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株価「1万4000円」回復と安倍政権

連休明けの今日、真っ先に飛び込んできたのは、日経平均が1万4000円を回復したというニュースだった。衆院選直前の昨年11月に9000円だった株価が、わずか5か月で上げ幅「50%」を超えるという驚異的な上昇率だ。

アベノミクス効果やニューヨーク株式市場の上昇など、さまざまな解説がなされるが、やはり最も大きいのは、悪夢のような民主党時代が「終わったから」だろう、と思う。その測り知れない心理的効果が株価を上昇させる国民の前向きの意識をさらに“アト押し”しているのである。

どうしようもない閉塞感から解き放たれた人間の意識とパワーというのは、やはり大きい。それにしても、多くの国民が「民主党政権とは何だったのだろう」と感じているに違いない。

耳に心地いいことを連発してはみたものの、経済を低迷させ、日米関係を戦後最悪の状態にし、中国や韓国に譲歩を繰り返して誤ったメッセージを与え、東日本大震災では、最大の使命である人命救出もできずに右往左往し、復興に関してもイニシアティブを発揮できないまま、政府の存在自体が復興への大きな妨げとなった。

私は今でも、大震災の際、原発事故などの緊急事態に気象条件や地形情報などから放射性物質の拡散ぶりを数値的に予測するシステム「SPEEDI」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の予測結果をもみ消した当時の政権中枢にいた政治家たちの「罪」が問われないのはおかしいと思っている。

パニックを恐れて、肝心かなめの「人命」をも無視してしまう当時の政権のレベルの低さには、今も言うべき言葉がない。国民の生命を守るために116億円もの予算を費やしてでき上がったシステムによって割り出された数値が、われを失った当時の官邸にいた政治家たちによって「もみ消された」のである。このことを日本人は忘れてはならないと思う。

しかし、私はいつもブログには書かせてもらっているが、そもそも民主党政権が誕生した「理由」というのも同時に忘れてはならないと思う。4年前の政権交代劇は、私は大きな意味を持つものだったと考えている。

長い間に腐敗し、国民の思いや期待を吸い上げられなくなっていた自民党に愛想を尽かし、ついに国民は自民党に「お灸をすえる道」を選んだのが前回の政権交代劇だった。前述のように民主党政権を選択したツケは国民にとって大きかった。だが、今その教訓が生きていることは間違いない。

2006年に発足した第1次安倍政権では最初の外遊先に「中国」を選んで周囲を驚かせた安倍首相が、今回の第2次安倍政権初の外遊先にはベトナム、タイ、インドネシアという東南アジアを選び(1月)、今回の4月末から5月にかけての外遊でもロシア、アラブ首長国連邦、トルコといった国を選んで財界人をも同行させ、トップセールスを敢行した。

その意図は、“中国包囲網”の構築にほかならない。中国に対して安倍首相は、「もうあなた方への譲歩はしませんよ」「あなた以外の国と連携を深めていきます」という強烈なメッセージを発している。

「自由と繁栄の弧」による外交を展開する強い意志を感じさせるこの安倍首相の戦略には、まったく志が果たせなかった前回の政権時への深い反省と後悔があるに違いない。しかし、逆に見れば、これもまた民主党政権の悪夢の3年3か月がもたらした“効果”とも言えるのではないか。

参院選では、「民主党の壊滅」と「改憲勢力の結集」が焦点になるだろう。その意味で、おそらく日本の政治は今年、うねりのような大変動を経験するだろうと思う。

中国が、この3月に発足させた中国海警局は、尖閣諸島での衝突を前提にしたものである。それまでの中国の沿岸警備を担当していた公安辺防海警部隊を改編・格上げして、公安部の指導のもとに沿岸警備や海洋・漁業資源の管理を一手に担う大組織としたのである。

これで、中国は日本の自衛隊との軍事紛争ではなく、海警局による局地衝突を前提に「対日戦略」を組んでくるのだろう。海警局による衝突なら、日米安保条約第5条の発動にはならず、日本の海上保安庁との衝突に過ぎず、しかも、それなら中国は「勝てる」と思っているからである。

民主党政権のように日本と中国のどっちの利益を代弁しているかわからないような政治家や閣僚は、安倍政権にはいない。その意味で、国民の生命と財産、そして領土を守ってくれる政権が東シナ海で覇権を確立しようとしている中国と対峙していること、そして、その最前線で命を張る海上保安庁の人々がいること、この二つへの感謝をわれわれ国民は忘れてはならないと思う。

日経平均が1万4000円台を回復したという連休明け一番のニュースを聞いて、私はそんなことを考えていた。

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