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エジプト革命の背景にアメリカあり!?

エジプト情勢がエスカレートしている。こちら在米の各メディアは“革命”という言葉を使い始めた。30年大統領の座に君臨している、ムバラク氏は、チュニジアでの政変を見て、ソーシャルメディアの威力に恐れをなした。よって、携帯電話やソーシャルネットワークを遮断し、暴力で鎮圧狙うという最悪の対応をした。

事態の急速な悪化を重く見たオバマ政権は、まずオバマ大統領の報道官がホワイトハウスで会見。「ソーシャルメディア遮断の独裁」というつながりで中国への余波&中国への対応、にまで言及する記者続出。米中関係荒立てたくない報道官は「エジプトの話だけにしてくれ」苦しい答弁。しかし、老練ないい記者ばかりだ。日本の首相官邸にはいないタイプの記者ばかり。

次に、ヒラリー国務長官も「暴力で不満は抑えられない。民衆の声に応えるべき」とわざわざ会見しコメントを発表。

エジプトの大統領制は極めて独裁的なものだ。まず事実上、任期に制限がない終身大統領制となっている。行政のトップでありながら、首相含む閣僚から各県知事までの任命・罷免権を持つ。また、立法府の決定を拒否できる一方、自らの意志だけで法律と同等の大統領令を公布できる。国軍のトップでもあり、司法にも強大な権限を有する。

ムバラク大統領は就任以降30年、副大統領を置いていない。後継者を想定して育成してこなかったといわれる。今になって、急に失脚しても、これだけの権限を持つ、大統領の後継者は見当たらない。後継者と目された息子も大統領夫人も国外逃亡といわれる。

ムバラク氏は米東部時間28日夕方になって緊急記者会見。ウォールストリートジャーナル紙によると、これは録画だったといわれ大統領がこの時間実際はどこにいるのかも判明しない。確かなのは、故鈴木その子さんばりの、正面からのスポットライトでしわを隠し、82歳で白髪が全くない真っ黒な髪であったことだけだ。

まず、怪我をしたデモ参加者に謝罪から始まる。「政府にはデモ参加者に意見を言う機会を与えよと支持したのだが」と釈明。「あなたも政府じゃないの?」と突っ込みたくなるが、ご本人は“王”と思われているのかもしれない。

「自由を支持したい。同時に国家の安全を保障したい。自由と混沌は紙一重だ。法を守ってくれれば国民の自由を保証をしたい。貧困を撲滅したい。」

「そこで、国民一人ひとりの自由と貧困の撲滅の側に立ちたい。大統領としてより、1人のエジプト人として、古代から叡智を誇るエジプトの皆さん。さらなる民主主義、個人の自由、経済の発展、それらのための新たなステップを、一緒に踏み出そう」等と立派な意見表明が続く。

「ここに政府に辞任を要求する」えっ?!一瞬“I ask the government to resign” って「ムバラク大統領が内閣と総辞職か!?」と思った。ご自分はgovernment ではないということか?ムバラク大統領は内閣を刷新し、新政府を明日から発足する。大統領職はムバラクが継続すると。

オバマ大統領も続いて会見。冒頭、エジプト政府に対し、「携帯、インターネット、ソーシャルネットワークの再開を強く希望する!」と切り出す。ムバラク大統領が「会見で語った国民のさらなる民主的自由や貧困の撲滅等の約束の実施」を条件にムバラクを支持すること表明。ムバラク大統領の会見直後にムバラク氏と話したとオバマ大統領は会見で語る。

アラブ世界の人口の三分の一を占めるエジプトは、反イランの急先鋒。ムバラク失脚で最も喜ぶのはイランだといわれる。オバマも苦しいところだ。アラブ世界で最大国家であり、最も親米国家で反イランのエジプト。米政府が頼りにしてきたのはムバラクだけだ。しかし、ムバラクの圧政ぶりは支持できない。

米メディアを見て面白いのは、「エジプト革命の責任はアメリカにあり!」との自虐的な分析特集をしてたりするところだ。これは経済チャネルCNBCだ。エジプト革命の原因は二つ。1つは「バーナンキによる巨額の量的緩和」2つ目は「フェイスブックをはじめとするソーシャルメディアの誕生!」二つともアメリカのせいだ!と。刷りまくったドルが商品市場で食料価格を高騰させ、新興国の貧困層を直撃。そこに「怒りを組織的デモに仕立てる」フェイスブックが登場。

私は、食料価格高騰とソーシャルメディア誕生に加えて、アルジャジーラのストレートな報道とウィキリークスによる独裁政権内部の情報漏えいがソーシャルメディアとコラボしたことが大きいと思う。独裁ぶりを一気に苦しむ国民に伝え、暴動につながったのだと思う。

この分析でいけば、独裁、食糧価格高騰に直撃される貧困層、ソーシャルメディアがセットで揃っている、サウジ、モロッコ、ヨルダン、イエメン、シリアと広がる可能性はある。ひょっとするとイランにも。こうなると、原油市場、商品市場が大きな影響を受ける。

アメリカがエジプトへの援助(毎年11億ドル)を再検討するとの情報もあるがどうだろう?これが本当ならムバラクの背中を押すかもしれない?しかし、ハマス、ヒズボラとの戦いや対イラン戦線であれだけアメリカに協力してきたムバラクにアメリカが簡単に引導を渡せるかな?

ムバラクの失脚は時間の問題だろうが、その後継者が問題。最もヒヤヒヤしているのはイスラエルだろう。チュニジアでの政変はイスラエルには恐れるに足らずだった。しかし、エジプト、ヨルダンとイスラエルと国境接する国で政権崩壊が起きれば中東情勢は一気に流動化するだろう。親米だったレバノンのハリリ政権も崩壊した後であるし。

 

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