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「違憲状態」の選挙で選出された、「ITリテラシーの低い議員」が可決した、「小さく、実感しにくいメリット」しかない「マイナンバー法案」

マイナンバー法案が9日午後の衆院本会議で、与党や民主党などの賛成多数で可決された。同日中に参院に送付され、今国会中に成立する見通し。2016年1月から年金などの社会保障給付と納税を1つの個人番号で一元管理する共通番号制度が始まる予定だ。

「行政手続きが簡単になるメリットは大きいが、個人情報の保護や利便性向上にはなお課題が残る」なかで、「同法案は民主党政権下で提出され、昨年の衆院解散の影響でいったん廃案になった。政府が関連法案を3月にあらためて国会に提出し、衆院で審議を進めてきた」というからには、一部の人間にとっては相当のメリットがある法案であることは間違いない。

10日付日本経済新聞に掲載された「年金・税金、番号1つで マイナンバー今国会成立へ」という記事の中では国民にとってのメリットとして、次のような事項が挙げられている。
  •  カードを行政窓口に提示したり、自宅のパソコンで読み取ったりすることで給付申請や情報取得の手続きが簡単になる
  •  パソコンからインターネットで自分専用の「マイ・ポータル」というページに接続すれば、年金や介護保険料の納付状況や給与・報酬情報をいつでも見られる
  •  マイ・ポータルでは、給与所得や年金の情報を企業や行政機関から集めて確定申告の手続きが一括してできる
  •  行政機関の窓口では、児童扶養手当や介護保険給付のような手続きの際に、所得証明などの書類を自分で集める必要があったのも添付書類なしでできるようになる
  •  災害対策にも活用する。要援護者の名簿にマイナンバーを記載し、住所など常に最新の情報を盛り込めるようにする
正直な印象は、「何とも小さく、実感しにくいメリットを積み上げたものだ」、といったところ。こうした「小さく、実感しにくいメリット」を受けたいという国民からの要望が強かったのであればともかく、「小さく、実感しにくいメリット」を必死にアピールして、事務次官級よりハイクラスの特別職国家公務員である「内閣情報通信政策官」を置き、総額2,000~3,000億円とも想定されている予算を投入するというのは、どこか釈然としないもの。

「個人番号による管理で税や保険料を適正に徴収できるようになれば行政にもメリットは多い。将来的には、個人番号を銀行の口座情報とひもづけして、脱税を防ぐことも検討課題となる。 サラリーマンに比べて農家や個人事業主の所得が把握しにくい『クロヨン』といった問題を改善するために必要な『納税者番号制』に一歩近づく面もあるが、個人情報の国家管理が強まるとの懸念は根強い」

いくら「小さく、実感しにくいメリット」を積み上げても、現段階で「行政メリットがない」というこの一つの事実の前では何の価値もないもの。

マイナンバー制度を設けることで、「脱税の防止」、「所得の把握」という世の中の不公平が修正され、財政面でもメリットが出てくるのであればともかく、これがないマイナンバー制度には殆ど意味はない。「小さく、実感しにくいメリット」は、「脱税の防止」、「所得の把握」が出来るシステムの副産物として提供されるべきものであり、それ自体を目的としたシステムを多額な費用を掛けて構築するのはナンセンスそのもの。

現時点でのマイナンバー制度導入は、「関連市場は3兆円」と報じられているように、IT業界向けの「機動的な財政出動」、いや、「大胆な財政政策」でしかない。ネット選挙解禁にマイナンバー制度と、その恩恵を受け続けるIT業界は、さすが「成長産業」といったところ。

ところで、マイナンバー制度に「納税者番号制」が組み入れられなかった理由は、「個人情報の国家管理が強まるとの懸念」と、「個人情報の保護にまだ課題が残る」からのようである。
もしそうなのであれば、まずは国家公務員を対象に「納税者番号制」を試験運用してみることをお勧めしたい。そもそも国家公務員の個人情報の多くは国家が既に管理しているものであるから、「個人情報の国家管理が強まるとの懸念」は心配する必要はないし、自分たちの個人情報漏えい防止のために、情報漏えい対策も十分に行われるはずである。

さらに、「所得の把握」が可能になれば、国家公務員の一部が「渡り」と言われるような行為で、給与や退職金の形で多額の税金を搾取出来るようなシステムに歯止めを掛けられるはずである。

民間企業で働くサラリーマンの生涯年収は、大手企業でも2~3億円だと言われており、最も生涯年収が高いと言われている企業でも6億円程度である。つまり、市場競争原理が働く民間では、どんなにサラリーマンとして成功しても、生涯年収は6億円程度なのである。これに対して、一部の高級官僚は、「渡り」などを繰り返し、生涯に税金から6億円~10億円を賃金等の形で受け取ると噂されている。

このような「官民賃金格差」に対する疑惑と「税の無駄遣い」を解消するためには、国や独法等が国家公務員に対して支払う生涯賃金の上限を、例えば5億円と設定したうえで、「所得の把握」を進めることが一つの有効な選択肢となるはずである。このような国家公務員を対象とした「納税者番号制」の実施実験を経ることで、個人情報の保護などの具体的な問題点を把握することも出来るので、一石二鳥となるはずである。

「小さく、実感しにくいメリット」を並べて、「脱税の防止」、「所得の把握」という本来の目的を持たないマイナンバー制度に国民を強制参加させ、個人情報漏えいなどのリスクに晒すというのは余りに強引である。

近夏の参議院選挙から解禁されるネット選挙を前に、慌ててBlogやTwitter、SNSなどの勉強を始めた「ITリテラシーの低い議員」が多い国会が、マイナンバー制度に伴う個人情報漏えい等のリスクについてどのような議論をし、どれだけ正確に見積もれたのだろうか。

「違憲状態」の選挙で選出された、「ITリテラシーの低い国会議員」達が、「小さく、実感しにくいメリット」を並び立てて導入を急ぐ、本来の機能を備えないマイナンバー制度。「大胆な財政政策」としての効果以上は望むべくもない。祈るべくは、国民に「大きな衝撃を与えるデメリット」を与えるような事故を起こさないことである。

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