記事

来年になっても賃金アップが期待できない理由

1/2
 日経平均が15000円台を回復しました。

 それにしても本当に凄いピッチです。今から1年前の昨年5月末の日経平均は8500円程度でした。ご存知ですか?

 そして、昨年10月末の日経平均は9000円弱でした。そして、昨年末には1万円を突破し‥後はご承知のとおり、我々の記憶から完全に消えてしまっていたと思われる右肩上がりの株価の上昇が再現されているのです。

 もうこうなると怖いものなどない。2万円を期待する投資家も多くなるでしょう。仮に、そこまで行かなくても、2002年から2006年頃の上昇局面を思い出し、1万7千円程度は‥なんて思っている人はいると思います。

 では、ここで問題を出したいと思います。

 これほどまでに株価が上がり、そして、それにつれて今後さらに景気がよくなることが期待される訳ですが‥では、サラリーマンの給料はいつ上がるのか?

 今でしょ!と答えたいところですが、今のところ、そのような兆候はなし。

 専門家なども、賃金アップにはタイムラグが伴うから、賃金が上がるには1年以上かかるだろうと、もっともらしいことを言う人が多いのです。では、1年ほど待てば本当に上がるのか?

 いずれにしても、ここで貴方に質問してみたいと思います。

 企業の業績が良くなれば、給料が上がると考えていいのか?

 さあ、如何でしょう?

 多くの方は、企業が利潤を挙げ、内部留保が増えていけば、何時かはその成果が労働者にも及び、賃金が上がる筈だと考える‥というよりも考えたいのではないでしょうか?

 リフレ派の人々や安倍総理、それに異次元緩和策をぶちかましてくれた黒田総裁も、多分そのような期待を持っているのではないでしょうか?

 確かに、我々だって懐に余裕があれば、タクシーの運転手さんにチップを弾む気になる訳で‥その反対に懐に余裕がなければ、必ずお釣りをもらうことでしょう。

 しかし、その一方で、どんなにお金持ちの人でも、チップをあげない人は絶対にあげない。

 ところで、今から13年ほど前の2000年8月に、当時の日本銀行がゼロ金利政策を解除した出来事を憶えていらっしゃるでしょうか?

 当時、日銀は、日本経済に関してどんな認識を持っていたのでしょうか?

画像を見る
「(2)日本銀行は、昨年2月、先行きデフレ圧力が高まる可能性に対処し、景気の悪化に歯止めをかけるためのぎりぎりの措置として、内外に例のない「ゼロ金利政策」を導入した。その後、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢となるまで「ゼロ金利政策」を継続するとの方針のもとで、この姿勢を維持してきた。

 (3)その後1年半が経過し、日本経済は、マクロ経済政策からの支援に加え、世界景気の回復、金融システム不安の後退、情報通信分野での技術革新の進展などを背景に、大きく改善した。現在では、景気は回復傾向が明確になってきており、今後も設備投資を中心に緩やかな回復が続く可能性が高い。そうした情勢のもとで、需要の弱さに由来する物価低下圧力は大きく後退した。このため、日本経済は、かねてより「ゼロ金利政策」解除の条件としてきた「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢」に至ったものと考えられる。」(2000年8月の金融政策決定会合)

 そして、こうした判断の基になったのが、日銀のダム論と呼ばれるものであったのです。

 ダム論って、聞いたことがあるでしょ?

 つまり、企業収益が増加していけば、何時かは満水になったダムから水が溢れ出るかの如く、労働者の懐に及ぶ、と。

 黒田総裁に聞きたい。そして、安倍総理に聞きたい。

 異次元の政策をぶちかましてくれた割には、結局、貴方たちも、かつての日銀と同じようなダム論、つまり、トリクル・ダウン仮説を信じているのか、と。

 誤解のないように言っておきます。

 確かに、他の条件が全て同じであれば、企業が儲かっているときの方が、儲かっていないときよりも、賃金を上げる可能性が高いのは事実。

 しかし、だからと言って、企業が儲かれば必ず賃金を上げるかと言えば、決してそんなことはない、と。

 つまり、ダム論とかトリクル・ダウン仮説を信じている人々は、賃金の本質、或いは分配理論について理解してないとしか言いようがないのです。

 例えば、企業が生産した製品の売上金が、資本家と経営者と労働者の間でどのように分配されるのかということを理解しているのならば、企業の売り上げが伸び、利益が増大したとしても、必ずしも賃金が上がらないこと位すぐ理解できる筈。

 では、どのような場合に賃金が上がることが期待できるのか?

 それは、労働者が、今までにない頑張りを見せ、売り上げ増加に多大な貢献をしたとか‥或いは、生産に必要な人材の確保が難しくなり‥つまり、労働者の相対的な価値が高まっている場合だとか‥

 逆に、では、何故もう10年以上も労働者の賃金は上がっていないのか?

 その責任は全て日銀にあると言うのか?

 では、仮に日銀が、今回のような異次元の緩和策を既に実施していたとして、そして、マイルドなインフレを起こすことに成功していたとすれば、労働者の賃金は上がっていたのか?

 インフレになれば、多分労働者の賃金は上がっていたでしょう。そして、そうなれば、実際に我々が経験したデフレはこれほど長くは続かなかったでしょう。

 しかし、幾ら賃金が上がっていたとしても、それ以上に物価が上がっていたとすれば、結局、労働者の生活水準は今と同じようなものではないのでしょうか?

 だったら、一体何のためのデフレ脱却になるのか? 何のための日銀叩きであったのか?

 では、労働者の賃金が上がらなかった最大の原因は何なのでしょう?

あわせて読みたい

「アベノミクス」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    大坂なおみの聖火最終点火に感じた「逆方向の政治的なバイアス」

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    07月25日 08:28

  2. 2

    ファクターX 新型コロナワクチン副反応が日本で少し強いのはこのため? 日本のファクトを!

    中村ゆきつぐ

    07月25日 10:34

  3. 3

    中田敦彦氏、出版社抜きで電子書籍Kindle出版!著者印税は7倍に!出版社スルー時代の契機になる

    かさこ

    07月25日 08:41

  4. 4

    7月24日(土)ムネオ日記

    鈴木宗男

    07月24日 17:20

  5. 5

    五輪開会式でNHKアナが台湾として紹介したことに波紋 中国国政メディアは抗議せず

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

    07月25日 14:40

  6. 6

    五輪開催を巡り立民と国民民主の立場に差異 国民の共感を得られぬ立民の主張

    早川忠孝

    07月24日 18:37

  7. 7

    バッハ会長“長過ぎスピーチ”で…テレビが映さなかった「たまらずゴロ寝」選手続々

    SmartFLASH

    07月24日 09:20

  8. 8

    東京都心部の不動産を物色する中国人 入国できなくてもリモート投資を続けるワケ

    NEWSポストセブン

    07月25日 09:04

  9. 9

    五輪開会式 深夜の子ども出演が波紋…橋本聖子が4日前に任命

    女性自身

    07月25日 08:51

  10. 10

    新入社員の不自然な3連続「忌引」 相次ぐ親戚の“危篤”に職場困惑

    キャリコネニュース

    07月25日 14:06

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。