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1000年先を見越した東北の復興~みんなの鎮守の森植樹祭に参加して~

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4000万本の木を植えた男


植樹祭のオープニングでは、神社本庁の田中恆清総長より挨拶があり、その話の中で初めて知ったのですが、日本には全国で8万もの神社があるそうです。そしてそのほとんどに鎮守の森があります。確かに私の地元にいくつかある神社にはすべて森がありました。七五三や初詣、結婚の報告など何度も家族と神社に行きました。確かに日本人のほとんどは、地域の拠り所として神社と日常生活のどこかに接点があり、知らず知らずのうちに鎮守の森に囲まれてお祈りしています。

想像して下さい。その神社の周りの木が無くなり、緑のない神社を。私は、8万もの神社が多くの日本の家族や地域の絆としての機能を果たしていることに植樹祭に参加して初めて気づきました。

神社本庁の田中恆清総長や子供たちと一緒に植樹指導
神社本庁の田中恆清総長や子供たちと一緒に植樹指導 写真一覧

植樹祭の木の選定や植え方の指導は世界的に活躍されている国際生態学センター長の宮脇昭先生が監修されています。宮脇先生は、80歳を超える現在でも精力的に植樹活動の指導をされており、これまで国内外で1500ヶ所以上もの森を蘇らせ、4000万本以上の植樹をされてきた世界的な権威です。

その宮脇先生が、植樹祭では毎回スピーチされており、私は初めて聞いたのですがとても面白く、多くの学びがありました。宮脇先生によると日本は世界で唯一4000年もの間、鎮守の森と共生している国だそうです。今回の震災における津波で、青巣稲荷神社でも唯一残った御神木はタブノキでしたが、本来の日本は、シラカシなどの常緑広葉樹、タブノキ、シイなどの照葉樹林で覆われ自然災害にも耐えられる能力を持っていました。それが、伐採や人工的で単一樹種の画一樹林をしてしまい、結果ほとんどが流されてしまったと言います。日本人は、こうした見せかけの森のごとく、土着の宗教を忘れてしまったのではないか?しかし、この震災からの復興は、危機をチャンスと捉え、植樹祭でも画一樹林ではなく、10年、100年、1000年続く昔ながらの本来の鎮守の森を作ろう。そうおっしゃられていました。

ご高齢にも関わらずエネルギッシュで、震災復興の鎮守の森の復活の陣頭を取られているのは、宮脇先生のこうした1000年続く未来のためにという想いが背景にあることを生で聞き、改めて私はとても貴重な場に参加させて頂いているのだと感じました。

植樹が終わる最後まで参加者と一緒にいて、締めの挨拶をする宮脇先生
植樹が終わる最後まで参加者と一緒にいて、締めの挨拶をする宮脇先生 写真一覧

宮脇先生の話の中で、アフリカ人女性として初、そして環境活動分野でも史上初となるノーベル平和賞を受賞したケニア人のワンガリ・マータイ氏との会話とともに話してくれたことが、とても印象に残っています。

“日本人がケニアでの観光とともにケニアの森を復活させる植樹活動に参加できるようにしたいと言うと、彼女は「観光のついでに来るのではなくケニアの森のために来てもらいたい。」と言われた。今日みなさんはこの鎮守の森の植樹のために来てくれました。東京や横浜、県外の方も来ています。私はそんなみなさんと同じ時間をこの場で共有できたことが嬉しい。”

この鎮守の森復活プロジェクトは、継続的に開催されるのでぜひ皆さんも観光のついでではなく、鎮守の森の復活のために、または東北復興の直接的な活動をするために行き、同じ気持ちを持った人たちと時間を共有することをお奨めします。植樹祭では、自分が植えた苗が育つ姿、森になる姿を見て、その後も1000年生き続け、地域コミュニティを支えることを考えると本当に貴重な機会になると思います。

宮脇先生に興味を持たれたら著書をぜひ読んでみて下さい。きっとこれからの目指す社会のヒントがあると思います。私も早速、「鎮守の森」と「木を植えよ!」の2冊を購入しました。



鎮守の森植樹祭に参加して


植樹祭には地元、山元町花釜地区の民謡の花釜音頭保存会のみなさんも参加されており、踊りを披露してくれました。この花釜音頭は、作詞された渡辺隆栄さんが津波で亡くなられた143人の1人で、保存会のみなさんは今回の植樹祭は鎮守の森の復活だけでなく、花釜音頭の復活でもあると想いを込めて踊ってくれました。こちらにその動画が紹介されています。



この植樹祭で踊りを披露するために皆さん練習を重ねられてきたそうです。神社、森、民謡。143人の命はもう戻らないけど、こうしてみなさん大切な神社を作り、鎮守の森のために植樹し、民謡を復活させています。植樹祭の参加者には子どもたちもたくさんいました。大切なものを守り、誰に言われたからでもなく、想いを持って学び、行動されている方々です。


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「みんなの鎮守の森植樹祭」に参加させて頂き、わずか2時間弱でしたが本当に貴重な時間を過させて頂きました。もちろん観光のために行くの良いと思いますが、観光では得られない現地の方々と同じ目的を持った活動と時間の共有は何物にも代え難い体験です。観光のためではなく、復興のためにぜひ機会を探してこのようなプロジェクトに参加されてはいかがでしょうか?

私自身、BLOGOSのブロガーとして、現地の方とともに体験したことをこうして読者の方にお伝えできることに責任と感謝の気持ちを抱きました。1人でもこのブログを読んで、植樹祭の参加でも他の活動でも、復興のために東北へ行く人がいれば、また周りの友人に拡げて頂けると幸いです。

植樹祭を実現するために、基金を作り、寄付をされ、日本財団の方々や宮脇先生、神社本庁など関係者のみなさん、現地の花釜保存会やNPOの方など多くの方ができることを1つ1つ取り組まれていました。震災から2年が過ぎ、1年前に一度、私は陸前高田に行きました。けれども、これまで何もできてませんでした。1人の普通の人間ができることは少ないかもしれませんが、植樹祭に参加でも、ブログを書くことでも、できることを1つ1つ取り組んでいきたいと思います。

日々の仕事や生活に忙殺されて、多くの物や人に溢れている都会では気づきにくい、何を大切にして残し、何を理想の未来のために創っていきたいのか?そのためにどういう勉強をして、どんな行動をするのか?植樹祭に参加して、改めて考える機会になりました。

常磐線の浜吉田駅から先の工事はまだ再開されていません。どこに線路を作るのか?建設予定の場所に反対している垂れ幕を帰りのタクシーで見かけました。復興にはまだまだ時間がかかります。宮脇先生は、東北の復興を鎮守の森の復活の機会と捉えて、日本人が忘れてしまった土着の宗教を取り戻したいと80歳を超えて精力的に植樹活動をされています。私たち若者自身がどんな未来にしたいのかよく考えて、行動し、自分達の手で社会を創っていく必要があると思います。引き続き東北の復興のために行く機会を持って、勉強し、考えて、活動していきたいと思います。


まだ東北に行かれていない方もいると思います。全然遅くありません。ボランティアに参加してから1年以上過ぎている人もいると思います。まだまだ今だからこそ必要な活動もあります。東北の復興は日本の未来だと思います。それは海外に答えを求めなくても、日本の歴史や日本の中にあるのではないでしょうか?時間がなければ、今回の私のように日帰りでもいいと思います。1つ1つ取り組んではいかがでしょうか。

(取材協力:日本財団)

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