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若者がハングリーになれる環境を!

私が日経ビジネスオンラインに連載しているコラム「経世済民見聞録」の最新号「東大ブランドは世界では通用しない−灘高トップはエール大学を選んだ」にツイッター、フェイスブック、メール等で多くの反響を頂いた。

その多くは現役の大学生や大学院生だ。「自分は井の中の蛙だ」「負けちゃいられない。刺激になった」「できるならば大学を受けなおしたい」「自分も世界に出たい」と殆ど全部が大きな刺激を受けてくれた様子を綴って送ってきてくれた。複数の東大生が「刺激を受けた」「びりびりしてきた」「甘かった」とメッセージをくれた。

これらを見てもわかるように、日本の若者は捨てたもんじゃない。強い向上心を持つ若者は日本にたくさんいる。私がこのインタビュー記事の中で強調したかったのは、“ハングリー精神を育てるのは環境である”ということだ。自分を成長させることにハングリーな連中に囲まれ、毎日びしびし刺激を受けている学生たちの姿は見てて爽快!ハングリー精神って環境なんだなって再認識させられた。そんな環境に身をおくことの素晴らしさを伝えたかった!

“何が何でも留学せよ”なんて思わない。記事の中にあるように、誰にでも留学を勧められるほどアメリカの名門大学への入学やその学生生活は甘くない。ただ、この記事を読んで、その厳しさをも認識した上で、チャレンジ精神に火がついてくれた学生たちの志にはエールを送りたい。

10数年ぶりにエール大学に身をおいて、アメリカの名門大学が提供する環境の素晴らしさにはため息が出る。東大生はじめ日本の大学生の中に、アメリカの名門大生に負けない優秀な学生がたくさんいるのは言うまでもない。こんな環境が日本に造れたら、どんなに日本の学生たちにプラスになるだろうかと毎日思ってしまう。もっとも多感な時期に、世界中のいろんなバックグランドの同世代と、楽しく厳しく競争して友情を深め合ったら、どんなにお互いにとって素晴らしいだろうかと。

ここには、学生の向上心をさらに引き出すエネルギーがある。人間は貧しいからハングリーになるのではないと思う。ハングリーな人間に囲まれるとハングリーになるのだと確信する。エール大学にも、新興国の過酷な環境から留学してきているハングリーな学生もいる。しかし、何代にも渡り、裕福な家庭に育ちながらハングリーである学生がたくさんいる。 お金に執着しているハングリーさもあるが、彼らのハングリーさを正確に言い表すなら、地に足をつけて世界をよりよい方向に変えるために自分の能力を磨いていきたいという渇望心だ。

そして世界中から同じ思いで門を叩いて集まってくる異なるバックグランドの同世代が、そのハングリーな場で新たな触媒となっていく。広い世界には色々スゴいやつがゴロゴロいる。グローバル化がさらに進んでいき、どんな仕事に就こうとも今後、いずれ直接間接世界中の同世代とはあいまみえる可能性がある。そんな連中と学生時代から真剣な練習試合ができたら最高だ。

わが国が本格的な高等教育をはじめのは、明治維新・戦後の復興と、「欧米に追いつけ追い越せ!」の国家目標のためだ。だから今まで、目指すモデルを分解してそれを真似るだけの教育に徹してきた。無駄が無く効率的な人材育成だった。 しかし、これからは国家も国民も航海図は自ら描かねばならない。模擬試験も参考書もない社会に出て行くのだ。

頼りになるのは自分だけ。自分の頭で考え抜き、行動を起こし、その結果ボコボコに傷ついても立ち上がっていくのだ。そうやって初めて本当の友人や頼りになる人脈が出来上がっていく。

もともと欧米にはキャッチアップの時代が無かった。過酷な歴史の中、自ら時代を作り上げてきた。そういう人材を育成してきた教育こそが、実は今、求められるのだと思う。グローバル化が進む時代に、英語という武器を活かして世界中から若い人材を集めることも加速させている。

数百年を経て、多くの偶然と努力で造り上げられたこのアメリカの名門大学の姿を、富国強兵と戦後の復興にのみ適応してきた日本の高等教育に再現せよというのは酷な話だ。かといって、日本で常に成長への渇望に溢れるもの同士で集い、切磋琢磨する機会がどれだけあるか正直わからない。既得権益層にある自らを棚に上げて、上から目線で若者に説教するようなメディアに牛耳られた日本で、ハングリー精神を持ち続けるのは難しいのではなかろうか。

今回の連載を通じて、志高い若者が日本にたくさんいることを再確認した。彼らにさらなる成長のための機会を提供すべく何ができるのか。もっとじっくり考えてみようと思う。

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