。

 このため、わが党は、政権復帰2カ月後の本年1月、政務調査会に治安・テロ対策調査会(林幹雄調査会長)を設置し、関係省庁からの報告聴取や有識者からのヒアリング等を通じ、現状の問題点の分析と「世界一の安全」を実現する方策について検討を進めてきた。そして、本日、これまでの議論を集約し、「世界一の安全を取り戻すために」を取りまとめた。

〈問題の所在〉

○民間の安全形成システムや「地域の絆」の問題

 先述の「治安に関する特別世論調査」によれば、「治安が悪くなったと思う原因」として、「地域社会の連帯意識が希薄となったから」を挙げた人が最も多く、約55%に上っている。

 このような問題意識から、平成20年の「地域の絆を再生し、世界一安全な国へ~世界一安全な国をつくる8つの宣言」においても、「地域の絆」の再生を最重要課題と位置づけ、防犯ボランティア支援などの施策等を強力に推進することとしたところである。

 しかしながら、民主党政権下、残念ながら、防犯ボランティアの方々の総数の伸び悩みがみられたり、保護司の定員割れの問題も深刻化するなど、「地域の絆」の再生は、若干頓挫してしまった感が否めない。

 加えて、少子高齢化の急速な進展と、本格的人口減少社会の到来の中で、防犯ボランティアや保護司の方々等の高齢化も顕著になってきており、このような「民間の安全形成システム」を、将来にわたり、どのようにして維持強化していくかが、現下の重要な課題となっている。

 このためわが党は、わが国が誇るべき文化とも言うべき、「民間の安全形成システム」を、持続可能な形で強化することを、本提言の第一の命題として提示すべきと判断した。

○新たな対応を必要とする犯罪の問題

 現在のところ、刑法犯認知件数の総数こそ減少傾向で推移しているとはいえ、犯罪類型ごとに分析してみると、サイバー犯罪の問題など、犯罪に対処するための法制面の整備が必ずしも十分でなかったり、関係機関や官民連携による対応体制が確立されていないなどの問題も大きい。

 しかしながら、民主党政権は、このような危機管理に関する法制的な検討にはどちらかというと無頓着で、新たな対応を必要とする犯罪への対処が後手に回ってしまった印象はぬぐえない。

 このため、わが党は、複雑化、組織化、国際化する新たな犯罪に対し、必要な法的検討、対処体制の検討を行うべきことを、本提言の第二の命題として提示すべきと判断した。

○治安インフラは国民の信頼に応えているかという問題

 平成24年版警察白書には、「地方警察官については、平成13年度から23年度までの間に合計27,640人の増員を行ってきたところ、刑法犯認知件数が15年以降9年連続して減少するなど、地方警察官の増員は他の諸施策と併せ、犯罪の増勢に歯止めを掛け、治安の回復に効果をもたらしていると考えられる。」との記述がある。

 しかしながら、このような増員が果たされたとはいえ、近年、警察に対してストーカー被害の申告があったにもかかわらず、ストーカーによる殺人事件の発生を防止できなかった事案がみられたり、治安機関の職員の不祥事も後を絶たないなど、わが国の治安インフラが、真に国民に親近感と信頼感を勝ち得たものとなっているのかどうか、しっかりとした点検が必要と思われる。

 このため、わが党は、単に治安関係職員の増員を図れば問題が解決するという視点でなく、スキルアップや運用の効率化とあわせた体制の強化を図ることにより、国民にとって頼りがいのある治安インフラを確立すべきことを、本提言の第三の命題として提示すべきと判断した。

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