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プーチン大統領は、日本から「200兆円」を「袖の下」として受け取れば、「北方4島一括返還」に応ずる

◆安倍晋三首相とプーチン大統領が首脳会談(4月29日、モスクワ)し、2国間貿易を活性化させ、停滞している北方領土交渉を再開し、平和条約締結に向けた努力を加速させることで合意したという。日ロ首脳会談は、2003年にプーチン大統領が当時の小泉純一郎首相が 会談して以来、10年ぶりだった。

 日ロ平和条約締結は、戦後の日本外交にとって、残された最後の課題だ。鳩山由紀夫元首相の祖父・鳩山一郎元首相が1956年10月19日、モスクワで日ソ共同宣言に署名し、国会承認をへて、同年12月12日に発効して以来、56年を経ているのに、未だに平和条約締結に至っていない。この最大のネックになっているのが、北方領土(国後、択捉、歯舞、色丹4島)の返還問題だ。
 日ソ共同宣言は、次のような内容になっていた。

 ・日ソ両国は戦争状態を終結し、外交関係を回復する。(サンフランシスコ条約で為し得なかった講和の成立)
 ・日ソ両国はそれぞれの自衛権を尊重し、相互不干渉を確認する。
・ソ連は日本の国際連合加盟を支持する。
・ソ連は戦争犯罪容疑で有罪を宣告された日本人を釈放し、日本に帰還させる。
・ソ連は日本国に対し一切の賠償請求権を放棄する。
・日ソ両国は通商関係の交渉を開始する。(同日に通商航海条約を締結)
 ・日ソ両国は漁業分野での協力を行う。
・日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す。

 これを読み返しても、「北方領土問題」が、残された最後理課題であることが、一目霊山となっている。しかも、文言上は、「平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡す」となっているので、「2島先行返還」、その後の交渉により、「国後島と択捉島を返還する」と読める。しかし、田中角栄元首相は、1973年10月、ソ連を訪問、ブレジネフ共産党書記長との会談において、「両国間にある未解決の問題の中に北方領土返還問題が含まれる」ということを確認する日ソ共同声明を発表した。この共同声明の文面に記すことは出来なかったが、口頭でソ連の最高指導者に「未解決の諸問題」に北方4島の返還が含まれることを認めさせることに成功したと言われてきた。田中角栄元首相の長女・田中真紀子前衆院議員が小泉純一郎政権の外相時代、「北方4島一括返還」を主張し、鈴木宗男元北海道・沖縄開発庁長官ら「2島先行返還論者」と激しく対立した。

◆安倍晋三首相は、プーチン大統領との共同記者会見で、「北方領土問題の解決に向けた道のりは長い」との認識を示したうえで「国交は回復したものの平和条約が結ばれていない状況に終止符を打つために、両国の外務相に協議再開を指示したことは重要な一歩となると述べた。プーチン大統領は、日本人記者団のなかから「北方4島返還問題」を聞かれて、ムッとしながら「平和条約締結に向けた交渉」に領土問題が含まれているニュアンスを暗ににじませていた。

 プーチン大統領が、最も意欲的なのは、「日本に向けたエネルギー輸出問題」であることは明らかで、北方領土返還問題については、何も約束しなかった。ただ、領土問題の紛争を相手国との間で「面積を2分割する方式」により解決してきた実績を示し、日本側に期待を持たせた。

◆さて、フーチン大統領は、かねてより、「北方4島の1島につき1兆円計4兆円で、日本に一括返還し、その後は、ロシアが4島を管理し、日本側から管理料を受け取る」という案を示しているという。その一方で、個人的に「200兆円を支払うよう」求めているという情報がある。これは、プーチン大統領が前回、大統領時代に橋本龍太郎元首相との間で約束していたとも言われている。ロシアの政治家の多くは、マフィアと深く関係している者が少なくなく、こうした「手数料」あるいは「袖の下」の授受は、常識的なしきたりだという。

 安倍晋三首相、特使として先にモスクワ入りしてプーチン大統領と会談した森喜朗元首相らが、どこまでこのことを熟知しているかだ。鈍感すぎて、プーチン大統領からかけられている「謎」が理解できなければ、言葉巧みに石油・天然ガスを売りつけられて、食い逃げされるだけである。北方領土問題は、簡単には解決しない。すなわち、日ロ平和条約は締結されず、安倍晋三首相は、当然、歴史教科書に「偉業を成し遂げた首相」としてその名を留められることはない。

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