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1000年先を見越した東北の復興~みんなの鎮守の森植樹祭に参加して~

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神社の森の復活は地域コミュニティの再生


GWの前半に宮城県は仙台から常磐線に乗り換えて浜吉田駅に降り、タクシーで10分ほどの距離にある青巣稲荷神社へ行き、植樹祭に参加してきました。イベントの資料によると駅から「タクシーで10分」と案内がありましたが、ネットで行き方を調べてみると最寄り駅は別にあり、徒歩で行けるはずでした。こうした表記の食い違いの理由は、浜吉田駅に着くとわかりました。現在は浜吉田駅が終着駅でそれ以降の駅へは運行されていなかったのです。JRの路線図が薄黒く塗りつぶされたいくつかの駅名を見て、震災から2年経っても未だ公共交通機関が復活していない様子に、東京で生活している日常から一瞬で現地の現実に直面しました。

森が消えてしまった青巣稲荷神社(撮影:佐別当隆志)
森が消えてしまった青巣稲荷神社(撮影:佐別当隆志) 写真一覧

この日、青巣稲荷神社に来たのは日本財団が支援されている「鎮守の森復活プロジェクト みんなの鎮守の森植樹祭」に参加するためでした。それは晴天の中、現地の方々を中心に約350人のボランティアが集まり、1時間半ほどで21種類2300本の苗木を植樹するというものでした。

青巣稲荷神社に着くと、周りにはほとんど何もなく、津波にも耐えたタブノキの御神木が奇跡的に一本と、震災後に建てられた真新しい建物、かろうじて見つかった賽銭箱、ボランティアによって吊るされた鐘などがポツンポツンとあるだけでした。ここには、以前綺麗な桜と木に覆われた鎮守の森があり、この花釜地域一帯では木や建物だけでなく、143人もの命が失われました。この場を借りてご冥福を祈り申し上げます。
植樹祭の様子
植樹祭の様子 写真一覧

植樹祭は、神社に鎮守の森を復活させるだけでなく、失われた命の鎮魂の森であり、またこれから生まれる命の森であり、地域の方々の祈りの森という意味もありました。そして、神社と鎮守の森を復活させるということは、地域を元気にする「祭り」の復活にもなり、ハード面だけではなく、地域の心のつながりとなるコミュニティの復活になるのです。恥ずかしながら、鎮守の森が何なのか?このプロジェクトが何を目指しているのか、参加するまでよくわかっていなかったのですが、集った人たちの姿を見て、鎮守の森の復活に想いを寄せる方々の話を聞いて、改めて日本の良さと共にその理解が深まる貴重な体験となりました。この記事を読んだ下さる皆さんに少しでもそれを伝えることができれば幸いです。

みんなの鎮守の森植樹祭とは?


「鎮守の森復活プロジェクト みんなの鎮守の森植樹祭」は、「地域伝統芸能復興 基金(通称:まつり応援基金)」によって支えられています。この「まつり応援基金」は、東北復興支援のために日本音楽財団が所有するストラディバリウスのバイオリンをロンドンのオークションに出品し、ストラディバリウスとして過去最高額の 1589万ドル(約11億7000万円)で落札された資金が日本財団に寄付されて創設されました。

ストラディバリウスのバイオリン売却資金で基金創設
ストラディバリウスのバイオリン売却資金で基金創設

日本財団は、これまでに各地の芸能を次世代に伝える事業を積極的に展開してきた経験を生かし、被災地で郷土芸能に関わっている団体や大学の教授などにヒアリングや調査を実施。そして、基金では各地方の中核的な年中行事や芸能・祭りに関わる芸能団体をサポートすることに決定したのです。最初に選んだのは、岩手県釜石市にある釜石虎舞保存連合会で、伝統芸能の継承のために必要となる物品購入を支援しました。その後、2012年4月までに15団体に対して祭装束や太鼓、神輿、山車などの修理や購入費用として3億2389万5061円の支援をしています。


そして、今回まつり基金が取り組んでいるのが「鎮守の森復活プロジェクト」です。担当する日本財団・公益ボランティア支援グループの枡方瑞恵氏は、このプロジェクトについてこう紹介されています。

「鎮守の森はおまつりを行う場でもあり、地域の核となるもの。それが流されてしまいました。自分の住宅が全部流されてしまっているのに、まずは神社をなんとかしないといけないと、地元の皆さんでお金を出し合って仮の社殿を整備したという地域もあります。そうした心のよりどころである神社で、森だけでも早期に復活したいという声がたくさんありました。」

そこで日本財団で神社本庁などと連携して「鎮守の森復活プロジェクト」を開始。昨年の八重垣神社、神明社に続いて今回の青巣稲荷神社が3回目となります。今後もこの夏まであと2回の開催が決まっており、2015年春までには約30社において植樹を行う予定となっています。日本財団の東北復興の活動詳細は、「東北を復興へ導くROADプロジェクト」を参照下さい。

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