記事

ハーバードのケースと英語力

ハーバードビジネススクール東京センター長の佐藤信雄氏とハーバードスクウェアにて会食。日本のケースをたくさん作ろうと意気投合。ビジネススクールの必修で500ケース学ぶがそこで日本についてのケースは6つしかない。1パーセントしかない。

ハーバードの必修ケースで中国やインド企業が急増しているのに日本のケースは6つのまま。トヨタとか日産とか東芝とかの古いケースばかりでこのままではさらに消え去る可能性あり。

ハーバードのケースは世界中のビジネススクールで使われるので、波及効果は大きい。世界のビジネスリーダーが日本企業のことを知らないままになってしまう。

ということで日本のケースを必修ケースにぶち込む努力をやろうと盛り上がりました。何をぶち込むか。いくつか具体例出ました。あんまりこちらから持ちかけるのは警戒されるので上手くやります(できるかな?)

一つは電力会社と日本政府。これはリーダーシップ論そして組織行動論の切り口で。次は農業と外食産業。日本ならでは規制の中で新しい動きが生まれつつある。生産管理やマーケティングの切り口で。最後はたくまくしくグローバル化する起業家たち。これはマクロ経済の視点で。

佐藤センター長とはTOEICとTOEFLの違いについて盛り上がる。資格試験の専門家に聞くとTOEICは経産省と経団連がETSに働きかけて作った試験だという。ETS(Educational Testing Service)は米国ニュージャージー州プリンストンに本部がある世界最大の非営利テスト開発機関。TOEFLをはじめ、欧米の大学大学院への留学に課せられる試験やアメリカの公共機関や学校関係のテストの大半を開発・制作している。1977年9月から折衝を開始し、2年の研究開発を経てTOEICテストが実現。

知らなかった。まるで電力利権のような構造ではないか。下手したら”英語利権”になってしまっているのかも。そうなると改革も大変だ。漢字検定も資格利権だが、あれはそもそもグローバル化に関係ない。しかし、英語の試験が資格利権につながっていたらそれは国益を害してしまうな。ここはよく調べてみよう。

私は受けたことないので評価のしようがない。受験者に聞くとヒアリング、リーディング重視。昔ながらの、「海外の知恵や技術を取り入れるための英語」の試験ともいえる。一方、今のTOEFLはライティングとスピーキングに舵を切った。つまり発信能力を問う試験になっている。TOEICがいくらできても TOEFLで通用しないという。今の世の中、英語で発信することがさらに重要になっている。

中国も韓国もTOEFLがスピーキングとライティングに舵を切った瞬間に英語教育をそちらに舵を切ったという。よって、話せて書ける人材が多い。

TOEIC重視で英語教育もガラパゴス化していると日本は見られている。出口である企業がTOEIC重視だと教育もそちらに引っ張られるから。企業から変わるしかない。

英語力から留学の話に。中国韓国インドの留学が増えているのは学部や大学院だけじゃない。幹部候補生の短期留学も激増しているという。それだけではなく、ビジネススクールやケネディスクールの教授を招いて国や企業が本国でも幹部教育やっているという。学生だけでなく幹部候補生の人材教育でも日本と差が付きつつある。英語を操り最新の事例研究や知識に武装された人材がドンドンほかのアジア諸国では育ちつつある。

一緒にケース書こうと言っていたケネディスクールの教授たちも今日から北京で中国の共産党幹部向けの研修に旅立ってしまっている。

中国政府は、毎年シンガポールの建国の父、リークワンユーを招いて国家政策について学んでいる。リークワンユーから直接聞いた。リークワンユーは「私がモデルとしてきた日本政府からは全く話がない」と。

中国や韓国は政府や企業の人材教育にお金と時間を相当かけている。人材育成を大事にしてここまできた日本企業は概して言えば、そこのコストを削っている。これは実体経済にボディーブローのように効いてくると思う。

特に日本のメーカーだ。一部の金融機関や商社はグローバル人材の強化に投資を始めているが、最もグローバル人材の強化が必要なはずの日本のメーカーの人材投資が見られない。もともと欧米のメーカーの人材と差がある中で、中韓インドのメーカーがグローバル人材への投資を加速させているだけに日本のメーカーのグローバル人材の不足は厳しい。

ビジネススクールの教授たちに日本企業に関心持ってもらうのは大変だ。彼らが好むのは変化。伸びている企業、伸びている経済の中にある企業にのみ関心がある。まだレベルが高くでも伸びていないものには関心がない

変化という意味では、幸か不幸か、今の電力会社のガバナンスや日本政府の危機管理には相当の関心がある。それは米国でも世界でも共通の課題だから。巨大インフラ企業の安定性と収益性と競争とイノベーションをどうバランスとるか?国家の危機管理はどうあるべきか?ここで関心高い

アメリカでも原子力を規制する組織と原子力を推進する組織で人材が行き来していることが問題になっている。これは原子力周りの人材が乏しいことに理由があるという。

ハーバードビジネススクールの退職金はかなり高額。それは新陳代謝高めるため。優秀な若手にポジション与えるためにベテランにお金渡す。これがハーバード大学ではお金なくてできないため、ベテランが辞めずに優秀な若手が他校に流れている。ここが本体とビジネススクールの差だ。

これは国会と似ている。国会議員年金を廃止したために、新陳代謝が止まった。「年金無くなったから議員辞められない」ケースが出てきたからだ。メディアが年金騒動の時に、国会議員年金を特権のように責め、結果として国会が冷静な議論しないまま廃止してしまった。国家レベルでメリットデメリットを勘案したら、議員の新陳代謝を高めるように、議員に動議付けすべきだったのではないかと思う。私は党や派閥の会合で、そういう議論をしたが、当時は受け入れられる雰囲気ではなかった。

ハーバードビジネススクールの教授の競争も激烈。だから学生が喜ぶようなケース開発も大事。よって、トレンド重視のケースが開発される。20年近く低迷する日本の企業や経済はダイナミズムがないと映り、人気がイマイチだという。

ダイナミックな競争にさらされ、トレンドを重視する傾向が強い、ビジネススクールの教授が書きたいと思わせるケースをこちらが匂わせないといけない!頑張ります。佐藤センター長からは多くを学びました!感謝!

あわせて読みたい

「グローバルマッチョ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    3密で限界 コールセンターの激務

    松崎りえこ

  2. 2

    米のコロナ被害が甚大だった事情

    WEDGE Infinity

  3. 3

    米の人工呼吸器 購入約束に呆れ

    青山まさゆき

  4. 4

    TBSが失言 パチンコ団体に謝罪

    木曽崇

  5. 5

    東浩紀 ネットで社会完結は幻想

    村上 隆則

  6. 6

    米倉涼子「ドクターX」を降板か

    女性自身

  7. 7

    文春の名前出さぬ日テレに疑問

    水島宏明

  8. 8

    預貯金者は今からインフレ備えよ

    澤上篤人

  9. 9

    なぜ世界の株価は高くなったのか

    ヒロ

  10. 10

    自民重鎮 黒川氏の行動に不快感

    深谷隆司

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。